医学講座
注射薬による失明
横浜のマンションが傾いた問題で、
連日テレビで報道が続いています。
昨日は、
旭化成の社長さんが、
涙ながらに会見していました。
つい先日は、
洪水でも流されなかった白い家、
ヘーベルハウスで株価を上げた会社です。
何を信じたらいいのかわからない世の中です。
■ ■
私が不思議に思うのが、
レディエッセ(Radiesse)という注射で、
鼻を高くしようと思った女性が、
失明までしているのに、
マスコミが一向に報道しないことです。
ふつうの日本国民は、
鼻を高くする注射で失明したなんて、
信じられないと思います。
■ ■
美容形成外科のHPで、
レディエッセ(Radiesse)という注射で失明した人がでたので、
この注射の取り扱いを止めました
…と書いているのは、
札幌美容形成外科の他にはあまり見ません。
まして、
【謹告】
当院で鼻を高くする目的で、
注入治療を受けた患者さんが、
皮膚が壊死になってしまいました。
失明してしまいました。
そのため鼻の注入治療を今後は行いません。
…というような文言はどこにもありません。
■ ■
事故を起こした美容外科では、
性懲りもなくなんちゃっての先生が、
他の注入剤で鼻を高くしましょう!
…というようなブログまで書いています。
失明というのは、
重大な医療事故なのに、
厚生労働省も、
国民生活センターも、
消費者庁も、
注意喚起をしていません。
残念なことです。
■ ■
経験を積んだ医師は、
注射剤によって失明することを知っています。
形成外科でケロイド治療によく使う、
ケナコルトAという注射薬があります。
皮内用関節腔内用
水懸注50mg/5ml
トリアムシノロンアセトニド水性懸濁注射液
…という薬です。
形成外科医なら誰でも知っています。
■ ■
この薬の
重大な副作用
10)失明、視力障害
頭頸部(頭皮、鼻内等)への注射により、網膜動脈閉塞が生じ、失明、視力障害があらわれたとの報告があるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
これが書いてあることを知っている形成外科医は、
意外と少ないと思います。
実際に、
眉の近くに注射をして失明したという例があります。
■ ■
ネットで検索すると、
耳鼻科の先生が書かれた文章があります。
愛媛県西条市大町520-8の
篠原内科外科耳鼻科のHPです。
ここに、
医事問題委員の方のコメントです。
「ケナコルトに関して医事問題委員会からの注意喚起が出されていますので、ご報告しておきます。
ケナコルトの下鼻甲介粘膜注射で失明による事例が、
九州で1件、近畿で数件あり、危険性の高い治療法と報告さています。
患者さんの安全を考えるなら、決して行うべき治療法でないとの見解になっています。
…と書かれています。
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形成外科でケロイドに注射するのは問題がないと私は考えます。
ただ、
目の近くにケナコルトを注射する時には、
この網膜動脈閉塞が生じ失明に気をつける必要があります。
レディエッセ注射による失明も、
このケナコルトによる、
網膜動脈閉塞が生じ失明と同じ仕組みです。
台湾の事故がネットに掲載されてから、
私は注意して使用していました。
札幌美容形成外科では失明事故はありません。
私が行っていた方法で注射をすれば、
安全に注射ができます。
でもレディエッセの注射は止めました。
もっとマスコミにこの失明の医療事故を取り上げて欲しいです。
取材にはいつでも対応します。