医療問題
救急医療の大変さ
私は救急の専門医ではありません。
救急医療に、
それほど詳しい訳でもありません。
救急医と、
一時期、いっしょに働いた経験だけです。
私の偏見が混じっているかも知れませんが、
救急医療がいかに大変かを記載します。
■ ■
私たちのような開業医や、
病院の外科医は、
定期手術(ていきしゅじゅつ)といって、
予(あらかじ)め手術の予定を立てて、
その計画通りに手術をします。
あなたの手術は、
来週月曜日の朝9:00からです。
というように予定を立てます。
■ ■
その間に、
十分な検査や、
術前検討会などで、
手術についての‘下調べ’もできます。
自分一人で難しい手術でしたら、
大学などに応援を頼むこともできます。
手術を受ける患者さんにも、
手術を執刀する外科医にも、
十分に準備する時間があります。
■ ■
外来で診察をしてから、
患者さんとの信頼関係を築き、
それから手術に臨みます。
救急医療は、
ある日突然に…
瀕死(ひんし)の重傷となった方が…
救急車で搬送されて来ます。
瞬時に判断して、
緊急手術となることもあります。
■ ■
検査も十分にできないまま、
救急ホールで手術をはじめることもあります。
ある救命救急センターに、
外傷患者さんが搬送されて来ました。
救命するために…
処置をして、
血だらけになりました。
そこらじゅうに血がついた後で、
検査室から緊急電話がありました、
HIV陽性です
■ ■
幸い、医療従事者への、
HIV感染はありませんでした。
血液を介して感染する、
HIV、
肝炎など、
現場の医療従事者には、
常に感染の危険があります。
待ったなしの救急医療には、
こうしたリスクもあります。
■ ■
現在の法律では、
無保険者だからと…
診療を拒否することはできません。
明らかに治療費が払えず、
公費(お役所からのお金)で、
治療費を払っていただけない方でも、
病院は診療をしなければなりません。
公立病院だけではなく、
民間病院でも同じです。
■ ■
医療の特殊性もあります。
お金がなくて…
一週間も…
何も食べていない人がいたとします。
市役所に食事を求めて来ても、
国会議事堂に来ても、
ただで食事は出してもらえません。
手続きをして、
申請してからでないと、
何もいただけません。
■ ■
病院は…
公立でも民間でも、
救急車で搬送された人を、
お金が無いという理由で断ることはできません。
重症で、
何度も手術をして、
治療費が数百万円になっても…
保険がない人にも
お金がない人にも
平等に医療を提供しなくてはなりません。
■ ■
以外と知られていない事実ですが、
大きな病院には、
医業未集金という、
患者さんから、
いだだけなかった治療費が
かなりあるのが現実です。
私が知っている限り、
国はその補償をしてくれません。
医学的にも、
経済的にも、
高度の救急医療の提供には、
たくさんの問題点があります。