医学講座
ワキガといじめ
平成20年2月2日、朝日新聞夕刊の記事からの引用です。
東京都内で行われている、日本教職員組合(日教組)の教育研究集会の分科会でのお話しです。
福岡県内のある市立中学校での事件です。
3年生の学年主任の教諭(44)が、「学校裏サイトとの闘い」を発表されました。
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その中学校の学校裏サイトで、
「○○(生徒の実名)体くさい」
「あいつ死んだほうがいいよ 女子でいじめよう」
「キモイ顔面しやがって」
と書かれていました。
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以下が朝日新聞からの引用です。
(先生は)全クラスで道徳の授業を行い、裏サイトについて考えさせた。
各クラスの担任は裏サイトの内容を黒板いっぱいに書き出した。
書き込みの多さと内容の醜さ、ひどさに気づかせるためだ。
書き込みが原因で殺人事件が起きたり、悪口を書かれた人が自殺したり、最悪の場合は死につながることも教えた。
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主任は、その日の「帰りの会」(学年集会)でも訴えた。
「名前が出ないからと人を傷つければ、書き込むごとに自分の心がカサカサになる」
「嫌な書き込みをしたことがある人は今夜削除してほしい」
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同時に、掲示板の管理人に誹謗中傷の書き込みの削除を要請した。
ネット上に掲示板の場所を提供していたプロバイダーには、掲示板の閉鎖を依頼した。
6月20日。
授業参観後の父母らとの懇談会で書き込みの抜粋を示し、裏サイトで傷ついている生徒がいる現実を知らせた。
「ひどい」。顔をしかめる親もいた。
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プロバイダーが対応したのか、その後、掲示板は閲覧できなくなった。
その後。3年生のあるクラスに新しい掲示板ができた。
欠席したり早退したりした生徒のために、次の日の授業で準備が必要なことなどを書き込む場だ。
生徒たちが自ら大事に運営し、「楽しい掲示板」になっているという。
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主任は反省を込めて語る。
「教師は裏サイトのことを知らなさすぎる。もっと勉強しなければ。誹謗中傷があれば、削除や掲示板の閉鎖が必ずできる仕組みも必要だ」
(以上、朝日新聞から記事の一部を引用しました。)
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ワキガ体質の方は、思春期から症状が出始めます。
女の子でしたら、12~13歳頃から、男の子は少し遅く、13~14歳頃から、というのが一般的です。
ちょうど中学校入学の頃です。小学校までは制服がありません。
中学校になると、制服を着るようになります。
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私が、中学生だったのは、もう40年も前です。
その頃は、男子はワイシャツに学ランと言われた学生服。
女子は、ブラウスにブレザーかベストというのが一般的でした。
ワイシャツもブラウスも白が基本。
色柄物は、不可でした。
白いワイシャツを着るようになって、自分も少し大人になったような気がしたものです。
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ところが、ところが…
白いワイシャツや白いブラウスは、ワキガ体質の方には過酷です。
すぐに脇の部分が黄色く変色してしまいます。
他人に敏感な年頃の子供たちです。
『○○臭い(クサイ)』
福岡の中学校で臭いといわれた子が、ワキガだったかどうかは不明です。
ただ、誰かが『くさい』と言い出すと全体に広がります。
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札幌美容形成外科を受診する方の中にも、ワキガが原因でいじめられた女子生徒がいます。
もちろん、裏サイト対策も重要です。
ワキガ以外が原因でいじめられることもあります。
私も言語障害といじめられました。
ただ、ワキガ体質の方は、社会に出てからも苦労します。
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医師、歯科医師、看護師、歯科衛生士、介護福祉士など
医療分野で活躍する人は、白衣が制服です。
他人と接触することが多い職種です。
手を使う仕事なので、就職してからの手術はまず無理です。
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私は、本人が気にしているなら手術を受けるべきだと思います。
男の子でしたらお父さん
女の子でしたらお母さん
と同じ程度に腋毛が濃くなったら手術は可能です。
高校生から大学生の間に手術を受ける方が多いです。
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卒業式が終わってから、高校や大学へ進学するまでの間がチャンスです。
高校3年生で、進路が決まっていて、2月に学校へ行く必要がない人は
卒業式前もチャンスです。
ワキガ手術は、一生に一度の手術です。
健康保険も適用になります。
いじめは中学校だけではありません。
社会に出てからも、『くさい』と言われて気分がよい人はいません。
時間がある時に、是非受けていただきたい手術です。