医学講座
癌の告知
さくらんぼさんから、
癌(がん)の告知について、
ご質問をいただきました。
私は形成外科医として、
皮膚がんの手術を担当しました。
顔や手足など、
身体中どこにでも、
皮膚がんができます。
■ ■
目に見えるところを、
切って
がんを切除する
ので、
正確に病名を告げなければ、
手術はできません。
悪性の疑いがありますので
大きく切除して検査します。
では…
手術を承諾していただけません。
■ ■
手術を前提にお話しする時は、
がんのことを
できるだけ詳細に説明して、
手術の必要性や、
起こり得る障害などについて、
ご説明していました。
問題なのは…
手術の適応もなく、
他の治療法でも難しい、
末期がんのような場合です。
■ ■
不治の病であると、
告知すると…
患者さんは絶望され…
生きる望みすら無くしてしまいます。
大企業の経営者。
政治家。
社会的な地位がある方…
その方の病気がわかってしまうだけで、
会社の株価が大暴落…
なんてことが起きそう…
という場合はどうでしょうか?
■ ■
企業が存続の瀬戸際で、
社長が『がんで余命6ヵ月』とわかれば、
大変なことになります。
人間の‘死’には、
‘死後’にさまざまなことが起こります。
末期がんの方でも、
正確に病名を告げなければならないことがあります。
『医者同士』の場合も困ります。
■ ■
私の考えは…
がんの告知は、
ケースバイケース
だと考えています。
医師とストレスという日記に書きましたが、
医学なんて無力なものです
山崎浩一先生を偲ぶという日記に書いてあります。
山崎先生の
「患者さんの性格や職業、家族まで考えて治療方針を決める」
「がん患者に向き合う医師は、
病気の進行について悲観的な見通しを言うの
は絶対にやめてほしい。
という言葉が私の心に残っています。