医学講座

第41回日本熱傷学会(名古屋)④

 今年の日本熱傷学会で印象に残った発表です。
 シンポジウム2
 熱傷のプレホスピタルケア
 飛騨市消防本部
 澤田 仁(さわだ ひとし)様のご発表です。
 日本熱傷学会PBECコースの今後の展開と消防・医療の共通認識の確立について
 「火災現場で消火活動中の消防隊員が火傷を負いました。ぐったりして意識がありません。」ホットラインにこのような内容の電話がかかった時、皆さんはどのように対応されますか。日本熱傷学会プレホスピタル委員会の調査によると、救急隊員が経験する熱傷病者の搬送は年間平均1~2例、重症熱傷は5年に1例と報告されています。
 日本熱傷学会では、このような経験の少ない症例に適切に対応できるように、PBECコースを立ち上げました。コースの目的は、病院前における熱傷病者の観察・評価・処置の標準化を図ることで、適切な医療機関への搬送判断と、院内治療に至るまでの共通認識を確立することにあり、その活動手順はJPTECに準じたものとなっています。熱傷病者の受傷早期から救助・医療活動を担う消防組織に求められる活動は、現場の安全確保、二次災害の防止、受傷形態の把握、緊急度・重症度の判断など多岐にわたっており、災害現場から院内治療に至るまでの共通認識を有することで、適切な情報伝達と地域における適切な搬送機関の選定が可能となります。今後は、PBECコース開設後の効果を検証し、その有用性を示していくことで、他の外傷や災害対応と同様に消防救急の活動・教育の補助として位置付けられると考えます。

 (日本熱傷学会抄録集より引用)
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 澤田様は岐阜県飛騨市消防本部の方です。
 私は澤田様のご発表をお聞きするまで、
 火災現場の救急体制を知りませんでした。
 救急というと、
 救急車に乗って来てくださる、
 救急隊員のことしか頭に浮かびませんでした。
 救急には、
 オレンジの服を着て火災現場から救助してくださる、
 救助隊員と、
 救急車で搬送してくださる救急隊員がいます。
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 全国的に、
 救助隊員も救命救急士も、
 重症熱傷を経験したことがない人が増えています。
 重症熱傷の患者さんが減るのはいいことですが、
 いざという時のための訓練が必要です。
 日本熱傷学会では、
 救急隊員のために、
 熱傷のプレホスピタルケアに力をいれています。
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 日本熱傷学会PBEC(Prehospital Burn Evaluation Care)コースの開催について
 PBEC(ぴーべっくと呼んでいます)
 一般社団法人日本熱傷学会
 代表理事猪口貞樹
 プレホスピタル委員会
 委員長田中秀治
 昨今、わが国の各地で増加している多数重症熱傷者発生事案の適切な対応は熱傷患者の予後改善に極めて重要です。福知山市花火大会の例でもあるように、熱傷の傷病者は当初意識レベルやバイタルサインも良好なことが多く、広範囲熱傷や顔面熱傷や嗄声が初期評価で適切に判断できなければ、急激な容態変化をきたす症例がしばしば存在します。
 日本熱傷学会では、世界的な標準コースの診療概念を参考に、国内のプレホスピタルにおける熱傷傷者の観察・処置・重症度・緊急度判断の向上を目的に、また消防機関とより綿密な地域熱傷医療体制の構築のため、PBEC(Prehospital Burn Evaluation Care)コース3 回の試行コースを実施し内容の充実を図ってまいりました。
 平成27年度からはパイロットコース的な要素は残るもののPBEC コースとして、第41 回日本熱傷学会学術集会会長のご配慮により会期中のプログラムとして開催させていただくことになりました。
どうぞ会員の皆様におかれましては諸般ご多忙の折と存じますが、本コースへご協力のほどよろしくお願いします。

 (日本熱傷学会HPより引用)
      ■         ■
 熱傷を治療するわれわれ医療者と、
 患者さんを搬送してくださる消防が、
 いっしょに勉強するのはとてもよいことです。
 飛騨市消防本部澤田仁様のご発表は、
 とてもわかりやすく、
 声も大きく、
 聞き取りやすい内容でした。
 これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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