医学講座

小児で増加する電気ケトル熱傷

 今日は2023年5月28日(日)です。
 札幌は晴れのいいお天気です。
 予想最高気温は23℃です。
 金曜日に第49回日本熱傷学会から帰ってきたばかりなのに、
 明日から小倉の第15回日韓形成外科学会に参加するため、
 夜の飛行機で小倉に行きます。
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 第49回日本熱傷学会で知っていただきたい発表がありました。
 小児で増加する電気ケトル熱傷
 平尾大祐ひらおだいすけ、日原正勝、光井俊人、覚道奈津子
 関西医科大学附属病院形成外科
【目的】小児熱傷は日常的に遭遇頻度の高い疾患である。その中でも特に乳幼児の熱傷の割合は高い。今回、当院を受診した過去11年問の乳幼児熱傷患者について検討し、臨床統計学的検討を行った。
【方法】2011年1月から2021年12月までの11年間に当院を受診した乳幼児の新鮮熱傷患者184名について、初診時診療科、受傷年齢、受傷部位、受傷面積、受傷深達度、受傷原因、原因種別の検討を行った。
【結果】全期間を通して、熱傷患者は緩やかに減少していた。性差はほぽなく、生後6か月から1歳児の受傷が多かった。初診時対応は形成外科が多く、外来通院で経過観察した患者が多かった。受傷部位は背臀部を除き、他の部位でほぼ差はなかった。受傷面積は5%TBSA以下が約80%を占め、深達度はSDBが最も多かった。受傷原因は液体が多く、中でも熱湯汁類が約70%を占めた。熱湯汁類の詳細として、電気ケトルによる受傷が著増していた。
【考察】乳幼児新鮮熱傷症例は減少傾向であった。受傷原因として、特に電気ケトル熱湯による受傷が増加していた。
電気ケトルを保有する家庭が近年増加していることが理由の一つと考えられ、乳幼児を持つ家庭、医療機関、企業、マスコミにおいて情報を共有し、対策を行う必要があると考えられる。
【結論】近年電気ケトル熱傷は増加傾向にある。保護者は危険性を理解し、社会全体としても予防策を講じる必要がある。
 (以上、第49回日本熱傷学会抄録集より引用)

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 電気ケトルはかなり普及しています。
 うちのばあさんも持っていました。
 意外と不安定です。
 沸騰させて倒すと凶器になります。
 私が日本熱傷学会で発表してマスコミに取材していただいたのが、
 加湿器によるやけどです。
 読売新聞社が最初に取材に来てくれました。
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 関西医大形成外科の日原正勝先生は、
 2019年1月26日の第25回日本熱傷学会北海道地方会で、
 特別講演広範囲熱傷の治療戦略2019をしてくださいました。
 日本形成外科学会専門医、
 日本熱傷学会専門医、
 日本救急医学会専門医、
 3つも専門医を持った、
 熱傷治療のスペシャリストです。
 平尾大祐先生のご発表をマスコミが取り上げてくれることを願っています。
 電気ケトルは注意しないと危ないです。

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