医学講座
手あれと手袋②
私たちヒトの手は、
たくさんのことをします。
ものをつくるのも手。
字を書くのも手。
自分自身で、
食事をするのも手。
お化粧をするのも、
歯をみがくのも、
顔を洗うのも手です。
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2007年10月28日の日記に
『手のぬくもり』を書きました。
私たちの手は実に精密に作られています。
手の構造を見ると、
手のこう(手背側)と
手のひら(手掌側)では、
皮膚の厚さや構造がまったく違います。
手のこうの皮膚は薄く、
手のひらの皮膚は厚いのです。
手のひらの皮膚と同じ構造は、
足の裏の皮膚です。
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体重を支えて歩くために、
足の裏の皮膚は
厚く固くなっています。
手のひらの皮膚も
いろいろなものを持ったり、
触ったりするために、
厚く丈夫につくられています。
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同じヒトの手でも、
重いものを持ったり、
包丁で固いものを切る
作業をするヒトの手は、
鍛えられて丈夫になります。
手を見るとその人の人生がわかります。
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昔から…
トイレに行ったら手を洗う!
外から帰ったら手を洗う!
とにかく、
私たちは子どもの頃から、
よく手を洗うように躾け(しつけ)られます。
院内感染で、
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などを、
患者さんから患者さんへ移すのも、
私たち医療従事者の手が原因といわれます。
そのため、
手洗いやグローブの着用を指導されます。
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皮膚が強い人と弱い人がいます。
山には、ウルシという植物があります。
ウルシオールという成分が含まれ、
これが原因で皮膚炎を起こします。
子どもの頃に山に行くと、
必ず、これに触ってはダメと教えられます。
ふだん、食べているものでも、
手で触ると皮膚炎になるものもあります。
日本皮膚科学会HPには、
シソ(オオバ)による手の皮膚炎が
掲載されています。
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手はいろいろなものに触るので、
炎症を起こしやすい部位の一つです。
原因となる物質に触れないことが、
一番よい対策です。
そんなこと言ったって無理!
と叱られそうです。
主婦が
炊事や洗濯をしないわけにはいきません。
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ネットで‘手あれ’と検索すると、
たくさんのサイトが出てきます。
ハンドクリームやオイルの宣伝もあります。
私がおすすめする、
手あれ対策は、
手を洗い過ぎない!
石鹸を使いすぎない!
軟膏やクリームで手を守る!
です。
症状が強い方は、
必ず信頼できる皮膚科専門医
を受診なさることです。
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高価なハンドクリームだけがよいのではありません。
何も添加物が入っていない、
白色ワセリンという薬があります。
ベトベトするのが難点ですが、
これで皮膚表面を保護することで、
かなり楽になります。
ニオイもないので食品製造の方も安心です。
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皮膚科へ行くほどでもない方は、
市販のハンドクリームもよいと思います。
一日、一回多量に塗るよりは、
薄く何回か塗る方がよいです。
私は、皮膚科専門医ではありませんので、
ご相談いただければ、
信頼できる皮膚科専門医をご紹介いたします。
まみ子師長さん、
これでよろしいでしょうか?