昔の記憶
人生で一番ロマンチックな時期
毎年秋になると、
予備校時代に矢野雋輔先生が言われた、
受験生は人生で一番ロマンチックな時期
という言葉を想い出します。
私が札幌医大に合格できたのは、
矢野先生のおかげです。
形成外科医になれたのは、
恩師の大浦武彦先生のおかげです。
ご恩は一生忘れません。
■ ■
必死で勉強していて、
彼女もいない不遇な青春時代でした。
こんなに辛いのに、
どうしてロマンチックなのだろう…?
と不思議に思っていました。
どんなに勉強しても、
成績はそれほどUPしないし。
来年、合格できるという保証もない。
自分の周囲を見回すと…
偏差値75で落ちた人がいる。
■ ■
勉強をして、
自分の実力を知れば知るほど…
不安になっていたものでした。
自分の実力がわからない時は、
偏差値60ちょっとでも合格した人もいるから、
自分もひょっとしたら…?
合格できるかも…?
なんて考えたこともありました。
■ ■
55歳という年齢になり、
自分が生きてきた年月より、
残された年月が少なくなりました。
矢野先生も…
もうこの世にいらっしゃいません。
この年齢になって想うことは、
やはり…
矢野先生のお言葉は正解で、
自分が努力して目標に向かっている時が、
人生で一番ロマンチックな時期だということです。
■ ■
昨日の日記にあった、
クジャクの羽を広げている時は…
若い人の特権です。
男性も女性も、
人生で一番美しい時期です。
羽を広げたクジャクは、
餌(えさ)を取ることはできません。
美しい代わりに何もできません。
生きていくためには…
餌を取らなければなりません。
羽を広げて子育てはできません。
■ ■
受験生の頃は、
自分で餌を取る心配をしなくても、
親が餌を取ってくれました。
たとえ貧しい餌でも、
お腹が減って…
餓死することはありませんでした。
受験生の時期は、
自分の夢に向かって努力している、
人生で最も充実した時期だったと思います。
55歳になって気付きました。