医学講座
第23回日本熱傷学会北海道地方会②
日本熱傷学会北海道地方会のいいところは、
医師、看護師、救急隊員、理学療法士、作業療法士、栄養士、など、
職種にかかわらず参加できる点です。
人数が圧倒的に多いのは、
救急隊員の方です。
北海道各地からいらっしゃいます。
■ ■
ふつうの外傷とくらべて、
重症熱傷の患者さんは数が少ないです。
ベテラン救急隊員でも、
病院に搬送する前に、
どのように対処したらいいか迷うことがあります。
私は重症熱傷を数多く治療しました。
昔の経験でも役に立っています。
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熱傷は身近な外傷です。
若いお嬢さんが、
髪を整えるこてでやけどをすることがあります。
バイト先でやけどをすることもあります。
小さな子供さんが、
カップ麺やコーヒーでやけどをすることもあります。
フィブラストスプレーという特効薬もできました。
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第23回日本熱傷学会北海道地方会では、
日本で一番重症熱傷治療を行っている、
名古屋の中京病院救急科の上山昌史先生の特別講演がありました。
会場にいらした、
ベテラン救急隊員から質問がありました。
傷病者の衣服を脱がせるか?
判断に迷うことがあります。
確かにむやみに着衣を脱がせることはできません。
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上山うえやま先生の回答です。
クレゾールという薬品で受傷した患者さん、
パンツだけは脱がせないで!
…と訴えられました。
パンツを脱がせなかったら、
パンツについていたクレゾールのために、
パンツの部分だけ深い創になってしまった例があります。
パンツ部分が深くなると、
便による汚染も重なり大変です。
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上山うえやま先生の回答は、
患者さんに状況を説明して、
必要があれば着衣も脱がせてくださいでした。
別の質問です。
熱傷患者さんの創面に触ると、
感染させてしまうので触らないほうがいいのか?
…という疑問もありました。
そんなことはありません。
患者さんが感染症を持っていることもあるので、
自分の手に処置用手袋をして、
創面に触ってください。
…が上山うえやま先生の回答です。
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第23回日本熱傷学会北海道地方会のプログラムです。
もっとたくさんの方に参加していただきたいです。
第23回日本熱傷学会北海道地方会
開会の挨拶 会長 川嶋邦裕
総会13:00~13:10
Ⅰ13:10~13:40
座長 市立札幌病院 救命救急センター 櫻井圭祐
1.全身に灯油をかぶり重症熱傷を負った傷病者を搬送した事例
札幌市消防局豊平消防署 警防課救急担当(三) 横谷英紀 他
2.当院で対応した電撃症の2例
勤医協中央病院初期研修医 鈴木悠介 他
3. 超早期手術への取り組み~輸液減量に向けて~
市立札幌病院救命救急センター 櫻井圭祐 他
Ⅱ13:40~14:10
座長 北海道大学 形成外科 七戸龍司
4.33歳女性、40%熱傷創に対して超早期デブリードマンと分層植皮術を施行した一例
市立札幌病院形成外科 西尾卓哉 他
5.フッ化水素による指尖部の化学損傷の1例
函館中央病院形成外科 高橋紀久子 他
6.電気あんかの破裂により熱傷を受傷した1例
札幌医科大学形成外科 大沼眞廣 他
Ⅲ14:10~14:40
座長 市立札幌病院 10階東病棟 佐藤亜紀
7.広範囲熱傷の超高齢者に対するリハビリテーションの一例
市立札幌病院看護部看護課救命救急センター 村松亜耶 他
8.精神疾患を有する熱傷患者の経口摂取確立への取り組み
市立札幌病院看護部看護課救命救急センター 伊原利彦 他
9.精神疾患をもつ重症熱傷患者の退院支援からの学び
市立札幌病院看護部看護課10階東病棟 青柳陽子 他
休憩 14:40~15:00
Ⅳ特別講演15:00~16:00
司会 市立札幌病院 形成外科 川嶋邦裕
「熱傷治療の現状と展望」
~中京病院熱傷治療の現況を通じて~
独立行政法人地域医療機能推進機構中京病院救急科 上山昌史先生