昔の記憶
おくりびと
さくらんぼさんから
『おくりびと』についてコメントをいただきました。
私は、まだ見ていません。
昨年、クライマーズ・ハイを
見に行った時に、
『おくりびと』の予告編を上映していました。
その時に、見たいと思ったのですが、
残念なことに、まだ見ていません。
■ ■
私はエンバーミング (embalming) という、
ご遺体の処置に、
以前から関心を持っていました。
『おくりびと』とは違います。
エンバーミングは外科の『おくりびと』?
といったところでしょうか?
つまり、防腐処置、殺菌消毒、お化粧などを、
血管に防腐剤や色素を注入して行うのが、
エンバーミングです。
■ ■
医師でなくてもできるようです。
欧米では、かなり普及していますが、
日本ではまだ一般的ではないようです。
ネットで検索すると、
何件もヒットします。
ウィキペディア(Wikipedia)には、
エンバーミング (embalming) とは、
欧米で遺体を消毒、保存処理を施し、
また、必要に応じて修復し、
長期保存を可能にしようとする技法。
日本語では死体防腐処理、
遺体衛生保全などと翻訳される。
と書かれています。
■ ■
私自身は、
患者さんが亡くなった後で、
死後の整形手術をしたことがあります。
まだ、お若い患者さんでした。
私が勤務していた病棟の患者さんでしたが、
他科の患者さんでした。
残念なことに…
若くしてお亡くなりになってしまいました。
■ ■
癌の患者さんで、
癌が顔に出て変形してしまっていました。
病理解剖をさせていただくことになりました。
私も何度か診察していたので、
その方のことを存じていました。
解剖の前に、
ご家族から、
顔の癌の部分だけでも、
何とか見やすくできないでしょうか?
と相談があったそうです。
■ ■
私は病棟婦長と主治医から相談を受けました。
他の部位には異常がなかったので、
私は病理解剖の最後に、
癌の部分を切除して、
きれいな皮膚を移植しました。
私は解剖の補助という立場で、
死後の整形手術をしました。
■ ■
後にも先にも、
死後に手術をしたのはその方だけです。
ご家族が喜んでいらしたと
病棟婦長から聞きました。
私がトシをとって…
形成外科の手術ができなくなったら、
形成外科の技術を生かして、
エンバーミングをしようと思ったのです。
人間は死ぬ時も、
死んだ後もキレイでいたいものです。