医学講座
第28回日本眼瞼義眼床手術学会(沼津)②
沼津は天気もよく、
とてもいいところでした。
富士山が見えました。
札幌に帰ってきました。寒いです。
第28回日本眼瞼義眼床手術学会で一番感動したのが、
特別講演でした。
静岡市で羅眼科ら眼科を開業していらっしゃる、
羅 錦營(ら きんえい)先生です。
私より年上の先生です。
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羅ら先生は九州大学医学部をご卒業。
帝京大学医学部の丸尾敏夫先生のもとで、
眼科学を習得されました。
1978年から2004年まで、
静岡県立こども病院で、
小児眼科の治療をされ、
2004年に静岡駅前で開業されました。
開業医なのに、
小児の手術を全身麻酔でなさっています。
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羅先生のすごいところは、
最新の設備、
最新の治療、
最高の治療
…を総合病院の眼科ではなく、
個人の診療所でなさっているところです。
私などくらべものにならないくらい、
すごい先生です。
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小さな子供さんなのに、
目に悪性腫瘍ができてしまうことがあります。
網膜芽細胞腫もうまくがさいぼうしゅという病気です。
かわいそうですが、
この病気の子供さんは、
眼球を摘出する手術が必要です。
両眼とも摘出手術になる子供さんもいます。
命を救うためです。
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眼球を摘出した後は、
義眼を入れます。
ちゃんと、
上手に、
義眼を入れると、
ちょっと見ただけではわかりません。
問題なのは、
義眼が入るスペースがなくなることです。
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眼球摘出手術をした後の処置が大変です。
義眼が入っても、
まぶたが陥凹していたり、
義眼が入るスペースがないと、
不自然な目に見えます。
見た目の問題ですが、
これがとても難しいのです。
美容外科ではできません。
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羅先生は、
独自の方法で、
とてもきれいな目を作られます。
正確に言うと、
きれいな目になる土台を作られます。
学会の抄録は難しすぎてわかりませんが、
もし、
眼球を摘出することになったら、
静岡の
羅眼科ら眼科です。
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特別講演の抄録です。
特別講演
小児眼科診療40年-
眼内悪性腫瘍に対する可動性義眼台の開発と長期予後
○羅 錦營
ら(羅)眼科 院長、帝京大学 医療技術学部(前 静岡県こども病院 眼科科長)
小児眼科診療の5大疾患は弱視、斜視、先天異常、未熟児網膜症及び腫瘍などである。
義眼の使用は先天異常の小眼球症、無眼球症、顔面裂、前眼ぶどう腫症などが適応である。
腫瘍は嚢胞性の良性腫瘍が多く見られる。悪性腫瘍は原発と転移または二次がんがあり、乳児早期に発症する網膜芽細胞腫が一番多い。
2015年日眼の網膜芽細胞腫の診療ガイドラインによると眼球摘出術は標準治療である。
【羅式可動性義眼台の開発経緯】
2000年のDobelle eye (脳の視覚野を電極アレイで刺激するタイプの人工視覚システム) の発表後、両眼摘出後の人工視覚の獲得を強く希望する患児の家族に動かされ、9方向の可動性義眼台の開発に着手した。
下斜筋と上斜筋の使用は必要である。
網膜芽細胞腫の摘出後の術中挿入として2002年より2014年までに両眼性4例、片眼性7例計12眼に対して挿入術を行った。男児6眼、女児6眼では右2眼、左10眼であった。手術時年齢は4ヶ月から8歳まで、経過観察期間は10年以上4眼、5年以上5眼、4年以上2眼、2年1眼であった。
義眼台挿入術はsnare techniqueで顕微鏡下摘出後に、2種類の素材を使用する。術中で摘出眼の大きさに対応して作製し、レジン球を16mm幅のシリコンタイヤ、バンドなどで包埋し、22~24mm×20mm大の義眼台を術中に作成したあとに、上下斜筋、内外直筋、上下直筋の順に計6筋縫合し、挿入術を行った。
術後の開瞼、閉瞼状態と各方向の眼球運動が得られた。義眼台の素材は従来用いられてきたもので、眼窩内の組織順応性と可動性は特に問題が見られない。また、術後感染及び脱出は見られない。術後のCTまたはMRI画像では4直筋2斜筋の眼窩内の走行、残存視神経断端及び義眼台の固定状態を確認できた。
義眼と義眼台の開発は急速に進歩する人工視覚の空間定位に役に立つものである。
■ 略歴 ■
羅 錦營(ら きんえい)
1976年 九州大学医学部卒業(アメリカECFMG、台湾医師免許、日本医師免許)
1978年 静岡県立こども病院眼科科長(2004年まで)
1985年 帝京大学医学部非常勤講師(2008年まで)
2004年 静岡市 ら(羅)眼科 院長
2008年 帝京大学医療技術学部非常勤講師
1981年 第1回日本弱視斜視学会賞受賞
1993年 日本小児眼科学会理事 現職
2016年 日本弱視斜視学会名誉会員
1997年 第22回日本小児眼科学会総会長
2001年 第57回日本弱視斜視学会総会長