医学講座

第58回日本形成外科学会【京都】③

 京都の日本形成外科学会も2日目は、
 少しだけ暖かくなりました。
 桜は散っていますが、
 しだれ桜は咲いています。
 北海道にはあまりないので、
 しだれ桜に見とれます。
 京都は美しい街です。
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 2日目の学会は、
 眼瞼の発表を聴きました。
 午前9:00から11:56までの一般演題と、
 午後のパネルディスカッション、
 先天性眼瞼下垂を聞きました。
 先天性眼瞼下垂は難しいです
 先天性眼瞼下垂症は原因不明の疾患です。
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 先天性眼瞼下垂
司会:慶應義塾大学形成外科 貴志和生
PD3-1 神経生理学的アプローチによる先天性眼瞼下垂手術
信州大学形成外科 松尾 清
PD3-2 当科における先天性眼瞼下垂症の治療
慶應義塾大学形成外科 清水雄介
PD3-3 当科における先天性眼瞼下垂症に対する筋膜移植法
-自然な開閉瞼のために
神戸大学形成外科 一瀬晃洋
PD3-4 先天性眼瞼下垂に対してゴアテックスシートを使用した前頭筋吊上げ術
藤沢市民病院形成外科 小久保健一
PD3-5 先天性眼瞼下垂の治療に関わる3つの論点
帝京大学形成外科 権太浩一
PD3-6 デジタル画像解析システムを用いた先天性眼瞼下垂の評価
福岡大学形成外科 小野澤久輔

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 先天性眼瞼下垂の治療が難しいのは、
 眼瞼挙筋がない、
 あるけれど機能しない、
 …ので、
 なんらかの方法で、
 瞼を引き上げる必要があるからです。
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 多くの先生が使っているのが、
 大腿筋膜という太もも外側にある、
 筋肉の膜です。
 太ももに傷をつけなければ
 採取できません。
 移植する本数や、
 形状にも工夫が必要です。
 簡単な手術ではありません
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 生まれた時から目が開かないので、
 放置すると、
 赤ちゃんが弱視になってしまいます。
 赤ちゃんには、
 目を開いて、
 もの見るという刺激が必要です。
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 小さな赤ちゃんに、
 太ももから筋膜を取って移植すのは至難のわざです。
 移植した筋膜が収縮することもあります。
 私がいいと思ったのが、
 慶應義塾大学形成外科清水雄介先生のご発表です。
 赤ちゃんの目を、
 侵襲が少ない方法で開く手術です。
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 清水先生の手術は、
 ナイロン糸で瞼を吊り上げる方法です。
 埋没法ではありません。
 ナイロン糸で、
 目を開く手術です。
 他の材料に比べて、
 患者さんへの侵襲が少ないです。
 自分の孫だったらまずこの方法をお願いします。
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 大腿筋膜移植は、
 いろいろな術式があります。
 先生による差が大きい手術です。
 下手な先生がすると、
 瞼が変形して、
 角膜に傷がつきます。
 ある程度大きくなってからするのがいい手術です。
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 移植する筋膜を、
 何本、
 どんな形で移植するのかも難しいです。
 札幌美容形成外科では筋膜移植は実施していません。
 入院設備がある病院で手術を受けることをおすすめします。
 移植した大腿筋膜が収縮するため、
 目の開きが変わることもあります。
 赤ちゃんの手術は視機能に影響するため、
 従来は眼科が手術をすることが多かったのですが、
 形成外科でも良い結果を出しています。
 私のおすすめは信州大学形成外科の松尾清先生です。
 従来の問題点を改良して、
 よい結果が出ていました。

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