医学講座

全身に灯油をかぶり重症熱傷

 くくるんさんが気になった、
 第23回日本熱傷学会北海道地方会②
 プログラムの、
 全身に灯油をかぶり重症熱傷を負った
 …という事例報告があります。
 残念なことですが、
 灯油をかぶって自分で火をつける自殺があります。
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 自殺と救急医療
 2007年5月29日の院長日記です。
 救命救急センターに搬送されて来る患者さんの中には自殺もよくあります。
 首をつった、飛び降りた、薬物を飲んだ、灯油をかぶって焼身自殺をした、などたくさんの患者さんが搬送されてきます。
 形成外科に関係するのが、焼身自殺による全身熱傷です。救命技術の進歩により自殺をしても助かることが多くなってきています。自殺した患者さんでも、救急車で搬送されてくると救急医は懸命に夜も寝ないで治療に当たります。
 全身熱傷を受傷すると簡単に死ねそうに思うかもしれません。ところが先にあげた自殺法の中で、一番最後まで意識があって苦しむのが焼身自殺です
 人間や動物が死ぬ時は心臓や呼吸が止まり、脳や臓器に酸素が行かなくなって死にます。熱傷を受傷しても簡単に心臓は止まらず、意識もあります。自分の体が黒焦げになって、手も指も炭のようになっているのも見えます。
 何度もなんども手術を繰り返しても、絶対に元のキレイな皮膚には戻れません。指もなくなってしまいます。さらに、自殺は自己の重大な過失による外傷なので原則的に健康保険は使えません。救命救急センターに入院すると、入院費が最高で一ヵ月に1,000万円にもなることがあります。全身熱傷も治療費が極めて高額になります。私が治療を担当させていただいた患者さんで数ヵ月の治療費が2,000万円にもなって、両親が家を売って支払った症例もありました。残念なことに結局その方は亡くなりました。
 救急医にとって懸命に治療したけれど命を救えなくて、治療費の借金だけが残った症例はとても悲しくつらいものです。

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 意外と知られていないことですが、
 自殺に健康保険が使えません
 健康保険は病気の治療のための保険です。
 自ら命を絶ってしまう自殺は、
 医療保険が原則として使えません。
 重症熱傷の場合は、
 莫大な医療費がかかります。
 自分の身体の機能を失うだけでなく、
 財産も失うことになります。
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 形成外科医としてお願いしたいことです。
 全身に灯油をかぶり焼身自殺をしても、
 医学の進歩により死ねません。
 ご自分が苦しいだけです。
 お願いですから、
 焼身自殺だけはやめてください
 焼身自殺の悲惨さを、
 もっと知っていただきたいです。

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