医学講座
大きくなって局所麻酔は古いです
今日は2021年12月10日(金)です。
札幌はまだ雪がない師走です。
今週中は降らないようです。
スキー場には申し訳ございませんが、
寒がりの私にはありがたいことです。
雪がないので、
転倒する危険も少なくなります。
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昨日の院長日記、
脂腺母斑の手術時期2021
…の続きです。
40年前に医師国家試験を受験した私が受けた教育と、
今の医学常識が大きく違うことがいくつもあります。
脂腺母斑の手術時期
…で考え方が一番違うのが、
局所麻酔と全身麻酔です。
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私は麻酔学講座が充実した札幌医大の卒業生です。
私が学生だった40年前から、
札幌医大では小児の全身麻酔は安全に行われていました。
耳鼻科外来では、
鼓膜のチュービングという手術に、
麻酔科医が耳鼻科外来で全身麻酔をかけて、
日帰りで治療をしていました。
局所麻酔で押さえつけてするより、
子供さんは泣かず処置も適切にできました。
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『脂腺母斑しせんぼはん』という母斑です。
大きくなって局所麻酔で取れるようになったら…
取ったら良いです。
…と説明されたら、
小さな子供さんの親は、
そのまま大きくなるまで様子をみます。
思春期になって脂腺が発達する時期になると、
平らだった脂腺母斑が
虫の卵がついたようにブツブツになることがあります。
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大きくなって…
局所麻酔で取れる年齢になった頃には、
学校も習い事もあります。
はっきり言って、
小学校高学年でも、
局所麻酔は痛いので大変です。
中学生でも恐怖心があります。
学校を休むのも大変です。
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形成外科で切除することになっても、
頭が大きくなっているので…
脂腺母斑も大きくなっています。
頭皮も厚くなっています。
それだけ皮膚の緊張が強くなっています。
どんなに丁寧に縫って…
小さい時に受けた手術と比べると…
手術後の傷が目立ちます。
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全身麻酔はリスクがあるという人もいます。
確かに事故も報告されています。
でも私の孫だったら、
小さいうちに全身麻酔で手術をします。
お母さんの育児休業期間中でしたら、
会社を休むこともありません。
乳幼児医療で医療費も安くなっています。
大きくなってから局所麻酔は
古い考えだと(私は)思います。