医学講座
元には戻せません
プチ整形という言葉があります。
整形は簡単で…
気に入らなければ…
すぐに元に戻せる…
という誤った認識があります。
糸で留める埋没法でも、
簡単には戻せません。
埋没法で固定する手術より、
糸を取る手術の方が難しいのです。
■ ■
眼瞼下垂症などの切る手術は、
元の通りに戻すことは不可能です。
メスを入れて剥離(はくり)という操作をすると、
そこには瘢痕(はんこん)というキズができます。
眼瞼挙筋(がんけんきょきん)という筋肉を操作すると、
目が大きくなります。
手術後に気に入らないから…
元に戻してくださいと言われても…
元に戻すことはできません。
■ ■
形成外科や美容外科の手術は、
大部分が緊急性がありません。
手術を受ける前に、
少しでも迷いがあるのでしたら、
私は手術をおすすめしていません。
せっかくいらしていただいたのに、
という気持ちもありますが、
その方が、本人のためだと思うからです。
■ ■
昨日の日記に書いた、
危ない患者さんという言葉に、
コメントをいただきました。
不適切な表現で申し訳ございません。
美容外科の業界ではよく使われています。
コメントをいただいた方は、
他の形成外科で手術を受けられ、
症状が快くなられたとのことです。
上手な先生に手術をしていただいて、
よかったと思います。
■ ■
ただ…
1年3ヶ月経った今でも、
やはり以前から私の顔を知っている人には
「整形したのではないか・・」と
疑念を持たれているのではないかと
いつもハラハラ・ドキドキしながら会っています
という文を読んだ時に、
やはり私は手術をお引き受けしなくてよかった。
私の判断は誤っていなかったと思いました。
■ ■
眼瞼下垂症の診断は、
診断する医師によって異なります。
一部の眼科医の間では、
形成外科医は手術をしすぎているという批判もあります。
厚生労働省が定めた、
明確な診断基準や、
手術適応の基準はありません。
一般的に眼科医より、
形成外科医の方が診断基準が広いと思います。
■ ■
他の大きな病院で…
眼瞼下垂症ではないと診断されてた方を、
私が眼瞼下垂症と診断することもあります。
コメントをいただいた方のように、
私が、眼瞼下垂症は軽度で、
手術をしても
頭痛や肩こりが100%治るとは言えない。
と判断することもあります。
頑固な肩こりや頭痛には、
頭痛専門のクリニックをご紹介することもあります。
■ ■
一番の問題は、
自分の顔が変わることに抵抗がある…
ということです。
眼瞼下垂症の手術は保険適応でできますが、
元に戻す手術には保険が効きません。
また、100%元通りに戻すこともできません。
元に戻した方が良いのではないかなどと、
随分と悩んだものでした。
と書かれていました。
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悩んで、
元に戻す手術の相談を受けても…
私には、よい答えはありません。
私たち美容形成外科医にとっても、
元に戻してください
と言われるのは、
大変なことなのです。
決して小さなことではありません。
言葉足らずで不快な思いをおかけして、
申し訳ございませんでした。
手術適応は慎重に決めているのです。