医学講座
わきがに悩んでいます
平成27年7月8日水曜日、
北海道新聞朝刊に掲載された記事です。
毎週水曜日の朝刊、生活面に、
医療関係の記事が掲載されます。
私の記憶が正しければ、
この質問コーナーで、
わきがが取り上げられ、
形成外科専門医が、
保険適応で手術ができると書いたのははじめてです。
とてもうれしいです。
■ ■
斎藤典子先生はベテランの形成外科医です。
この記事を読んで、
少しでも多くの人に、
わきが手術のことについて知っていただきたです。
わきがに悩んでいます
手術で汗の分泌腺切除も
質問20代女性。中学生のころからわきがに悩まされています。特に薄着になる夏は、嫌でたまりません。何ごとに対しても消極的になってしまいます。手術で治療できると聞きました。どんな治療で、費用はどのくらいかかるのでしょうか。また、手術以外にも治せる方法はありますか。
回答わきが(腋臭(えきしゅう)症)は、脇の下に独特の臭気を放つものです。その原因は、脇の下にあるアポクリン腺という汗の分泌腺から、汗が盛んに出て、その汗が皮膚の表面にある細菌で分解されつくられた脂肪酸とされています。
思春期に現れ、夏ににおいが強くなるため、相談者のように10代後半から20代で気にされている方は少なくないと思います。
手術による治療は可能です。横切開せん除法という方法が簡便で一般的です。これは、脇毛の生えている範囲を2等分あるいは3等分するようにしわの方向に一致させて皮膚を切開し、脇毛の範囲の皮膚の下にあるアポクリン腺を切り取る方法です。
この方法は保険診療で受けることができます。当院は、5日ほど入院していただいて両脇を同時に手術しています。当院では行っていませんが、手術日を分けて片方ずつを日帰りで行う施設もあります。
入院か日帰りか、全身麻酔か局所麻酔かによって治療費は異なります。患者さんの自己負担額(3割負担の場合)は、入院・全身麻酔・両方行う場合が12~13万円程度、日帰り・局所麻酔・片方行う場合が2万円くらいでしょう。
この手術を受けると、においはかなり減ります。でも100%はとれません。また、切開した時の線状の傷痕は残ってしまいます。
手術以外の治療法としては、脇につける制汗剤や、脇毛の脱毛などがあります。アポクリン腺からの汗は毛穴に分泌されるため、脱毛することでにおいを少なくすることができます。でも、これは保険診療ではありません。
わきがの治療は、形成外科や、外用剤の治療であれば皮膚科でも受けられます。通常の診察では、脇にガーゼを挟んで、数分後ににおいを確認して腋臭症の程度を判断します。受診する時は制汗剤などを使用しないで来てください。
(市立札幌病院形成外科・斎藤典子さん=札幌市中央区)
(以上、北海道新聞より引用)
■ ■
私が20年前に市立札幌病院に勤務していた時も、
同じように入院していただいて、
全身麻酔で手術をしていました。
手術前の診察は、
ガーゼを脇にはさんでいただき、
その臭いを嗅いで、
手術が必要かどうか診察する方法でした。
申し訳ないことに
この方法で誤診をしたことがありました。
■ ■
また、
においはかなり減ります。
でも100%はとれませんとも説明していました。
切除範囲が足りなくて、
再手術をしたことがありました。
それからは、
できるだけ臭いが無くなるように、
切除範囲を広く手術をしています。
■ ■
昔の北海道新聞に、
わきが手術について書かれたことがありました。
残念なことに、
わきが手術に保険が使えないと書いてありました。
それを読んだお母さんが、
子供にわきが手術を受けさせたいけれど、
とても数十万円も出して、
美容整形で手術はできないと諦めたと話していらっしゃいました。
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その患者さんは、
市立札幌病院で、
私が手術をさせていただきました。
お母さんから、
保険が使えるなんて知らなかった、
道新に保険が使えないって書いてあったから、
ずっと諦めていましたと話してくださいました。
わきがは恥ずかしいことではありません。
悩んでいないでしっかりとした病院で手術を受けてください。