医学講座
第34回日本美容外科学会(福岡)③
特別講演は、
Ford Nahai先生でした。
形成外科医なら…
一度は教科書で読んだことがある、
有名な米国の先生です。
私たちの世代には、
筋皮弁の開発者として有名です。
■ ■
今回の特別講演のテーマは、
Facelift Complications:
Avoidance and Management
フェイスリフト合併症
どう防ぎどう対処するか
でした。
■ ■
2011年9月9日から
フェイスリフト手術と顔面神経麻痺①
フェイスリフト手術と顔面神経麻痺②
フェイスリフト手術と顔面神経麻痺③
フェイスリフト手術と顔面神経麻痺④
フェイスリフト手術と顔面神経麻痺⑤
というシリーズを書いています。
■ ■
米国でもフェイスリフト手術のトラブルはあります。
なんちゃって美容外科医かどうか…?
講演ではわかりませんでしたが、
耳の前の…
まっすぐ縫いの傷が、
目立っていた、
有名なカナダ人の写真が出ていました。
■ ■
Nahai先生ご自身が手術をした患者さんでも、
手術後にトラブルになった例があると、
衝撃的な写真も見せてくださいました。
一番多いフェイスリフト合併症は、
血腫です。
傷の中に血がたまり、
皮膚が壊死になってしまいます。
■ ■
たくさんの注意点を教えてくださいました。
たばこを吸っている人は注意。
血液をさらさらにする薬は…
2週間前から減らす。
ボスミンという血管収縮剤は…
40万倍に薄めて使う。
■ ■
米国では、
手術のトラブルは訴訟になります。
美容外科のトラブルデーターを、
細かく解説してくださいました。
一番多いトラブルは、
お腹の『たるみ』を取る手術でした。
■ ■
Nahai先生ご自身が手術をしても、
フェイスリフト手術の後で、
一時的に左の口角に麻痺が残った患者さんを、
講演で見せてくださいました。
なんと女性医師の患者さんでした。
幸い一過性の麻痺で回復していましたが、
患者さんは心配顔でした。
■ ■
トラブルを防ぐためには、
細心の注意をして、
信頼できるチームで、
慣れた看護師と組む必要も示唆してくださいました。
安全に手術をするのは、
世界中どこへ行っても大変ですし、
ベテランでも常に気をつけていることがわかりました。
医学講座
第34回日本美容外科学会(福岡)②
今日は8:00から学会を聞いていました。
朝8:00は早いですが、
米国の学会では…
early bird言って…
もっと早かった気もします。
たくさんの先生がいらしていました。
■ ■
私は主に目の発表を聞きました。
【上眼瞼形成:じょうがんけんけいせい】
加齢性眼瞼下垂症手術における術中調整と結果
7人の先生の発表がありました。
発表を聞いた感想。
眼瞼下垂症は難しいです。
どんなに手術中に調整しても、
左右対称で美しい目を作るのは…
実に難しいです。
■ ■
比較的容易に美しい目にできる人もいますが、
誰が手術をしても…
難しい人はいます。
正直な感想は…
みんな苦労してるなぁ~
でした。
■ ■
座長の信州大学形成外科の松尾清先生は、
眼瞼痙攣(がんけんけいれん)の手術を
たくさんしていらっしゃるそうです。
どんなにしっかり治しても、
患者さんが最後に言うのは…
(瞼の)かたち。
■ ■
保険診療で手術をしても、
自由診療で手術をしても、
形が悪ければ…
患者さんから評価されません。
形成外科や美容外科のつらいところです。
ただ、目が開けば良いではだめです。
■ ■
学会に参加することで、
いろいろな知識を吸収できます。
悩みを他の先生と話すことで、
解決できることもあります。
若い先生にも…
たくさん参加していただきたいです。
医学講座
第34回日本美容外科学会(福岡)①
明日(平成23年9月29日)から
第34回日本美容外科学会です。
会長は福岡大学形成外科教授の、
大慈弥裕之先生です。
大慈弥先生は私と同年代。
私の主治医である、
聖路加国際病院形成外科と同じ、
北里大学の同門です。
■ ■
今回の学会は朝8:00開始です。
明日の朝から
教育講演1
眼瞼の解剖と生理
柿崎裕彦先生、松尾清先生
9:00からは
シンポジウム1
上眼瞼形成:加齢性眼瞼下垂症手術における術中調整と結果
座長:宇津木龍一先生、松尾清先生
興味深いテーマがたくさんあります。
■ ■
今日は札幌→福岡への移動日です。
ANAの直行便で行きます。
3日間の休診日でご迷惑をおかけしますが、
しっかり勉強して参りますので、
