医学講座
保育所で使ったおむつ
平成29年10月24日、朝日新聞朝刊の記事です。
保育所で使ったおむつ、持ち帰るべき? 衛生上の問題は
使用済みのおむつは持ち帰って処分して――。そんなルールがある保育所は多い。衛生上の問題もありそうだが、どうして?
さいたま市の会社員の女性(37)の1歳の子の保育園では、使ったおむつと子ども用エプロンが隣り合って保管されている。「おむつは口のあいたポリ袋に保管されている。不衛生でにおいも気になる。感染症も心配」。これを毎日、自宅に持ち帰っている。
4歳になる長男の時から、三つの認可保育所に通わせたが、どこも対応は同じ。理由は「自宅で体調把握ができるように」。「おむつの中身を見なくても、連絡帳などで伝えれば十分では……」
千葉県旭市の医師(43)の1歳の娘が通う公立の認可保育所も持ち帰りだ。「衛生的な問題があるのでは」と昨年度、市に改善を要望したが、受け入れられなかった。市によると、市内の公立保育所ではすべて保護者がおむつを持ち帰る。理由は「事業ゴミの収集が週2回で、保育所内で保管すると感染リスクも高まる」からだという。
厚生労働省によると、2012年に出した保育所の感染症対策ガイドラインがあり、ふた付き容器への保管や手洗いの徹底などは定めている。だが、最終的に誰が処分するかは明記されておらず、「園や自治体の事情もあるので任せている」(担当者)という。どのくらいの保育園で持ち帰りをしているかも把握していない。
東京都世田谷区の会社員の男性(41)が8月末、ツイッター上で保護者を対象に調査を呼びかけた。約1700の回答のうち「持ち帰る」と「持ち帰らない」は半々。3人の子が通った園はいずれも持ち帰りで、「なぜ対応に差があるのか」と驚いた。フランス在住のジャーナリスト高崎順子さん(43)は8月末、ツイッター上で日本の実態を調べ、約2千の回答が寄せられた。紙おむつだけでも「大のみ、園で処分」「すべてまとめてポリ袋に入れ、帰宅時に渡す」「有料で処分」などさまざまな例があった。
見直した自治体もある。東京都千代田区はこれまで、公立の認可保育所6園で基本的に持ち帰りとし、希望する場合だけ、月310円で園で処分してきた。担当者は「布おむつを保護者が持ち帰って洗っていた時代の名残では」。無料で一括処理している私立が増え、「不公平だ」という声に配慮し、今年4月から一括して園で処理することにした。区内の公立保育所の園長は「以前は持ち帰る人とそうでない人との対応に神経を使い、衛生面も気になった。今の方が保育士の負担は小さい」と話す。
自宅への持ち帰りに、衛生的な問題はないのか。厚労省のガイドライン作成に関わった東京都足立区の小児科医、和田紀之さんは「園の状況にもより、統一的な対応は難しい」と話す。おむつからの感染は起こりやすく、適切な処理が必要だが、処理業者が認識していなければ拡大のリスクが高まる。専門業者に頼むと費用もかかり、保管場所がない園もある。「保護者も感染拡大防止のための自覚を持ち、納得できる方法を話し合うことが大切」という。
一方、フランスの子育て事情に詳しい高崎さんは、「日本では子育ての負担が大きい。おむつ持ち帰りはその象徴だ」と話す。2人の息子がフランスの保育所に通っていた数年前、日本の親から「おむつ持ち帰り」のことを聞いた。1枚1枚に名前を書き、包むための新聞紙の持参を保護者に求める園もあると聞き、「今でも大変なのに、日本だったら子育ては無理」と感じた。
「日本では、『母親がこうあるべきだ』という理想や慣例に縛られ、無駄な負担が残っているのではないか」。フランスが出生率を回復した背景の一つに、合理的に親を支える仕組みがあることを知ってもらおうと、フランスの事情についての本を出版した。
「保育所に通わせるために、保護者の日常の煩雑さが増えては本末転倒。子どものために本当に必要か、という観点から考え直してみては」と話す。(仲村和代)
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知りませんでした。
保育園に子供さんを預けて働くのは大変です。
お迎えに行く時には、
晩ご飯の食材もあるでしょうし、
自分の荷物もあります。
子供さんを迎えに行くだけでも大変なのに、
使用済おむつまで持ち帰るとは?
両親にとって大変なことだと思います。
■ ■
布おむつを持ち帰って洗っていた時代の名残も、
何となくわかりますが、
それにしても、
私立では、
無料で一括処理しているところが増えているのに、、、
どうして?
…という思いがします。
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医療機関では、
ふつうの患者さんが使用したおむつは、
事業系一般廃棄物
感染症の患者さんのおむつは、
医療廃棄物の感染性廃棄物です。
保育園のおむつは、
事業系一般廃棄物として保育園で処理するのが、
医療従事者としてはふつうの感覚です。
持ち帰るときに、
他の子供さんのおむつと間違わないのでしょうか?