昔の記憶

役に立った写真部

 私は写真部に所属していましたが、
 写真そのものは、さっぱりダメでした。
 撮影はしましたが…
 センスがなく、展覧会に出品とか…
 写真展に出展なんてのは考えませんでした。
 好きに撮って、適当に引き伸ばして…
 年に一度、クラブの写真展に出しただけでした。
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 それでも、5年間、写真部に所属しました。
 そのおかげで、暗室技術とか…
 カメラの使用方法などは一通りマスターしました。
 これが、形成外科医になってから役立ちました。
 ご存知のように、
 形成外科では術前・術後に写真を撮ります。
 専門医試験でも、写真判定で合否を決めます。
 どんなに上手に手術ができていても…
 写真がピンボケでは落第です。
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 北大形成外科に入局すると、
 ちょっと写真をかじっただけの私が…
 写真のプロとなってしまいました。
 医局の野球大会、学会の写真など、
 私は写真係長になったようなものでした。
 後輩の写真の指導も私が担当しました。
 たまたま、
 旅行に行けるからと入った写真部が役立ちました。
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 日本形成外科学会で、
 形成外科医に必要な写真の基礎知識という発表をしました。
 ある有名な大学の教授から褒められました。
 その後、日本形成外科学会学術講習会で、
 写真の撮り方の講師まで仰せつかりました。
 写真部の仲間や先輩が聞いたら…
 『あのカメラを持っていなかった本間が!写真の講師か!』
 と驚かれるに違いありません。
 人間、いつどこで何が幸いするかわからないものです。
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 私は、皮弁の微小循環というのを研究テーマにしました。
 札幌医大に在職中も、解剖学教室で研究をしました。
 その時に、写真の暗室技術が役に立ちました。
 自分の博士論文でも写真の暗室技術が役に立ちました。
 学生時代には考えもしなかったことでした。
 私が考えた、皮弁の血管造影法は、
 外国雑誌に学術論文として掲載されました。
 恩師の大浦武彦教授に、
 今までこんなにキレイな血管の写真は見たことがない。
 と褒められた記憶は、生涯忘れられない感動です。
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 J Reconstr Microsurg. 2000 Jul;16(5):367-70
 Technique for selective microangiography of skin flaps with high contrast and fine detail.
 Homma K, Sugihara T, Igawa HH,
 Department of Plastic and Reconstructive Surgery,
 Hokkaido University School of Medicine, Sapporo, Japan.
 The technical factors of microangiography were studied, and the authors found that the main limiting factors in resolution were the injection pressure of the contrast medium and the thickness of the materials. A gentle manual hand pressure injection, with the aid of visual monitoring under the operating microscope, were keys to obtaining beautiful microangiograms.
 これが学術論文のタイトルと要旨です。
 皮弁の選択的微小血管造影法
 この方法は、後世に残る有用な方法だと今でも思っています。 


私が撮影した血管の写真です。
ラット(ネズミ)の皮膚です。

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