どうぞよろしくお願いいたします。
無事に福岡に着きました。
札幌と比較すると…
暑いと感じます。
日本は広いです。
昔の記憶
車の運転
私は若い頃…
車の運転が好きでした。
最初の車は…
先輩から無料(ただ)でいただいた、
ドアの開かないサニーでした。
北大病院の研修医で給料は日給3,300円程度、
月給が手取り99,000円程度でした。
■ ■
助手席に乗った家内は(当時は結婚前)…
内側からドアを開けられません。
私が運転席から降り…
助手席側に回って…
MKタクシーのドライバーさんのように…
外からドアを開けていました。
■ ■
貧乏でお金もありませんでしたが…
人生で一番しあわせな時代でした。
その先輩からいただいたサニーは…
実によく走りました。
写真部の旅行で…
札幌⇔稚内を往復したこともあります。
釧路にも行きました。
■ ■
当時は若かったので、
何時間運転しても…
あまり疲れませんでした。
子供が小さかった頃は、
道内どこへ行くにも…
私が一人で運転していました。
■ ■
いつの頃からか…
はっきりと覚えていませんが、
車の運転が苦痛になってきました。
今から思えば…
少しずつ眼瞼下垂(がんけんかすい)になったためです。
信号を見上げたり、
夜間の運転が辛くなりました。
■ ■
疲れるので…
しばらく走ると…
家内に運転を交代してもらいました。
冬道とか…
峠道とか…
難しいところは私が運転し、
平坦な道は奥さんの担当になりました。
■ ■
昨年12月1日に、
眼瞼下垂症手術をしていただき、
10ヵ月になります。
車の運転が楽になりました。
(運転を)代わって…
…と奥さんに言わなくなりました。
■ ■
若い頃に比べると、
車を運転する頻度はぐっと減りましたが…
手術をしていただいてから…
札幌⇔函館も往復できるようになりました。
ちょっとした目の開き方で、
ずいぶん違うものです。
大竹尚之先生に感謝しています。
昔の記憶
人間万事塞翁が馬
人間万事塞翁(さいおう)が馬
私が夕張市立鹿島中学校を卒業する時、
卒業記念の寄せ書きに書いた言葉です。
40年後の今でも好きな言葉です。
私が尊敬する、
弁護士の高橋智先生の、
Sammy’sダイアリー
法律相談でよく使う故事・その1・「人間万事塞翁が馬」で紹介されていました。
■ ■
中学生なのに…
難しい言葉を…
…と思われるでしょう。
同じ故事を、
高校で漢文の時間に学びました。
私が中学生で知ったのは、
NHKラジオの中学生の勉強室でした。
■ ■
担当の、
東京都立八潮高等学校の
小田島哲哉先生が、
放送の中で紹介してくださいました。
良いことがあって…
おめでとうございます
…と言われても…
いいえ、塞翁(さいおう)が馬です
…と言うと…
…この人は謙虚で教養があると思われます。
…と話された記憶があります。
■ ■
Wikipediaからの引用です。
国境の近くにあった塞(とりで)の近くに住んでいた翁(おきな)(老人)は、何よりも自分の馬をかわいがっていた。その馬は、周りからも評判が立つほどの駿馬だったが、ある日突然、蜂に刺された拍子に飛び出してしまう。一向に帰ってこない馬の様子に、周りからは翁に同情するほどだったが、翁は「これがきっかけで何かいいことが起こるかも知れない」とだけ言って、我慢強く待ち続けた。すると、どうだろうか。しばらくして、その馬が別の白い馬を連れ帰ってきたのだ。しかも、その白馬も負けず劣らずの優駿で、周りの者は口々に何と幸運なことかと囃し立てたが、翁は「これがきっかけで、別の悪いことが起こるかもしれない」と自分を戒め、決して喜ばなかった。
それから、かわいがっていた息子がその白馬から落ちて、片足を挫いてしまった。周りはまた同じように慰めの言葉を掛けたが、翁はまた同様に「いいことの前兆かも知れない」と告げる。それからしばらくして、隣国との戦争が勃発した。若い男は皆、戦争に借り出されて戦死した。しかし息子は怪我していたため、徴兵されず命拾いした。そして、戦争も終わり、翁は息子たちと一緒に末永く幸せに暮らしたという。
■ ■
私は何か良いことがあっても…
悪いことがあっても…
この【塞翁が馬】(さいおうがうま)を想い出しています。
人間の運命や…
吉兆は…
自分の意志だけではどうにもできないことがあります。
良い時はうかれず、
悪い時は落ち込まず、
心で思っても…
なかなか難しいですが…
この言葉を思い出して自分を戒(いまし)めたり
励ましたりしています。
医学講座
女性医師は安心か?
