医学講座

きずが目立たない縫い方

 昨日の院長日記、
 溶ける糸と溶けない糸の続きです。
 患者さんからのご質問です。
 あるクリニックで、
 抜糸ありの手術だと糸の締め付けによって
 糸の痕がぼこぼこに残ってしまい、
 抜糸なしの手術だと痕が残りにくいと言われたのですが、、、

      ■         ■
 残念なことです。
 まったく逆です。
 顔のキズを目立たなく縫う方法は、
 抜糸ありの手術です。
 顔のキズを縫うのに、
 抜糸なしの手術はありません。
 せいぜい鼻腔粘膜とか、
 口腔粘膜だけです。
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 縫合法は形成外科基本中の基本です。
 何針縫ったか?ではありません
 抜糸しない糸で、
 真皮縫合を上手にするのが難しいのです
 痛くないように抜糸するのも難しいです
 見えないところを丁寧に手術するのが形成外科医です
      ■         ■
 私たち形成外科医が皮膚を縫う時は、
 真皮縫合しんぴほうごうというのを必ずします。
 顔の傷を縫う時、
 真皮縫合をして皮膚をしっかりくっつけてから、
 皮膚表面をナイロン糸で縫合します。
 顔ですと、
 7-0ななぜろという髪の毛くらいの太さの、
 黒い糸で縫うのがふつうです。
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 問題なのは、
 糸をしばる時です。
 専門的には、
 結紮けっさつといいます
 上手な先生は、
 適切な強さで、
 きつくなく
 ゆるくなく縫います

      ■         ■
 強すぎて、
 糸が食い込んでいると、
 糸の痕がぼこぼこに残る原因になります。
 いつまでたっても、
 傷が痛い原因になります。
 男性の包茎手術は、
 包皮という薄い皮膚を縫合します。
 包茎手術では、
 真皮縫合はしません。
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 女性の小陰唇縮小手術は、
 小陰唇の皮膚が比較的厚い部分は、
 皮下縫合をしっかりします。
 皮膚を縫う時は、
 創縁を合わせる程度に、
 きつくなく
 ゆるくなく縫います

 創部に炎症を抑える軟膏を外用して、
 きれいに治るようにします。
 これが形成外科のきずが目立たない縫い方です。

“きずが目立たない縫い方”へのコメント

  1. さくらんぼ より:

    縫合した方が傷がめだたないとは思いませんでした。 背中も首も背骨に沿って切ってあるから綺麗なんだとおもいました。 お腹は背中より綺麗ではないです。 妹も開腹手術をしましたが、あんな汚いお腹でかわいそうです。 手術の後遺症でお腹の一部が風船みたいに腫れ、腸閉塞になりやすくなってるのでとのことで綺麗にしてもらうのは 形成外科でしょうか? 腸閉塞は様子を見ましょうと外科の先生から言われたそうです。 髪の毛ぐらいの糸で縫う 本間先生はさすが 家庭科5でしたよね。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。さくらんぼさんの背中の傷がきれいなのは真皮縫合をしっかりしているからです。お腹のキズは動くのでどうしても背中より目立つことが多いです。妹さんのお腹はヘルニアのように思います。外科で手術をしますが筋膜移植が必要になった時には外科と形成外科で手術をすることもあります。家庭科は5でしたが体育は恥ずかしながら2でした。縫合法に運動神経は関係ありません。

  2. なっちゅん より:

    髪の毛位の太さ、本当に細いのですね。

    生地を縫うときも、引っ張りすぎると
    デコボコになります。
    それより繊細な縫い方なのでしょうから
    形成や美容外科の先生は
    器用ではなくてはならないですね。
    勿論
    練習も必要でしょうが。

    抜糸、痛いと聞きました。
    本間先生は企業秘密で
    痛くない抜糸なんですよね(*^^*)

    画像は意味が専門的で私には
    わかりませんでした。
    申し訳ありません。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。画像は外国の教科書の図です。創縁をぴったり合わせてきつすぎず、ゆるすぎないように縫合しなさいという意味です。生地を縫うのも大変ですよね。生地も皮膚も基本は同じだと思います。

  3. えりー より:

    お医者さまによって、まったく逆の事を
    おっしゃる先生がいるのですね。
    患者さん、本間先生にご質問なさって
    良かったと思います。

    形成外科の先生は不器用だと大変だなと
    思いました。

    今までの縫合経験は出産の会陰切開と
    歯牙腫になり口腔外科で手術をした時です。
    抜歯は少し痛かった記憶があります。

    傷が残らないように縫合するのは、
    熟練の技術が必要ですね。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。残念なことですが【金儲け】のために反対のことを言うクリニックがあります。顔を縫うのに【溶ける糸】を使う形成外科医はいません。何もわからないと思ってうそをつくのです。だまされないでほしいです。

  4. すみれ より:

    糸の縛りかたにもいろいろあるのですね。先生の上手い、下手もあるのでしょうが、経験も必要と思います。苦労して、重ねた経験が糸を結ぶ加減を覚えるのではないでしょうか。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。下手な初心者ほどきつく結んでしまいます。そうすすると血流が悪くなって痕が残ります。経験も必要です。

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