医学講座
自動車と顔のケガ
私が医師になったのが、
1980年でした。
昭和55年です。
オイルショックを経験した日本が、
まだ高度成長を続けていた時代でしょうか?
当時は、今より自動車は普及していませんでした。
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私が運転免許を取得したのが、
1974年です。
昭和49年。
大学に入学した年の夏に、
自動車学校に通って取りました。
当時は、
ようやく運転席のシートベルトが
3点式になった頃でした。
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それより以前は、
運転席でも…
飛行機のベルトのような…
2点式が一般的でした。
自動車のシートも、
首の後ろに枕がない、
ベンチ式シートが一般的でした。
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三丁目の夕日なんかを見ると、
当時の自動車は
黒塗りでも今より小さく、
シートベルトもなく、
首の後ろには何もありませんでした。
交通事故(特に追突)が増えて、
ムチ打ち症という外傷が問題になり、
頚部を守るために枕がつきました。
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昔のフロントガラスは、
部分強化ガラスという、
衝撃を受けると…
粉々に割れるガラスでした。
このガラス片が顔に刺さると、
小さなキズがたくさんついて、
それはそれは治すのが大変でした。
今のガラスは簡単に割れません。
ですから安全面では、
乗用車は驚くほど進歩しました。
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エアバッグが出たのは、
シートベルトよりずっと後です。
シーマという日産の高級車についたのが
国産車の最初だったと思います。
訂正します。
ウィキペディアによると、
日本車初のエアバッグ搭載車は、
1985年にホンダが発売したレジェンドだそうです。
申し訳ございません。
千歳へ向かう高速道路で、
シーマが事故に遭い、
エアバッグが作働し、
運転者は軽症で済んだという記憶があります。
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一般の方は、
実感がないと思いますが、
救急医療の現場にいると、
自動車の安全装備でケガも変わりました。
シートベルトが義務化されてから、
顔の大きなケガは減りました。
今は後席もシートベルトが義務化されました。
もっとケガは減ると思います。
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本間家では、
25年前からチャイルドシートを使っていました。
私はケチですが、
エアバッグがオプションで、
10万円以上もした頃からつけていました。
わが家の車は、
5年以上の経年車ですが、
安全装備は万全にしています。
大切な顔にキズをつけたくなければ、
シートベルトは必ずしてください。
安全性の高い車を選んでください。
安全運転をする人を選んでください。
事故は未然に防ぐことができます。