医学講座
埋没法が取れた!
埋没法が取れた!
と来院される方がいらっしゃいます。
糸が取れた!
糸が外れた!
糸が切れた!
『どうしよう、助けてぇ~』
といらっしゃいます。
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どんな美容外科で手術を受けても、
現在、埋没法に使われている糸は、
厚生労働省が認可した、
ナイロン糸という糸です。
かなり細い糸ですが、
簡単に切れたりはしません。
以前は、
初心者の先生が手術をして、
結び目がほどけたような例もありましたが、
最近はめったにありません。
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埋没法は糸で二重のクセをつける手術です。
糸で皮膚を内側へ引っぱって、
二重のラインを作ります。
最初は糸が真皮(しんぴ)という、
皮膚の下にいて強く引っぱっています。
ラインがくっきり見える時期です。
そのうちに、
皮膚の下の眼輪筋(がんりんきん)という、
筋肉の中に結び目が入ります。
ちょうど落ち着いてラインが安定する頃です。
■ ■
糸の周囲には瘢痕(はんこん)という、
線維性の被膜(ひまく)ができます。
この瘢痕(はんこん)でできた被膜(ひまく)が
糸の代わりに皮膚を引っぱるようになります。
瘢痕(はんこん)は自分自身の組織ですから、
糸のように切れたり溶けたりしません。
ですから、埋没法で手術をしても、
生まれつきの二重と同じ構造が、
半永久的にできるのです。
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糸が外れるというのは、
もともと埋没法には向いていない目の方です。
糸も瘢痕(はんこん)も
とても細いので、
まぶたが重い方だと、
皮膚を引っぱりきれなくなります。
それが糸が取れた状態です。
糸で引っぱっていた
糸と皮膚との接合部が取れることです。
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アイプチやメザイクは、
糊で皮膚と皮膚をくっつけて、
二重のラインを作ります。
洗顔して糊が取れると、
ラインも消失します。
これと、
糸が取れたのはちょっと違います。
大部分の方は、
糸はしっかり残っています。
■ ■
埋没法に向かない目は、
眼瞼下垂症の目。
筋肉や脂肪が厚い目。
アレルギーで痒くなる目。
などさまざまです。
札幌美容形成外科では、
埋没法で取れた方を、
たくさん手術しています。
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埋没法をする前の目を見せていただくと、
眼瞼下垂症だった方がたくさんいらっしゃいます。
全切開で大きなキズがあるのに、
二重のラインができなかった方もいらっしゃいました。
他院で埋没法を受けていると、
その糸を捜して取るのも大変です。
眼瞼下垂症手術は保険診療の手術なので、
糸を外しても、
脂肪を取っても、
追加料金はいただけません。
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手術が終わって、
黒目がしっかり出るようになって、
ものが見やすくなって、
肩こりもなおって、
よかったね!
と喜んでいただけるのが、
私の唯一の楽しみであり、
生きがいでもあります。
埋没法が取れてしまった方は、
手術前の目をもう一度確かめてください。