医学講座
ある日突然_薬でショック②
平成28年5月10日、朝日新聞朝刊の記事です。
毎日、とても興味深くこの連載を読んでいます。
われわれ医師も歯科医師も、
看護師も薬剤師も、
授業でアナフィラキシーを習います。
もちろん国家試験にも出ます。
でも実際に、
このような患者さんの記録を学ぶことは、
めったにないことです。
■ ■
この連載を企画し、
書いてくださっている、
朝日新聞の鍛治信太郎記者に感謝します。
(患者を生きる:3048)ある日突然_薬でショック②_アレルギー意識せず仕事
福井県内の歯科医院で30年前、虫歯の治療中に局所麻酔薬でショック症状を起こした准看護師の女性(49)は、治まった後に再び受診すると、「ここではもう歯の治療はできない」と告げられた。
紹介された公立病院の口腔(こうくう)外科では、麻酔薬のアレルギーかどうかを確かめるため、医師が見守る中でごく少量を注射された。すると、症状は軽いものの、同じように気分が悪くなった。「薬剤アレルギー」と確かめられた。
日を改めて、この局所麻酔薬とは異なる全身麻酔薬を使って虫歯を治すことになった。歯のX線写真を撮ると、虫歯のほかに、親知らずが4本あった。親知らずも治療が必要な状態だった。
「ついでに親知らずも抜いてしまいましょう」。担当医にそう告げられた。
数日後、全身麻酔で歯の治療を受けた。意識のないうちに進み、目が覚めると抜いた親知らずのあとが痛かった。
公立病院ではさまざまな薬とのアレルギー反応を調べられた。代表的な局所麻酔薬のキシロカインだけでなく、セフェム系というタイプの抗生剤、造影剤、解熱鎮痛剤などでアレルギーを起こす恐れがあることがわかった。
「ああ、そうなんやな」
薬を取り扱うことが多い仕事にもかかわらず薬にアレルギーがあることに、深刻な気持ちにはならなかった。
「自分の治療では、ほかの薬を使えばいい」と軽く考えた。
21歳で結婚し、1995年に夫の仕事の都合で兵庫県へ引っ越した。県南部の総合病院に勤め始めた。薬剤のアレルギーには特に悩まされることもなく過ぎた。
2012年、自宅で飼い犬のシーズーに右手の甲をかまれた。細菌が入ったのか、翌日、傷口がうんだため、勤め先の病院で診てもらった。薬剤アレルギーの情報が病院の電子カルテに入っており、アレルギーの恐れがないペニシリン系の抗生剤が出された。
「アレルギーの説明をしないで済むので、何かあったら勤め先で診てもらえばいい」
アレルギーのことは頭の片隅にある程度で、それほど意識せずに働く中、再びショックに見舞われる事態が起きた。(鍛治信太郎)
(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
写真は電子カルテに記載された、
アレルギーを起こす原因薬剤です。
キシロカイン ショック
セフェム系 パッチテストで発赤
クラビット錠100mg 気分不良
オムニパーク300シリンジ 100ml 気道・呼吸器症状(喘鳴)
ブスコパン錠10mg 詳細不明
ブスコパン注20mg 詳細不明
ロキソニン錠60mg 気道・呼吸器症状(喘鳴)
■ ■
これだけの薬にアレルギーがあるのは、
医師としてかなり注意が必要です。
外傷などで搬送された患者さんが、
これらの薬を使えなかったら、
緊急の縫合処置も難しいです。
アレルギーの原因薬剤が、
わかっていないともっとこわいです。
■ ■
美容外科でも同じです。
二重埋没法
当日手術ができます
当日手術で、
キシロカインで麻酔をしたら、
アナフィラキシーショックです。
なんちゃっての先生は、
対処できない可能性もあります。
ヒアルロン酸注入などの治療でも、
危険です。
■ ■
一番大切なのは、
アナフィラキシーになった時に、
最初に気付くことです。
大変だと感じることです。
この
何か変だぞ、
何かおかしいぞ、
気付かないで処置や手術をすすめると、
大きな事故につながります。