医学講座

元には戻せません

 プチ整形という言葉があります。
 整形は簡単で…
 気に入らなければ…
 すぐに元に戻せる…
 という誤った認識があります。
 糸で留める埋没法でも、
 簡単には戻せません。
 埋没法で固定する手術より、
 糸を取る手術の方が難しいのです。
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 眼瞼下垂症などの切る手術は、
 元の通りに戻すことは不可能です。
 メスを入れて剥離(はくり)という操作をすると、
 そこには瘢痕(はんこん)というキズができます。
 眼瞼挙筋(がんけんきょきん)という筋肉を操作すると、
 目が大きくなります。
 手術後に気に入らないから…
 元に戻してくださいと言われても…
 元に戻すことはできません。
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 形成外科や美容外科の手術は、
 大部分が緊急性がありません。
 手術を受ける前に、
 少しでも迷いがあるのでしたら、
 私は手術をおすすめしていません。
 せっかくいらしていただいたのに、
 という気持ちもありますが、
 その方が、本人のためだと思うからです。
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 昨日の日記に書いた、
 危ない患者さんという言葉に、
 コメントをいただきました。
 不適切な表現で申し訳ございません。
 美容外科の業界ではよく使われています。
 コメントをいただいた方は、
 他の形成外科で手術を受けられ、
 症状が快くなられたとのことです。
 上手な先生に手術をしていただいて、
 よかったと思います。
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 ただ…
 1年3ヶ月経った今でも、
 やはり以前から私の顔を知っている人には
 「整形したのではないか・・」と
 疑念を持たれているのではないかと
 いつもハラハラ・ドキドキしながら会っています
 という文を読んだ時に、
 やはり私は手術をお引き受けしなくてよかった。
 私の判断は誤っていなかったと思いました。
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 眼瞼下垂症の診断は、
 診断する医師によって異なります。
 一部の眼科医の間では、
 形成外科医は手術をしすぎているという批判もあります。
 厚生労働省が定めた、
 明確な診断基準や、
 手術適応の基準はありません。
 一般的に眼科医より、
 形成外科医の方が診断基準が広いと思います。
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 他の大きな病院で…
 眼瞼下垂症ではないと診断されてた方を、
 私が眼瞼下垂症と診断することもあります。
 コメントをいただいた方のように、
 私が、眼瞼下垂症は軽度で、
 手術をしても
 頭痛や肩こりが100%治るとは言えない。
 と判断することもあります。
 頑固な肩こりや頭痛には、
 頭痛専門のクリニックをご紹介することもあります。
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 一番の問題は、
 自分の顔が変わることに抵抗がある…
 ということです。
 眼瞼下垂症の手術は保険適応でできますが、
 元に戻す手術には保険が効きません。
 また、100%元通りに戻すこともできません。
 元に戻した方が良いのではないかなどと、
 随分と悩んだものでした。
 と書かれていました。
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 悩んで、
 元に戻す手術の相談を受けても…
 私には、よい答えはありません。
 私たち美容形成外科医にとっても、
 元に戻してください
 と言われるのは、
 大変なことなのです。
 決して小さなことではありません。
 言葉足らずで不快な思いをおかけして、
 申し訳ございませんでした。
 手術適応は慎重に決めているのです。
 

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