医療問題
再診料引き下げ
平成20年1月17日、朝日新聞朝刊の記事です。
再診料下げ医師会反発
医師不足緩和-増す不透明感
開業医の収人源にどこまで切り込み、勤務医不足対策に回すことができるのか-。
診療報酬の2008年度改定の配分をめぐる議論が、16日の中央社会保険医療協議会(中医協)で始まった。
厚生労働省は、勤務医に比べて優遇されている開業医の再診料の引き下げを提案したが、日本医師会は猛反発。対立が続いた。
対策の実現に向けて不透明感が増している。(太田啓之)
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対馬忠明・健康保険組合連合会専務理事
開業医の再診料の引き下げた分を産科や小児科につけるのが、医師不足対策の分かりやすいメッセージとなる。
鈴木満・日本医師会常任理事
開業医が楽してもうけているなんてことはない。引き下げは絶対反対だ。
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都内で聞かれた中医協の会合。
健保連などの支払い側と医師会の激しい応酬は予定を1時間オーバーし、3時間に及んだ。
外来の初診料は、開業医、勤務医とも2,700円で同額だが、再診料は勤務医570円に対し、開業医は710円。
患者は自己負担が少なくて済む病院に通いがちとなり、入院患者の治療が本来の仕事であるはずの勤務医は外来に追われ過剰労働を強いられている。
このため、厚労省は今回の診療報酬改定の「緊急課題」として、開業医の再診料の引き下げを提案した。
昨年末の改定率交渉では、医師の収入に直結する診療報酬の「本体部分」について、8年ぶりに0.38%引き上げることが決定。
この財源に加えて、再診料引き下げで浮いたお金を、勤務医不足が著しい産科・小児科などに重点配分する方針を打ち出した。
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支払い側も厚労省に歩調を合わせる。
健保組合は昨年末の2008年度予算編成で、中小企業向けの政府管掌健康保険への国の負担を、共済組合と合わせ1千億円肩代わりすることをのまされた。
社会保障費の歳出削減を健保組合などの「犠牲」で達成し、診療報酬のマイナス改定を回避した。
これで開業医の既得権益が温存されるなら、我々は『取られ損』(健保連幹部)との思いが強い。
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医師会の鼻息は荒い。年明け早々、「再診料は医師の無形の技術を評価する重要な項目で、死守する」との方針を決定。
医師不足対策としてプラス改定分に相当する国費300億円(医療費べースで1,200億円)をあてることは認めているが、
再診料という自らの懐には「手をつけさせない」という考えだ。
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次期総選挙がとりざたされるなか、支持をとりつけたい自民党も医師会をバックアップ。
厚労関係議員は「医師会には思い切りけんかするよう言ってある。
再診料を引き下げる必要など、まったくない」と話す。
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中医協は2月中旬までに再診料をはじめとする個別の治療行為の価格を決定するが、調整難航は必至だ。
医師会の利害むき出しの主張に、他の委員が「それでは国民の納得が得られませんよ」と、半ばあきれ顔で諭す場面もあった。
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開業医への報酬手厚さはっきり
厚労省の昨年6月の調査によると、病院の1ヵ月当たりの赤字額は2年前の前回調査に比べて2倍以上の1,315万円に膨らむ一方、
開業医の平均の黒字額は100万円増の336万円。
平均年収も私立病院の勤務医が1,603万円に対し、開業医は2,531万円。
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再診料や慢性疾患の管理料など、開業医への報酬の手厚さは、数字にはっきりと表れている。
一方、勤務医が担う高度な手術や病院の設備投資に対する報酬は概して低い。
開業医の権益が温存され、診療報酬の配分の偏りがただされなければ、
病院が行う「命にかかわる医療」の質が下がる恐れがあるとの指摘も出ている。
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2008年度の診療報酬改定の骨子案
↑主な引き上げ項目
産科、小児科の重点評価
開業医の夜間診療の報酬を引き上げて時間外診察を促し、勤務医の救急医療負担を軽減
重症患者の専門的・総合的医療を担う大病院の入院料上乗せ
放射線治療や緩和ケアなどがん治療の体制が整った施設を評価
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↓主な引き下げ頂目
開業医の再診料をカット
療養病床の入院料を引き下げ、介護保険施設への転換を促進
軽いやけどなど、簡単な治療への評価を廃止
コンタクトレンズ専門の診療所への報酬をカット
(以上、朝日新聞より引用)
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朝日新聞の他、読売新聞などでも、同じ論調で‘医師会批判’‘開業医批判’が出ています。
私は、再診料の710円と570円の差ではないと思います。
患者側が支払うのは、3割負担の方で、710円の3割→210円。
570円の3割→170円です。
特売のティッシュを買うのでしたら、210円が170円で売っていれば、間違いなく買いに行きます。
ところが、一ヵ月に一回行く、美容室の料金だったとします。
210円-170円=40円です。
40円の違いで、美容室を変えますか?
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70歳以上の高齢者の方でしたら、もっと違いが少なくなります。
710円の1割→70円。
570円の1割→60円です。
70円-60円=10円です。
たった10円の違いで、3時間待ちの3分診療と言われる、大病院へ行きますか?
大部分の方は、大病院の方が、なんとなく安心できるから、大病院へ行かれるのです。
もう少し、詳しい方は、大病院が安い理由をちゃんとご存知です。
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開業医が‘儲かる仕組み’は、再診料の違いではないのです。
特定疾患療養管理料(月2回まで)
診療所 225点
病床数99床以下病院 147点
病床数100~199床病院 87点
という、管理料が‘開業医儲かりの秘密です’
大病院はこれがないので‘安い’のです。
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・悪性新生物 (ガン)
・糖尿病
・高血圧性疾患
・虚血性心疾患
・不整脈
・心不全
・脳血管疾患
・単純性慢性気管支炎
・詳細不明の慢性気管支炎
・肺気腫
・喘息
・胃潰瘍
・十二指腸潰瘍
・胃炎及び十二指腸炎
・慢性ウイルス肝炎
・アルコール性慢性膵炎
・その他の慢性膵炎
などの病気で通院している患者様に、「計画的な療養上の管理を行った場合」に、月2回を限度に請求できると定められています。
これが、高いのです。
診療所 225点ということは、2,250円です。
再診料の他に請求できます。
再診料710円+特定疾患療養管理料2,250円=2,960円。
この他に、処方箋料などがかかります。
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私たちのような、形成外科には特定疾患療養管理料がありません。
ケロイドなど、難治性の病気や、
生まれつきの病気(唇裂など)に、一人当たり一時間かけて説明しても
再診料しか請求できません。
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開業医の平均年収が2,531万円と書かれています。
ただ、ここから借金を返済しなくてはなりません。
退職金もありません。
私のように、深夜までメールの返事を書いて、
朝から夜まで働いても、そんなに‘儲かる仕事’ではありません。
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自分が働いて、一人でも多くの方に喜んでいただいて…
自分の好きな仕事ができる喜びがあるから、仕事を続けています。
マスコミの方も、もう少し突っ込んで、開業医批判をなさっていただきたいと思います。
私たちのような形成外科では、‘再診’は、赤字部門です。
人件費・医薬品費・材料費・光熱費・減価償却費などを考えると、、‘再診’は、赤字になります。