医学講座
医者冥利(みょうり)
医師になってよかったと思う瞬間があります。
それはお給料をいただいた時とか…
ではありません。
自分が他人の役に立った…!
と実感できた時です。
この院長日記でも…
何人かの先生の医者冥利を掲載しました。
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私が一番印象に残っているのが…
産科医冥利という
2007年10月29日に掲載した、
日本産婦人科医会会長、
浜松医科大学長の寺尾俊彦先生のエッセイです。
メディカルトリビューンという
医師向けの新聞に掲載されていました。
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以下が要旨です。
名古屋大学医学部附属病院に勤務していた40年前、
ある日、浜松から患者さんが診察にみえた。幼いころ、脊柱が湾曲する病気にかかり、身長が中学生位の方だった。
大学で福祉の勉強をしたという、とてもかわいらしい女性である。卒業後、高校教諭と結婚したが、出産はあきらめていた。どの産婦人科医に尋ねても無理とのこと。
しかし、愛する夫の子がどうしても欲しいと遂に名古屋まで来たという。
正直、私も無理かと思った。子宮が大きくなるにつれ腸の行き場がなくなり食事ができない、また、背骨が痛むのではないかと心配した。
しかし、話をしているうちに、この方の明るさと前向きな姿勢なら、ひょっとしていけるかもしれないと思うようになった。
結局、浜松から名古屋まで通っていただき、帝王切開で無事、男の子が誕生した。更に数年後には女の子が誕生した。
この男の子が名古屋大学医学部に入学し医師となった。
卒業後2年間の研修医期間を終え、私たちの産婦人科教室に入ってくれた。さらにまた、結婚し、私たち夫婦が仲人をさせていただいた。
最近、この夫婦にも赤ちゃんが誕生したが、将来きっと素晴らしい医師になってくれるに違いない。
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医師という仕事は、
ストレスの多い仕事です。
患者さんの死という…
避けては通れない場面と遭遇します。
どんなに頑張っても…
救命できないこともあります。
鹿野恒先生という日記に書いてあります。
そんな時には無力感に襲われます。
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美容外科や形成外科は…
想像以上に大変な仕事です。
結果が目に見えるために…
どんなに上手にできた!
…と、こちらが思っても…
患者さん(お客さん)が気に入らなければ…
零点と同じです。
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私にも…
形成外科医になってよかったと思ったことがあります。
私の顔を治してください
と頼まれて…
6時間30分もかけて治した方から…
結婚しましたと…
写真付の葉書をいただいた時。
昔、赤ちゃんの時に手術をした患者さんが
訪ねて来てくれてた時。
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美容形成外科医になってからは…
手術を受けていただいた方から
院長日記に…
手術を受けてよかったと
コメントをいただいた時。
苦労して手術してよかった!
と…
医者冥利を実感しています。
これからもがんばりたいと思います。