医学講座
献血とHIV
平成20年1月24日、朝日新聞朝刊の記事です。
献血でHIV判明100人超
日赤「検査目的やめて」
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献血時にエイズウイルス(HIV)感染が判明した人が2007年に初めて100人を超えたことが1月23日、日本赤十字社の調べで分かった。
感染者増に加え、検査目的で献血をする人が後を絶たないためとみられる。
日赤は「感染直後は検査をすり抜けて輸血で感染してしまう恐れがある。
検査目的の献血はやめてほしい」と呼びかけている。
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2007年の献血者総数延べ約494万人のうち、HIVが検出されたのは102人で前年比15人増。
献血者10万人あたり2.065人で、初めて2人を超えた。
(以上、朝日新聞から引用)
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HIV検査は、保健所では、無料で実施してくれます。
匿名でもOKです。
でも、いくら匿名でも…
保健所に行くのは本人です。
いかにも…
という目で見られる?
と考えるとイヤなものです。
(実際には、そんなことはないと思いますが…)
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私が、HIV検査を手術を受ける方全員に行うようになったのは、
帯広厚生病院時代からです。
院内感染対策委員会の委員でした。
当時の院内感染対策委員会の委員長が
現在、JA帯広厚生病院院長の川口勲先生です。
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川口先生は、産婦人科のベテラン医師です。
帯広厚生病院は、北海道内の病院でも、早くからHIV検査を実施しはじめました。
HIV検査の重要性を一番強く認識されているのが、臨床検査技師の方です。
われわれ医師は、担当した患者様の結果しかわかりません。
臨床検査技師は、すべての方の検査結果がわかります。
院長より、よく知っています。
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私は、臨床検査技師の方から、HIV検査をすすめられました。
毎日、たくさんの検査をしていると、たとえ10万人に2人でも、陽性者に遭遇する確率は高くなります。
HIV陽性者の増加を、肌で感じているのが臨床検査技師さんです。
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現在、問題になっている肝炎は、血液製剤で感染しました。
医師・看護師などの医療従事者は、血液を通じて感染するリスクがあります。
私の知人の医師でも、誤って針を刺してしまい肝炎になってしまった人がいます。
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同じことが、HIVでも起こる可能性があります。
将来、何の罪もない人が、HIVに感染してしまう可能性があります。
献血に行って、HIV陽性だったとしても、結果は教えてくれません。
ブラックリストに載るだけです。
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HIVに感染する可能性があるようなことは、しないのが一番です。
ただ、もし、HIV感染が心配なら、
絶対に献血はやめてください。
HIVに感染していたとしても、検査で見つからない時期があります。
ウインドウピリオドといいます。
ここのHPに詳しく書かれています。
HIV検査は、札幌美容形成外科でも、他の医療機関でも受けられます(有料:当院は1,050円)。
心配な方は、保健所や医療機関で検査を受けてください。