医療問題
看護師の職位
私は平成元年4月1日に札幌市に採用され、市立札幌病院皮膚科へ配属となりました。
医師となって10年目で、34歳でした。
私の職位は、係長職でした。
当時、札幌市の規定で、医師は卒業後一定の年数が経つと、自動的に一般職→係長職→課長職と昇進できました。
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私の記憶が正しければ、市立札幌病院では平成元年から看護係が→看護課になりました。
それまで、看護職のトップが係長職だったのが、課長職になりました。
病院で一番偉い看護婦さんを、総婦長と呼んでいました。
総婦長の職位が係長職から課長職になったのが、約20年前です。
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看護婦さんは、高校卒業後に3年間専門学校に通い、国家試験を受けて‘看護婦免許’をいただいていました。
学歴は、専門学校卒。
医師や薬剤師が、大卒だったのに対し、失礼な言い方ですが、一ランク低い学歴とみなされていたようです。
公務員の給与は、‘学歴’によって、俸給表というランクが変わります。
同じ医師でも、大卒と大学院卒では、少しだけランクが違ったようです。
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この20年の間に、看護婦→看護師と名称が変わりました。
さすがに、看護職の方を‘先生’と呼ぶ習慣はありませんが、大卒の看護師も登場しました。
4年制大学を卒業すると、看護師の他に、保健師の国家試験受験資格も得られます。
看護師・保健師、両方の免許を持ったナースも働いています。
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実際のところは、大卒ナースだから…
看護師・保健師の両方の免許を持っているから…
という理由で、仕事ができる優秀なナースとは限りません。
正直なところ、高校の衛生看護科を卒業して、准看護師の資格を取得し、
働きながら、夜間の進学コースに通い、看護師免許を取得したナースが、
免許取立ての看護師としては、一番戦力になります。
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今でも、病院で‘先生’と呼ばれるのは、医師と薬剤師です。
理由はよくわかりませんが、長い間の慣習でしょうか?
従来は、病院での職位は、医師と事務長が高かったようです。
平成元年は、院長、副院長と主任医長の一部の偉い先生が、札幌市の局長職に相当する‘理事’でした。
医師以外の理事は、札幌市の本庁からいらっしゃる、事務局長だけでした。
理事になれる先生は、5人くらいしかおらず、給与も退職金も多かったと聞いています。
事務局長は、札幌市の中でもかなり優秀な方がいらっしゃいました。
区役所の区長クラスの方だったと記憶しています。
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薬局長も、医学博士の学位を取得した、偉い先生でしたが理事ではありませんでした。
看護師は、理事どころか、ようやく課長職になったばかりでした。
ところが、この20年間に、飛躍的に昇進したのが看護職です。
課長職→部長職→理事(副院長)と…
あっという間に、副院長にまで昇進しました。
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このような、‘昇進’は、他の
薬剤師
臨床検査技師
診療放射線技師
理学療法士
作業療法士
などでは、考えられないことです。
もちろん事務職の事務局長でも、副院長にはなれません。
医事課の事務員さんは、20年前から、派遣の方が活躍なさっていました。
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看護職の昇進は、市立札幌病院に限ったことではありません。
大学病院や一般病院でも副院長として、看護師を登用しています。
これは、国の方針が変わったからです。
診療報酬にかかわる、看護料の比率が大きくなったからです。
看護師を数多く確保しないと、病院の存続にかかわることになったからです。
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病院というところは、マンパワーが必要なところです。
一番、数が多いのが、看護職です。
大病院になると、数百人単位の看護師さんがいます。
数百人の部下を持つトップです。
理事も副院長も当然だと私は思います。
遅すぎたくらいです。
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この20年で、看護職に求められる仕事も実に増えました。
北大病院では、現在、看護部長を公募しています。
HPを拝見すると、看護師としての実務経験の他に、研究業績が必要なことがわかります。
著書,論文,学会発表など、従来は大学の講師・准教授・教授などに求められたことが、看護部長に要求されています。
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数百人の部下を持つ、局長職(副院長)の職責は重いものです。
もし、看護部看護課の看護師が不祥事を起こせば、副院長も当然、責任を問われます。
教育・研修に対する責任も大きくなります。
将来、大病院の看護職のトップは、
看護学博士号を取得した‘先生’になるのでは…?
と、私は考えています。
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私たちのような、小さな診療所は、医師も看護師も同じサービス業です。
医師も看護師も、高度の専門的知識と技術を持った‘接客業’だと考えています。
私は、‘白衣の天使’ということばが好きです。
看護職の基本は、他の方への愛情・奉仕・技術・サービスだと思います。
笑顔や、優しい思いやりがなくてはできない職種です。
どんなに偉くなっても、優しい看護婦さんであって欲しいと願っています。