たまにお問い合わせをいただくことがあります。
そちらでは女性医師の診察は可能ですか?
申し訳ございません。
札幌美容形成外科には、
医師は私一人です。
他に医師はおりません。
■ ■
女性器の手術や、
乳房の手術など…
女性医師だったら安心と…
お考えになるのはもっともです。
男性器の手術で、
当院は全員男性スタッフと…
逆に男性だけを売りにするクリニックもあります。
■ ■
残念なことですが…
信頼できる医師に、
男性も女性もありません。
逆に言うと…
なんちゃって美容外科医の…
ちゃら男くんもいれば…
なんちゃって美容皮膚科医の…
ちゃら子さんもいます。
■ ■
信じてはいけない女性医師の見分け方です。
①平成18年3月国立○○医科大学卒業
②平成23年7月○○ビューティークリニック開業
③○○美容皮膚科学会正会員
①国立大学卒業だからと言って…
信頼できるとは限りません。
試験の成績さえ良ければ国立大学に合格できます。
②卒後5年目で開業するのはすごいと思わないでください。
2年間の臨床研修は義務です。
臨床研修終了後に…
3年しか経験を積んでいないのに…
一人で開業は無謀です。
③医師免許さえあれば…
正会員になれる学会はたくさんあります。
■ ■
わきレーザー脱毛
開業キャンペーン価格3,000円
眼瞼下垂症手術保険適応
臨床研修を終了して…
3年しか経験がないのに…
いきなり眼瞼下垂症の手術は無謀です。
少なくとも…
専門医くらい取得してください。
■ ■
女性医師にも素晴らしい先生はたくさんいます。
私の同期は約10%が女性医師です。
いっしょに仕事をした先生もいます。
患者さんを紹介する先生もいます。
以前の院長日記で紹介した、
時計台記念病院の藤井美穂先生。
恵み野皮膚科の森川玲子先生。
素晴らしい女性医師です。
間違っても…
ちゃら子先生にはかからないでください。
昔の記憶
まみ子師長さん
昨日の院長日記、
形成外科主任部長に…
まみ子師長さんから…
コメントをいただきました。
先生が帯広厚生病院にいらしたのは・・・3年間でしたか。
確か石川先生の後任?でしたか・・・・。
私はその短い3年間の中で知り合う事ができ、
今に至っている次第です。
来月からはまた看護学校での「皮膚科看護」の講義が始まります。
私は先生に出逢えてから自分の人生感が変わったような気がします。
ありがとうございました。
■ ■
まみ子師長さんのことは、
☆まみ子師長さんのお誕生日2011☆
…でご紹介しています。
北海道で一番外来患者数が多い、
帯広市の高木皮膚科診療所の…
看護師長さんです。
私が尊敬する看護師さんです。
■ ■
まみ子師長さんと知り合う前から…
JA帯広厚生病院形成外科の外来では…
いつも看護師さんたちと話していました。
高木先生のところ…
あんなに患者さんが来るのに…
どうして5時に終われるのだろう…
厚生病院だったら…
絶対に終われない…
■ ■
多い日には…
一日、数百人の外来患者さんです。
その中には、
処置もあれば…
時間がかかる生検(せいけん)という…
検査もあります。
数十人の患者さんですら…
2時間待ちだった…
JA帯広厚生病院形成外科外来からは…
想像できませんでした。
■ ■
はじめてお会いした時の印象…
この小柄で細い看護師さんが…
どうやって一日何百人も患者さんを見るのだろう…?
形成外科外来でお会いした時の印象です。
高木章好先生にはお会いしていましたが、
看護師さんにお会いするのははじめてでした。
先生は真面目で学究肌の先生。
看護師さんも真面目で勉強が好きそうな印象でした。
■ ■
今の医学生や…
看護学生さんの中には…
勉強はそこそこ…
落第しないで…
最低点+アルファくらいでいいゃ…
若いうちしか遊べないから…
青春を楽しみましょう…
…という考えの人が多い気がします。
■ ■
はじめてお会いした…
30代のまみ子看護師さんは、
高木皮膚科診療所で…
毎日、先生と一生懸命に働いている、
真面目で
勉強好きな
看護師さんでした。
■ ■
その後…
まみ子師長さんが書かれた…
熱傷に関する論文は、
お医者さんが書いた論文にも引用されています。
高木章好先生もすごい先生ですが、
まみ子師長さんもすごいです。
嬉しいコメントをありがとうございました。
昔の記憶
形成外科主任部長
昨日の院長日記、
JA北海道厚生連、
医師、
形成外科主任部長
偉い…
とか…
すごい…
…と思われたでしょうか?
