医学講座
新幹線で焼身自殺
2015年6月30日、午前11時半ごろ、
神奈川県小田原市上町を走行中の東京発新大阪行きの東海道新幹線のぞみ225号(16両編成)の1号車内で出火し、緊急停止した。
平成27年7月1日、朝日新聞朝刊の記事です。
神奈川県を高速で走る東海道新幹線の車内で、30日に起きた火災。油のようなものを自らかぶって死亡した林崎春生容疑者(71)は火をつける直前、涙を浮かべていたという。逃げ場のない密室で起きた突然の惨事。乗客たちは青ざめ、恐怖を語った。
のぞみ225号が東京駅を出たのは午前11時。
出張に向かうため、1両目の10列目前後の席に腰を下ろした都内の会社員男性(43)は、新横浜駅を出た後も、通路を行ったり来たりしている林崎容疑者が気になった。作業服のような格好で荷物をひきずり、少し違和感を覚えたという。
65人分の自由席に約50人の乗客がいた。「席は空いているのに変だな」。最前列に妻といた男性(28)も、2列目に座っていた吉浦裕子さん(67)も、うろつく様子を注視していた。
林崎容疑者は先頭のデッキに行くと、そこにいた男性にたばこを勧めた。男性が断ると「危ないから(車両の)中に入りなさい」と声をかけたという。さらに最前列に孫2人といた女性に「お金が落ちていたからあげるよ」と千円札を数枚渡した。断られると、テーブルの弁当箱に挟んだようだったという。
その直後、乗客の方を向いて仁王立ちになった。手にはライターがあった。
前から6列目に座っていた千葉県柏市の会社員男性(58)は、こちらを向いて立った林崎容疑者が、ふたのあいた白いポリタンクを右肩にかつぎ、液体を自分の体にかけ始めるのを見た。「淡々とまるで仕事をやるような感じだった」と最前列の男性は言う。
液体はピンクがかっており、柏市の会社員はとっさに「ガソリンだ」とカバンをつかんで逃げた。林崎容疑者は無言で涙を流していたという。
「油をまきやがった」という声が車内に響く。液体が床を流れる。最前列の女性は、林崎容疑者に「やめなさい」と声をかけた。一部の乗客が逃げ始めた。
会社員の千葉祐一さん(38)が振り向くと、林崎容疑者がライターでカチカチと火をつけていた。車内は一気にオレンジ色に。炎は天井まであがった。林崎容疑者の姿は見えなくなった。
乗客はなだれ込むように2両目に向かった。黒煙が迫り、全身がすすで真っ黒に。子供の泣き声、「早く行って」という女性の悲鳴。子供を優先しようと声を掛けあう人もいた。
2両目にいた会社役員の男性(64)は、1両目からなだれ込んできた人が「3両目に逃げろ」と叫んでいるのを見ても、状況がわからずにポカンとしていた。
しばらくして、煙が流れてきた。1歳5カ月の息子とともに、岐阜県の実家へ帰省する途中だった主婦(32)は座席から慌てて逃げたが、濃い灰色の煙で前が見えなくなった。見えるのは、せき込んで泣いている息子の顔だけ。抱きかかえながら、中腰で5両目まで逃げた。
1、2両目の乗客たちが後ろへ後ろへと逃げている時、まだ列車は動いていた。
列車は新横浜駅から約47キロの地点で急停止。車内は停電になった。車内放送が火災の発生を告げ、「1号車、2号車の人は、すぐに後ろの車両に逃げてください」と焦ったような声で告げた。
4両目にいた戸田純代さん(41)は、何かが焦げたのかと思っていた。数秒後、顔が真っ黒にすすけた人たちが次々と後ろへ逃げていく。「火事だ」「爆発した」「早く逃げろ」。ところが車内アナウンスは、「停車しています」とか「外には出ないでください」というばかり。
後部の車両には、逃げてきた人たちが通路にたまった。泣いている人、吐いている人。新潟県湯沢町の自営業河村万里子さん(85)は、大阪市内での義妹の葬儀に出る予定だった。停電で車内は蒸し暑く、イライラが募った。「葬儀に間に合わず、残念の一言しかありません」
■ ■
ツイッター上には「車内で焼身自殺を図った人がいる」「ガソリンをまいて焼身自殺」など、乗客とみられる人たちからの投稿が相次いだ。午前11時57分、「車内は焦げ臭くて、電気も来てない。今、警察や消防のサイレンが聞こえ始めた。復旧までもうしばらく時間がかかりそう。これから……」との投稿もあった。
(以上、朝日新聞より引用)
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煙を吸って亡くなられた、
横浜市青葉区荏田町の整体師、
桑原佳子(よしこ)さん(52)のご冥福をお祈りいたします。
新幹線の列車内で、
自分にガソリンをかけて、
焼身自殺をするなんてほんとうに迷惑です。
亡くなった女性がお気の毒です。
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今日の夕刊によると、
焼身自殺をした林崎春生容疑者(71)は、
年金が少ないと不満を漏らしていたと書いてありました。
年金が少ないのはみな同じです。
一部の高齢者だけが恵まれていて、
大部分の人の年金は少ないです。
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私は焼身自殺をした患者さんの治療をしたこともあります。
はっきり言って、
焼身自殺ほど、
苦しい自殺の仕方はありません。
痛いし、
苦しいし、
自分が焼けている間も意識があります。
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もし死ねなかった場合、
莫大が治療費がかかります。
熱傷治療はお金がかかります。
しかも自殺は健康保険が効きません。
娘さんが焼身自殺をして、
自分の家を処分して治療費を払った人を知っています。
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賠償金も莫大です。
新幹線はとても高価です。
JR東海を止めると、
払い戻しだけで莫大な金額です。
焼身自殺をすると、
元の顔がわからないくらい、
焼けこげてしまいます。
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罪のない人を巻き込んで、
焼身自殺をするのだけは止めてください。
人間いつかは死にます。
自殺する人もいます。
私だっていつかは死にます。
どうせ死ぬななら、
苦しまずに、
きれいに死ぬのがいいです。
熱傷治療にたずさわった私たちは、
絶対に焼身自殺はしません。
どんなに悲惨かよく知っているからです。
自殺の巻き添えになった、
桑原佳子さんのご冥福をお祈りいたします。