院長の休日

実刑か、執行猶予か

 平成20年5月17日、北海道新聞朝刊、
 朝の食卓から引用しました。
 実刑か、執行猶予か
 三上英昭
 先日、光市母子殺害事件について
 死刑判決が言い渡された。
 担当裁判官は、死刑にするか、
 無期懲役にするかで悩みに悩んだことだろう。
      ■         ■
 裁判官の多くがこれと同様に、
 あるいはそれ以上に悩むのが、
 実刑にするか、執行猶予にするかである。
 裁判官は、被告人の社会内での更生を期待して、
 執行猶予にできるならしてやりたいと考えているが、
 もう一つ決め手に欠け、悩むことも多い。
      ■         ■
 例えば、地方から上京して就職したものの
 勤務先が倒産、職を転々とし、
 ついにはホームレス同然の状態にある被告人が、
 酒に酔って通行人をビール瓶で殴り、
 全治三ヵ月の重傷を負わせたといった事件の場合。
      ■         ■
 被害者との示談が成立し、
 しっかりした身元引受人がいるなどの事情があると、
 安心して執行猶予にできるが、
 そうでなければ、
 どんな刑にすべきかと悩み続けることになる。
      ■         ■
 そうしたケースで、弁護人の懸命の努力により、
 被告人との音信も途絶えていた母親が示涙金を出してくれ、
 情状証人として出廷。
 「被告人を郷里に連れ帰り更生させます」
 と証言した場合には、
 すぐに連れ帰ってもらうため、
 暫時休廷した後、
 即決で執行猶予の判決を言い渡すこともある。
      ■         ■
 判決後、法廷を出ていく被告人の後ろ姿を見送りながら、
 「もう二度とここには来るなよ」
 「親孝行しろよ」と念じるのである。
 (公証人・札幌)
 (以上、北海道新聞から引用)

      ■         ■
 三上英昭先生は元札幌地方裁判所所長。
 現在は札幌公証役場の公証人です。
 公証人の仕事は公正証書という書類を作成することです。
 詳しくは、上記のHPリンクをたどってください。
 私は父親の影響で、公正証書が好きです。
 これ以上、確かな契約書はないと思っています。
 大切な契約書は公正証書にすることが多く、
 遺言書も公正証書で作成してあります。
      ■         ■
 三上先生にもお世話になりました。
 優しそうで温和な先生という印象でした。
 この新聞記事を引用させていただいたのは、
 判決を下す裁判官も悩むのだなぁ~
 としみじみ思ったからです。
 私は弁護士の高橋智先生の日記を毎日読んでいます。
 2008年5月16日の日記に、
 弁護士と裁判官の相性について書かれていました。
      ■         ■
 2009年5月21日から裁判員制度がはじまります。
 法律の専門家である裁判官ですら、判決に悩むのに
 もし自分が裁判員になったら…
 と思う人は多いのではないでしょうか?
 私は中学校・高校ともに政治経済が好きでした。
 大学入試では政治経済を選択したため、
 受けられる大学が限定されてしまったほどです。
 法律や判例を読むのも好きです。
 しかし…
 自分で量刑を判断するのは難しいと思います。
 プロの裁判官ですら、悩むのですから…

“実刑か、執行猶予か”へのコメントを見る

TEL 011-231-6666ご相談ご予約このページのトップへ