医学講座
美容外科合併症と保険診療2023
今日は2023年5月1日(月)です。
札幌もようやくあたたかくなりました。
サクラは散っていますが、
大通公園のチューリップが咲きはじめています。
花壇にお花が植えられて、
とてもきれいになってきています。
GWにたくさんの方がいらっしゃると思います。
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美容外科合併症は誰が診ていくのか?の続きです。
美容外科で注入を受けて失明、
アクアフィリングで感染しICUに入院、
不幸な事故が起きています。
同業者としてとても残念なことです。
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失明の事故や、
重篤な感染が起きると、
患者さんは救急搬送されることが多いです。
救命救急センターの先生は、
豊胸や注入について詳しくないので、
だいたい形成外科医が救急に呼ばれます。
すぐに緊急の処置が必要なことも多いです。
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たとえば眼動脈に注入剤が入ってしまった時、
眼の血管をよく知っているのは眼科医です。
眼科の先生を呼んで、
『動脈に入っている注入剤を溶解したいのですが、、、』
…と相談しても、
健康保険が適応にならない自費の患者さんだったら、
眼科医が処置をしてくれないこともあります。
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理由は私たちが加入している医師賠償責任保険です。
美容目的の手術や治療には、
ふつうの医師賠償責任保険は使えません。
病院で加入している保険も同じです。
もし失明の治療中にさらに悪化しても、
眼科医は責任を取れないですし、
病院も責任を取ってくれません。
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最悪の場合は、
事故を起こした美容外科が、
治療法が悪かったから失明が悪化したと、
責任を眼科になすりつける可能性もあります。
私たち医師には応召義務おうしょうぎむがあります。
『先生治してください』と言われたら、
保険がなくてもお金がなくても、
診なくていけないという決まりです。
美容外科の事故や合併症はほんとうに大変な問題です。