■ ■
いえいえ…
謙遜ではありませんが…
形成外科主任部長は、
偉くありません
JAで一番偉いのは、
JA北海道厚生連の会長様です。
医師ではありません。
■ ■
全国にある厚生病院や、
○○組合病院という名前の病院は、
JAが設立した病院です。
病院で一番偉いのは、
開設者である、
JAの会長様です。
私たちの人事発令は、
すべてJA北海道厚生連の会長名です。
■ ■
会長様には何度かお会いしたことがあります。
長い間農家をなさって…
農協の組合長さんから、
JAの役員になるようです。
病院事業だけではなく、
さまざまな事業を経営しています。
私たち医師は、
JAに雇用されています。
■ ■
研修医
↓
医師
↓
医長
↓
主任医長
↓
主任部長
…と職位が上がりました。
■ ■
増えたお給料(手当)はわずか…
増えたのは…
会議、
書類、
下の先生の指導、
患者さんからのクレーム対応、
患者さんへの謝罪。
医療ミスの経験という、
2010年2月23日の院長日記に書いてあります。
申し訳ないことをいたしました。
■ ■
大きな病院に勤めるメリットは、
設備が整った施設で、
優秀なスタッフと手術ができること。
他科の優秀な先生と、
相談をしたり、
話しをしたり、
手術ができることです。
大病院=高給ではありません。
■ ■
私が勤務していた当時、
副院長で、
院内感染対策委員会のトップだったのが、
現在のJA帯広厚生病院院長の川口勲先生です。
先生のご専門は婦人科です。
とても温厚で優しい先生です。
私は今でも、
川口先生が決められた院内感染対策は、
日本でもトップクラスだと思っています。
HIV検査もいち早く導入されました。
忙しかったけれど…
充実した40歳でした。
川口先生ありがとうございました。
昔の記憶
机の整理
今日は休診日だったので、
久しぶりに自宅の机を整理しました。
捨ててもいいのでしょうが…
古い写真や名札が出てきました。
当時のことを思い出します。
■ ■
私は平成7年(1995年)1月から
平成10年(1998年)3月まで、
JA帯広厚生病院に勤務しました。
帯広では…
厚生病院で通じますが、
電話交換も…
正式な書類にも…
必ずJAをつけます。
■ ■
赴任した時は、
40歳で、
退職した時が、
43歳でした。
退職した時でも…
今から13年前です。
としをとりました。
■ ■
退職時に、
形成外科外来の看護師さんが、
ケーキとウーロン茶を買ってくださり…
最後の外来の後で…
楽しそうにしているのが…
下の写真です。
■ ■
私のような偏屈でがんこな医者と、
3年間も働いてくださり、
ほんとうに感謝しています。
とても優秀な方たちでした。
今でもしっかり覚えています。
その節はお世話になり…
ありがとうございました。
1998年3月JA帯広厚生病院
昔の記憶
覚えています
私が医師になって30年以上です。
札幌美容形成外科を開業して7年です。
今までに診察した患者さんは…
数万人になります。
ちょっとした相談だけの方も…
苦労して手術した方も…
いろいろな方がいらっしゃいます。
■ ■
57歳になって…
かなりおじいさんになっていますが…
意外と患者さんを覚えています。
街でお会いしてもわかりませんが…
傷をみたり…
手術前後のことを話すと…
思い出します。
■ ■
忘れられない患者さんは何人もいます。
手術の経過がよくなかった方、
何度も再手術した方、
若くしてがんで亡くなってしまった方、
今でも声まで覚えている方もいます。
脳裏に焼き付くというやつです。
■ ■
院長日記を続けていると…
思いもかけない方からメールをいただくことがあります。
昨日も…
忘れられない患者さんから…
メール相談をいただきました。
私が直接手術をしたのではありませんが…
可愛らしい小学生でした。
■ ■
もう立派な大人になっていらして…
おそらく…
お会いしてもわからないと思います。
でも…
傷を見るとすぐにわかります。
形成外科医になってよかったと思う瞬間です。
小さな傷にも…
患者さんと私にとっては…
大きな想い出があります。