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税務調査
少し古くなりましたが、
平成20年10月22日の北海道新聞に、
次の記事が掲載されていました。
申告漏れは312億円
道内所得税 前年度比18%増
札幌国税局は10月21日、
2007事務年度(2007年7月-2008年6月)の
道内の所得税と消費税の申告漏れ状況を発表した。
所得税の申告漏れ件数は
前年度比4.3%減の14,669件、
申告漏れ所得金額は同18.2%増の
312億300万円だった。
追徴税額は同34.2%増の
43億1,100万円。
■ ■
一件当たりの申告漏れ所得金額は同22.4%増の
164万円。
業種別では弁護士(1,660万円)、
畑作物農業(1,572万円)、
畜産業(1,064万円)の順に多かった。
一方、
消費税は申告漏れ件数が同4.1%減の
2,613件。
追徴税額は同17.0%増の
8億2,100万円。
(以上、北海道新聞より引用)
■ ■
脱税の常習者といえば…
失礼ながら、
ある特定の業種がすぐに思い浮かびます。
美容外科医にも、
脱税で摘発された…
‘先生’がいらっしゃいました。
美容整形をして…
領収書をください!
といわれる方は少ないので
脱税の温床になりやすいと思われています。
■ ■
ところが、実際には…
医療ローンやカード決済が多く、
ごまかせるものではありません。
また、私たち医師は、
もし脱税をすると…
医業停止という厳しい処分を受けます。
追徴以上に医師にとっては厳しいものです。
ですから、
脱税をしようと思う‘先生’はまずいないと思います。
■ ■
私も開業して2年目に、
税務調査を受けました。
開業してからの2年間は…
無我夢中!
とにかく、とても忙しく…
私は手術などの医業(自分の本業)だけで
精一杯でした。
経理は家内と会計事務所に…
‘お任せ’でした。
結果的にこれがアダになりました。
■ ■
税務調査にいらしたのは、
ベテランの国税調査官の方でした。
物腰がやわらかく、
丁寧で、
いまどき、
こんな国家公務員がいるのか?
と思うような真面目な方でした。
雪の降る日に、
風呂敷を持参されて、
重い資料を持って、
歩いて税務署にお帰りになりました。
■ ■
札幌美容形成外科では、
会計事務所のおすすめで、
弥生会計という会計ソフトを使っていました。
毎日、記帳(きちょう)し、
パソコンにも入力して…
銀行の通帳もしっかり入力。
一円の狂いもありませんでした。
会計事務所の公認会計士の先生いわく…
『どうぞ、満遍なく調べてください!』
自信たっぷりでした。
■ ■
私も、指摘されるような点はないと…
固く信じていました。
会計事務所には、
毎月経費をお支払いしていましたし、
もちろん申告書も作成していただきました。
弥生会計の入力を教えていただいたのも…
会計事務所の職員の方でした。
これで完璧だと思っていました。
■ ■
数ヵ月たって…
税務調査の結果が届きました。
その間に、
何回か国税調査官の方から、
お尋ねをいただいていました。
それには、
家内と会計事務所が回答していました。
税務調査の結果は…
なんと!申告漏れ
しかも!数百万円!
■ ■
原因は私が加入していた、
所得保障保険でした。
個人で開業すると、
労災保険も雇用保険もありません。
もし万一…
私が病気やケガで手術ができなくなると…
たちまちその日から売上ゼロになります。
お客様にも従業員にも迷惑がかかります。
そのため…
医師会の所得保障保険に加入していました。
■ ■
その所得保障保険の保険料が、
必要経費とは認められず、
過去数年間にわたって、
所得税の申告漏れを指摘されました。
ちょっと勉強すればわかったのですが、
家内と会計事務所に任せてしまい、
失敗しました。
結果的に…
私は高額の所得税を納税しました。
■ ■
これから開業なさる先生。
開業されてから、
まだ一度も税務調査を受けていない先生。
会計事務所も病院も同じです。
偉い税理士や公認会計士の
‘先生’だから…
大丈夫ということはありません。
しっかり記帳したつもりでも…
思わぬ落とし穴があります。
■ ■
それ以来、私は、
何かわからないことは、
必ず税務署に相談しています。
税務署は無料で相談に応じてくれます。
今日も電子申告の申請の指導に
クリニックまで、
わざわざ、いらしてくださいました。
税務署は恐れず!
大いに利用すべきお役所です。