医療問題
増えてほしい苦労人の医師
平成21年3月25日、朝日新聞
声の欄への投稿です。
増えてほしい
苦労人の医師
精神保健福祉士
薮 純子 (東京都新宿区 48)
精神科の外来受付で、
「医師に会いたい」という女性が
「入院患者さんを診ているのでだめ」と、
強い口調で断られていた。
別の医師が対応してくれるといいのにと思った。
■ ■
私の知っている精神科医には名医が多いが、
別の病院で目撃した例に、
こんなことがあった。
患者が病気で働けず、
親の死後どうしたらいいのか困惑していると、
担当医師が「親は必ず死ぬよー」。
患者はショックを受けたに違いない。
■ ■
医師は確かに正しいことを言っている。
しかし、
病人にそんな言い方をしてはいけない。
ショックで自殺でもしたらどう責任を取るのだろう。
患者は
「まだまだ大丈夫ですよ」
言われて、
やっと自立に向けて頑張る気になるものである。
■ ■
医師は医学部受験を勝ち抜いてきた
「お坊ちゃま成功者」が多い。
それでも、
感受性の強い優しい人や
挫折を乗り越えてきた苦労人なら、
患者と共感できる医師になれる。
そんな精神科医が多く生まれることを望む。
(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
現役合格をした優秀な学生さんを
否定するのではありません。
ただ、
「お坊ちゃま成功者」
という言葉がぴったりの学生さんが、
現実に存在します。
小さい時から、進学塾に通い。
名門校でもトップクラスの成績でないと、
有名国立大学医学部に、
現役合格はできません。
■ ■
私の身近に、
中学2年生の時に、
病気になって病院へ行き、
『先生、ぼくの病気は治るんですか?』
と医師に尋ねたところ、
『あぁ、一生治りません。』
と言われショックを受け、
それから医学部を目指した医学生がいます。
■ ■
彼は苦労して、
浪人して…
医学部へ進学しました。
『一生治りません』と言われた病気とも、
上手に付き合って、
今のところ元気に学生生活を送っています。
彼が苦労人だとは思いませんが、
少なくとも他の人よりは、
他人の苦しみが理解できると思います。
■ ■
他にも、
小さい頃からアレルギー性鼻炎に悩まされて、
耳鼻科医師になった先生。
小さい頃からアトーピー性皮膚炎に悩まされて、
皮膚科医師になった先生。
自分の父親が盲人なので、
眼科医師になった先生。
たくさんの
‘病人’の苦しみを知っている、
先生がいます。
みなさんとてもよい先生です。