医学講座

JAL機事故

 新千歳空港で、平成20年2月16日午前10時33分頃に、
 日本航空502便、定刻9:05発(ボーイング747、乗客・乗員446人)が
 管制官の許可なく滑走を始め、
 停止を命じられるトラブルがありました。
 滑走路上には関西国際空港から到着した
 日本航空2503便(MD90、乗客・乗員126人)がいたため、
 緊急停止しなければ、衝突の危険性があったという問題です。
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 事故当時は、風雪のため、視界が500m程度。
 滑走路は一本が閉鎖して除雪中。
 航空機の離発着も大幅に遅れていました。
 事故の原因は、
 日本航空の機長(58)、副操縦士(27)、副操縦士(32)が
 管制官の英語の指示を聞き間違えたと報道されています。
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 新聞各社は、日本航空が経営再建中であり、
 高騰している、燃料の節約のために、離陸を急いだ。
 機体に散布した防氷液の効果時間に気を取られて聞き間違えた。
 経営優先の企業体質が問題だ。
 と日本航空を非難した報道が目につきます。
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 その中で朝日新聞が、
 管制官が使った英語の、
 ‘Expect immediately takeoff.’(直ちに離陸するよう備えよ)
 を取り上げています。
 国交省監修のマニュアルにはない表現だが、
 混雑時などに国際的に使われているとのことです。
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 JALの機長さんは58歳です。
 おそらくベテランの機長さんだと思います。
 今までの、経験の中で、
 新千歳の管制官が使ったことがない表現だったのではないでしょうか?
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 大雪でダイヤが乱れた時は、
 乗客を一刻も早く目的地にお連れしたいというのが、
 機長さんのお気持ちだと思います。
 もし、最初の‘Expect’を聞き逃したら…
 ‘Immediately takeoff.’が管制官の指示になります。
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 航空無線の音質はわかりません。
 ただ、たまに機内で聞かせていただく、
 『操縦室からご案内いたします。』
 『当機はあと○○分で新千歳空港へ着陸予定です。』
 なんてアナウンスも、あまりいい音質ではありません。
 エンジン音でかなり聞きづらいこともあります。
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 そもそも、日本人の管制官が日本人の機長に指示を出すのに
 英語を使う必要があるのでしょうか?
 規定では、英語または母国語となっているそうです。
 英語で指示を出して、日本語で復唱すれば事故は防げるのでは?
 ある新聞によると、
 日本の空で交わされている英語は、
 Nativeの人が聞くに堪えないヒドイ英語だそうです。
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 医療事故も指示の聞き違えで起こることがあります。
 紛らわしい指示は出さない。
 間違いやすい指示は出さない。
 重要なことは復唱する。
 大切な薬や血液は複数で確認する。
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 航空業界は、安全に関する研究や実践が、
 一番発達していて、充実している業界のはずです。
 日本航空一社の問題とせずに、
 制度そのものを、国土交通省が考えるよい機会だと思います。
 私はいつもANAを利用していますが、
 JALさんにも頑張っていただきたいと思います。

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