医学講座
瞼(まぶた)の裏側
日本美容外科学会に出席するために、
横浜へ来ています。
札幌と比べると…
横浜は暑いです。
今日の最高気温は27℃です。
(札幌は20℃でした)
こんなのは暑いうちに入らないのでしょうが、
札幌育ちの私には、
関東での生活は無理なようです。
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昨日の日記に、
埋没法は2回まで
と書きました。
埋没法の手術をする時には、
瞼板法(けんばんほう)でも、
挙筋法(きょきんほう)でも、
必ず瞼をひっくり返して、
裏側を見ます。
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慣れないと…
瞼をひっくり返して、
裏側を見ること自体が…
難しいものです。
ふつうの形成外科医は、
瞼をひっくり返して、
裏を見ることをしません。
私も最初は…
上手にできませんでした。
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健康な人の瞼の裏側は、
キレイなピンク色です。
瞼板(けんばん)という白い組織の上に、
結膜(けつまく)があり、
そこに毛細血管があります。
教科書によると、
この毛細血管から、
目の角膜へ酸素や栄養を供給する、
と書かれています。
■ ■
角膜(かくまく)というのは、
光を通すために、
透明です。
血管はありません。
ソフトコンタクトで、
すっぽりと角膜を覆(おお)ってしまうと…
角膜に酸素が供給されず、
酸欠になるといわれています。
ですから長時間付けっ放しにできないのです。
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瞼板法(けんばんほう)で、
何回も埋没法手術を受けると…
この毛細血管がズタズタになります。
瞼の裏側がキズだらけになり…
角膜へ…
酸素や栄養の供給ができなくなります。
手術をする先生は、
キズだらけの瞼の裏側を見ます。
自分の身内だったら、
糸が4本も6本も入った瞼に、
更に糸を追加することはしないと思います。
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埋没法の保証とは、
この糸をむやみに追加して、
結果的に瞼をキズだらけにするだけです。
私は、
他院で埋没法を受けた…
眼瞼下垂症の方を手術する時に…
できるだけ埋没糸を除去しています。
追加料金もいただきません。
(保険の規定です)
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手術用顕微鏡で見て、
高倍率にして、
ようやく見える程度の糸もあります。
そんな糸でも、
毛細血管を傷つけています。
表面から見えない、
瞼の裏側には、
大切な役割があります。
どうか自分の目を大切にしてください。