医学講座

眼窩エピテーゼによる顔面再建

 今日の札幌は曇りです。
 今日から第68回さっぽろ雪まつりです
 第28回日本眼瞼義眼床手術学会(沼津)
 で勉強したことの続きです。
 目やまぶたに、
 悪性腫瘍ができることがあります。
 医学が進歩しても、
 眼球を摘出したり、
 まぶたも眼球も摘出したりする手術が必要なことがあります。
      ■         ■
 目が入っている部分を眼窩がんかと言います。
 手術で眼球だけではなく、
 まぶたや眼窩の組織も摘出することがあります。
 そうすると、
 目の部分に大きな穴ができます。
 この穴の部分を再建して、
 元と同じ顔にするのはとても難しいです。
      ■         ■
 眼窩エピテーゼというものがあります。
 人工的に作った顔の一部を、
 欠損になった部分につけて、
 少しでも正常に近く見せる技術です。
 彫刻のようなものです。
 とても精巧にできています。
 これが保険適応でできるそうです。
 療養費払いなので、
 一度立替える必要がありますが、
 保険適応だそうです。
 私も知りませんでした。
      ■         ■
 ランチョンセミナーでお聞きした内容です。
 眼窩エピテーゼによる顔面再建
 百合草健圭志ゆりくさ たかし先生(静岡県立静岡がんセンター口腔外科部長)
  悪性腫瘍切除後に生じる顎顔面欠損に対する顎顔面再建は、機能面だけでなく、患者の社会性の回復にも重要な役割を果たしている。顎顔面領域の術後に生じる顎顔面欠損には、遊離皮弁移植などの生体再建や顎顔面補綴 (エピテーゼ) を用いる再建が行われる。特に広範囲な顎顔面欠損に対しては、エピテーゼによる顎顔面補綴再建が有用な場合も多い。本セミナーでは眼窩エピテーゼによる再建について症例を提示する。
 眼球摘出後の眼窩エピテーゼは医療保険における治療用装具として療養費の支給対象となっており、自治体等の公的助成の対象となる。しかし、認知度が低く患者だけでなく医療従事者にも十分に周知されていない。本セミナーをきっかけとして、医療者側から患者側に十分な情報提供を行い、顎顔面再建の一選択肢として広く認識されることが望まれる。
略 歴
百合草健圭志(ゆりくさ たかし)
現 職
静岡県立静岡がんセンター 歯科口腔外科 部長
歯学博士
日本がん口腔支持療法学会副理事長
厚生労働省委託事業がん診療医科歯科連携推進協議会委員
学歴・職歴等>
2002年3月  北海道大学歯学部歯学科卒業
2006年3月  北海道大学大学院 歯学研究科修了(歯学博士)
2006年4月  静岡県立静岡がんセンター 歯科医師レジデント
2009年4月  同歯科口腔外科 副医長
2013年9月  同 医長
2014年4月  同 部長(現在に至る)

“眼窩エピテーゼによる顔面再建”へのコメント

  1. なっちゅん より:

    まぶたも取ってしまうことがあるんですね。
    怖いです。

    でも再建が保険適応で良かったです。

    そういえば乳房再建は
    なかなか難しいと書いてありましたが
    保険適応でしたか?

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。まぶたも眼球もとってしまって目の部分に大きな欠損ができます。再建と言っても手術をするのではなく人工物をつけるのです。保険が効くとは知りませんでした。乳房再建も保険適応になりました。こちらは手術です。

  2. えりー より:

    まぶただけではなく目にも
    悪性腫瘍ができる事があるのですね。
    昨日まで見えていた世界が真っ暗に
    なる。想像するだけで辛いです。
    幼いお子さんだともっとですね。
    それでも命を助けてくださるお医者さまは、
    すごいと思いました。

    辛い現実を受け入れなければならない方が
    保険適応で経済的な不安が少しでも解消
    されると良いですね。

    今日の院長日記を読ませていただいて
    改めて今の自分があたりまえだと思っては、
    いけないと感じました。
    学会お疲れ様でした。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。小さな子供さんが眼球を摘出されるのはとても大変です。でも命を助けるためです。眼球を摘出した後でいかに変形を少なくして自然な見た目にするかを研究する学会です。とてもまじめないい先生ばかりです。

  3. さくらんぼ より:

    眼窩エピテーゼは私が何回も作った コルセットと同じ扱いでしょうか? 眼球がなくなると 障害者にはならないのでしょうか?コルセットを作るのも保険を使う時と障害者の方で作る二通りあるようですが、、

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。そうです治療用装具と同じ扱いで療養費払いというのです。一度立替えて支払って後で給付されるものです。両側の眼球を失うと視力障害で障害者になりますが片目ですと残った目の視力によるようです。

  4. すみれ より:

    医学も進歩して義眼もよくなりました。小学校の時、隣の席にいたY君が猫に爪で引っ掻かれたとか?で片方の目が義眼でした。でも50年前はひどかったです。いくら技術が進歩してもガンになって暗い世界に入るのはいやですよね。でも、そのような暗い気持ちに光をさしてくれる、仕事をしている本間さんにエールをおくります。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。私は義眼の子供さんは見たことはありません。義眼を作る会社の方も学会にいらして発表されます。とても優秀な方たちばかりです。

  5. くくるん より:

    眼窩エピテーゼという再建技術があることは知りませんでした。
    こうしている間にもどんどん医学は発達してますね。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。眼窩エピテーゼは再建手術ではありません。義足や義手のようなものです。とても精巧に作られた芸術作品のようです。

  6. ozawa より:

    初めてコメントさせていただきます

    エピテーゼの保険適用と検索してこちらのブログを見つけました。眼球摘出後の顔のエピテーゼは保険適用との記事大変参考になりました。
    適用なのは健康保険でしょうか?
    申請の際、先生の診断書等が必要なのでしょうか?
    教えて頂けますと幸いです。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    本文中に記載したように治療用装具として療養費の支給対象です。医師の意見書などが必要です。協会健保のページなどを参考にしてください。

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