昔の記憶

ペット可の貸家

 平成6年は、
 今のように
 ネットが発達していませんでした。
 帯広に転勤する時は、
 家を探すのに苦労しました。
 愛犬のチェリーを飼っていたので、
 『犬を飼ってもOK』
 という貸家を探すだけで大変でした。
 帯広の職業別電話帳を、
 NTTでコピーして、
 札幌から片っ端から電話をしました。
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 帯広の不動産屋さんの中には、
 『イヌを飼ってもいいなんて大家さんはいませんよ!』
 とピシャリと言われたところもありました。
 ようやく何軒か目星をつけて、
 家内と帯広へ車で向かいました。
 12月10日の吹雪の日でした。
 夕張を過ぎた頃には、
 前方が雪で見えなくなり…
 このまま遭難するのでは?
 と思いました。
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 やっとの思いで、帯広に着きました。
 これは!
 と思っていた家は、×でした。
 最後にたどり着いた家は、
 不動産屋さんが終了してしまっていました。
 FAXしていただいた資料から
 その家を見に行きました。
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 外から家の中を見ると、
 明かりが点いていました。
 家内と、
 おそるおそるピンポンを押してみました。
 そこのお宅の奥様が出てきてくださいました。
 『私たちも貸家探しで苦労したのょ。』と
 とても親切に応対してくださいまいした。
 その奥様から、
 大家さんは
 大手住宅建材メーカーにお勤めであること。
 札幌に転勤で住んでいらっしゃること。
 住所と電話番号も教えていただきました。
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 札幌の大家さんのご自宅は、
 私が住んでいたのと同じ、
 西区山の手にありました。
 お電話をして、
 家内とチェリーを連れてお伺いしました。
 『この犬を飼ってもいい家が見つからないと、
 私は帯広厚生病院に赴任できません。』
 万一、犬が住宅を毀損(キソン)した時は、
 すべてこちらが費用を負担して直します。
 必死の思いで、お願いしました。
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 大家さんは、快く許可をくださいました。
 こうして、
 私は帯広厚生病院へ赴任できることになりました。
 今でこそ、
 ペット可のマンションや住宅が増えています。
 14年前は、
 まだペット可の家はありませんでした。
 その後、私は札幌の自宅を貸しました。
 もちろん『ペット可』です。
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 平成元年に、
 分不相応な家を建てて、
 住宅ローン地獄に陥っていた私は、
 平成7年1月に帯広に転勤して、
 自分の家を借りていただき、
 ローン地獄から
 脱出することができました。
 世の中何が幸いするかわかりません。
 今でも家を貸してくださった
 大家さんに感謝してます。


帯広でお借りした家
平成7年4月16日

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