昔の記憶
荻野利彦先生の手
荻野利彦先生の死がいまだに信じられません。
私が五十肩で苦しんでいた時、
荻野先生に診ていただきました。
先生のお部屋にも案内していただき、
コーヒーをご馳走になりました。
勤務していらした、
整形外科北新東病院の広田誼(ひろた よしみ)先生のご好意で、
手の外科の患者さんを診察し手術をしていると話してくださいました。
■ ■
広田先生とは若い頃に北大の関連病院で働いたことがあり、
山形へ移られても懇意にしていらしたと伺いました。
荻野先生は、
広田先生に感謝していること、
山形大学を退職しても、
海外の学会へ行っていらっしゃること、
後輩の先生と手の外科の勉強を続けていらっしゃることなど、
約1時間近くお話しをさせていただきました。
■ ■
荻野先生のお部屋は、
本と文献が山のようにあって、
PCはMacだったと記憶しています。
大学医学部の教授室を思わせる、
勉強している先生の部屋でした。
荻野先生は、
札幌に帰っていらしても、
学究肌の謙虚な研究者のままでした。
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荻野先生は、
私が右肩が痛くて夜も眠れないこと、
無影灯に手が届かなくて困ること、
駐車場で駐車券を取れないことなど、
私が困っていることを、
実に丁寧に聞いてくださいました。
痛い私の肩に、
注射をしてくださいました。
■ ■
先生の手は優しく、
先生の手でしてくださった注射は、
針が刺さったのもわからないくらい痛くありませんでした。
魔法の注射のおかげで
私の痛みは劇的に改善しました。
リハビリの吉野先生をご紹介してくださり、
私のリハビリが開始されました。
■ ■
整形外科北新東病院のおかげで、
私の肩は回復し、
元通りに無影灯にも手が届き、
駐車券も取れるようになりました。
荻野先生は口数が多い先生ではありません。
実に謙虚な先生でした。
学者としても、
医師としても、
国際感覚も、
とにかく最高の先生でした。
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荻野先生の手は、
とてもあたたかで、
ていねいで、
患者さん思いの手です。
今まで、
何人の人を助けてくださったことか…
とてもとても残念です。
荻野利彦先生のご冥福をお祈りしています。