院長の休日
実刑か、執行猶予か
平成20年5月17日、北海道新聞朝刊、
朝の食卓から引用しました。
実刑か、執行猶予か
三上英昭
先日、光市母子殺害事件について
死刑判決が言い渡された。
担当裁判官は、死刑にするか、
無期懲役にするかで悩みに悩んだことだろう。
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裁判官の多くがこれと同様に、
あるいはそれ以上に悩むのが、
実刑にするか、執行猶予にするかである。
裁判官は、被告人の社会内での更生を期待して、
執行猶予にできるならしてやりたいと考えているが、
もう一つ決め手に欠け、悩むことも多い。
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例えば、地方から上京して就職したものの
勤務先が倒産、職を転々とし、
ついにはホームレス同然の状態にある被告人が、
酒に酔って通行人をビール瓶で殴り、
全治三ヵ月の重傷を負わせたといった事件の場合。
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被害者との示談が成立し、
しっかりした身元引受人がいるなどの事情があると、
安心して執行猶予にできるが、
そうでなければ、
どんな刑にすべきかと悩み続けることになる。
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そうしたケースで、弁護人の懸命の努力により、
被告人との音信も途絶えていた母親が示涙金を出してくれ、
情状証人として出廷。
「被告人を郷里に連れ帰り更生させます」
と証言した場合には、
すぐに連れ帰ってもらうため、
暫時休廷した後、
即決で執行猶予の判決を言い渡すこともある。
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判決後、法廷を出ていく被告人の後ろ姿を見送りながら、
「もう二度とここには来るなよ」
「親孝行しろよ」と念じるのである。
(公証人・札幌)
(以上、北海道新聞から引用)
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三上英昭先生は元札幌地方裁判所所長。
現在は札幌公証役場の公証人です。
公証人の仕事は公正証書という書類を作成することです。
詳しくは、上記のHPリンクをたどってください。
私は父親の影響で、公正証書が好きです。
これ以上、確かな契約書はないと思っています。
大切な契約書は公正証書にすることが多く、
遺言書も公正証書で作成してあります。
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三上先生にもお世話になりました。
優しそうで温和な先生という印象でした。
この新聞記事を引用させていただいたのは、
判決を下す裁判官も悩むのだなぁ~
としみじみ思ったからです。
私は弁護士の高橋智先生の日記を毎日読んでいます。
2008年5月16日の日記に、
弁護士と裁判官の相性について書かれていました。
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2009年5月21日から裁判員制度がはじまります。
法律の専門家である裁判官ですら、判決に悩むのに
もし自分が裁判員になったら…
と思う人は多いのではないでしょうか?
私は中学校・高校ともに政治経済が好きでした。
大学入試では政治経済を選択したため、
受けられる大学が限定されてしまったほどです。
法律や判例を読むのも好きです。
しかし…
自分で量刑を判断するのは難しいと思います。
プロの裁判官ですら、悩むのですから…