医学講座
きずが目立たない縫い方
昨日の院長日記、
溶ける糸と溶けない糸の続きです。
患者さんからのご質問です。
あるクリニックで、
抜糸ありの手術だと糸の締め付けによって
糸の痕がぼこぼこに残ってしまい、
抜糸なしの手術だと痕が残りにくいと言われたのですが、、、
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残念なことです。
まったく逆です。
顔のキズを目立たなく縫う方法は、
抜糸ありの手術です。
顔のキズを縫うのに、
抜糸なしの手術はありません。
せいぜい鼻腔粘膜とか、
口腔粘膜だけです。
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縫合法は形成外科の基本中の基本です。
何針縫ったか?ではありません。
抜糸しない糸で、
真皮縫合を上手にするのが難しいのです。
痛くないように抜糸するのも難しいです。
見えないところを丁寧に手術するのが形成外科医です。
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私たち形成外科医が皮膚を縫う時は、
真皮縫合しんぴほうごうというのを必ずします。
顔の傷を縫う時、
真皮縫合をして皮膚をしっかりくっつけてから、
皮膚表面をナイロン糸で縫合します。
顔ですと、
7-0ななぜろという髪の毛くらいの太さの、
黒い糸で縫うのがふつうです。
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問題なのは、
糸をしばる時です。
専門的には、
結紮けっさつといいます。
上手な先生は、
適切な強さで、
きつくなく、
ゆるくなく縫います。
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強すぎて、
糸が食い込んでいると、
糸の痕がぼこぼこに残る原因になります。
いつまでたっても、
傷が痛い原因になります。
男性の包茎手術は、
包皮という薄い皮膚を縫合します。
包茎手術では、
真皮縫合はしません。
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女性の小陰唇縮小手術は、
小陰唇の皮膚が比較的厚い部分は、
皮下縫合をしっかりします。
皮膚を縫う時は、
創縁を合わせる程度に、
きつくなく、
ゆるくなく縫います。
創部に炎症を抑える軟膏を外用して、
きれいに治るようにします。
これが形成外科のきずが目立たない縫い方です。