昔の記憶

本間家の先祖

 さくらんぼさんから…
 山形の本間様のことを教えていただきました。
 私の先祖は、
 山形の本間様ではなく…
 佐渡島のようです。
 本間家のルーツという…
 2009年3月23日の院長日記に書いてあります。
      ■         ■
 2009年に、
 アメブロをご覧になった、
 漫画史研究家の
 本間正幸様から…
 先祖がいっしょでは?
 というコメントをいただきました。
 世の中は狭いものです。
      ■         ■
 明治時代に、
 寒い蝦夷の地にやってきた人たちは、
 何か理由があって…
 自分のふるさとを離れたのだと思います。
 私の先祖も…
 悪いことはしていないと思いますが…
 理由があって…
 北海道へ来た
 …と思います。
      ■         ■
 そんな風土の北海道なのか…
 家柄とか…
 先祖がどうの… 
 …とかは気にしないようです。
 よく部落問題とか聞きますが…
 北海道に住む者にとっては…
 どうもピンときません。
      ■         ■
 札幌では、
 韓国出身の方も、
 北朝鮮出身の方も、
 米国籍の方も、
 アジア出身の方も、
 中南米出身の方も、
 仲良く暮らしています。
      ■         ■
 北海道大学には…
 たくさんの外国人留学生がいます。
 年に一度の北大祭では、
 各国の模擬店が並びます。
 北海道の人は…
 先祖とか家柄は気にしないようです。
 他から来ても住みやすいと思います。

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院長の休日

本間家の言葉

 うちの奥さんは、
 関西の出身です。
 大阪生まれで…
 高校は神戸です。
 結婚した時は、
 兵庫県西宮市(にしのみや)に住んでいました。
      ■         ■
 北海道へ来て30年です。
 20歳で就職した時に、
 徹底的に関西弁を直されたそうです。
 家内の同期の友人から…
 その厳しい訓練を聞きました。
 通勤途中で…
 先輩に会っても緊張したそうです。
      ■         ■
 訓練の成果があって、
 とても上手に標準語を話します。
 電話応対も上手だと思います。
 でも…
 家では関西弁が出ます。
 ○○やったから~
 ○○だったから~
      ■         ■
 ○○してはる。
 ○○していらっしゃる。
 きれいかった。
 きれいだった。
 このきれいかっただけは…
 他で聞いたことがないので…
 奥さんだけかも知れません。
      ■         ■
 子どもは、
 母親の言葉を聞いて覚えるので…
 北海道弁と関西弁が混じっています。
 幼稚園でも…
 小学校でも…
 いじめられたことはないようですが…
 北海道人の私が聞くと…
 妙な言い回しがあります。
 いろいろな言葉があっていいと思います。
 私は関西の言葉が好きです。

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未分類

寒っ

 平成23年9月16日、朝日新聞朝刊の記事です。
 「寒っ」など語幹のみの形容詞や、「来れる」などのらぬき言葉。よく耳にするこれらの言葉が、実際に広く使われていることが、文化庁が9月15日に発表した2010年度の国語に関する世論調査で裏付けられた。恒例の誤りやすい言葉の調査項目では、「雨模様」、「姑息(こそく)」、「号泣する」の誤用が、本来の意味での使用を上回った。
 文化庁が、国語施策の参考にするため、2月に全国で16歳以上の2104人に面接調査した。
 今回初めての調査となった形容詞の語幹のみの表現。「寒っ」については、「自分も使う」もしくは「自分は使わないが、他人が言うのは気にならない」が合わせて85%で、以下「すごっ」「短っ」「長っ」「うるさっ」も65%以上だった。
 同庁国語課によると、「寒っ」は、19世紀の滑稽本で使用が確認されているが、そのほかの言葉については、ここ数年急速に広がりを見せているという。「テレビを通じてこうした使い方を耳にしている人が多く、抵抗感はなくなっているのではないか」と分析している。語幹のみの形容詞の用法は、文法的には、間違っていないという。
 5年ごとに定期調査をしているらぬき言葉の使用は、「来れます」が前回調査から7.8ポイント増の43.2%、「食べれない」は、同じく8.6ポイント増の35.2%に伸びた。一方、「考えれない」は、2.4ポイント増の8.1%。今回新たに調査した「見れた」は47.2%、「出れる」は44.0%の人が使っていた。
      ■         ■
 寒い北国に住む者の実感としては、
 寒っは、
 さむと短く発音し、
 同時に背中がぞくぞくする感じです。
 朝、初雪が降っていた時、
 暖房のない部屋に入った時、
 ぞくぞくっとして、
 寒っと思います。
      ■         ■
 寒いとは…
 ちょっと違った感じで使います。
 同じように…
 『痛い』も、
 『いたい』と
 『痛っ!』では、
 ちょっと感覚が違います。
      ■         ■
 ぬき言葉は北海道では標準語です。
 来れます43.2%、
 食べれない35.2%、
 考えれない8.1%、
 見れた47.2%、
 出れる44.0%、
 と書かれていますが北海道ではほぼ100%だと思います。
      ■         ■
 ただ…
 札幌美容形成外科では、
 一週間後に来られますか?は×
 一週間後に来れますか?も×
 正解は、
 一週間後にいらしていただけますか?
 一週間後はいかがですか?
 日本語は難しいです。

(以上、朝日新聞より引用)

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医学講座

顔面神経麻痺の手術

 2011年9月7日放送の、
 ザ!世界仰天ニュースで放送された、
 英国の女性は…
 眉が下がって動きませんでした。
 その眉を…
 引き上げて固定する手術を受けました。
      ■         ■
 顔面神経は、
 顔の表情を作る筋肉(表情筋)に、
 収縮して…
 動きなさい…
 という指令を出すのが役割です。
      ■         ■
 フェイスリフト手術で、
 眉の横を通っている、
 側頭枝そくとうし
 通称:Temporal(テンポラール)
 という枝を切ってしまったので、
 眉を動かす筋肉や、
 額にシワを作る筋肉が動かなくなりました。
      ■         ■
 神経移植をして再建するのが難しい場合は、
 動かなくなってしまって…
 下がった眉を上に… 
 引き上げる手術をします。
 眉は動きませんが…
 眉が下がって閉じてしまった目を開き、
 ものが見えるようにするのが目的です。
      ■         ■
 顔面神経麻痺は、
 外傷で切れてしまった場合の他に、
 帯状疱疹ウイルス(ヘルペス)の感染でも起こります。
 ハント症候群とも呼ばれます。
 抗ウイルス薬のおかげで重症例は減りましたが…
 今でもウイルス感染による顔面神経麻痺はあります。
      ■         ■
 眉が下がって…
 ものが見えにくい状態でしたら、
 健康保険で手術が受けられます。
 眉の上に傷ができますが、
 次第に目立たなくなります。
 症例数は多くはありませんが、
 札幌美容形成外科でも一年に1~2例の手術があります。
      ■         ■
 ウイルス感染の前までは…
 それは美しい顔だった女性が、
 ある日突然、顔の半分が動かなくなると…
 この世の終わりと思うほどショックです。
 まったく元通りにはできませんが、
 形成外科の技術で少しでも元に近づけることができます。
 セカンドオピニオンをお願いした、
 朝戸裕貴先生(現、獨協医科大学形成外科教授)は、
 顔面神経麻痺手術の権威です。

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医学講座

顔面神経再建の思い出

 私は札幌医大形成外科の講師を、
 平成10年(1998年)から14年(2002年)までの4年間勤めました。
 最後は、
 医学部長から…
 泥足で蹴られて追い出されました
 仲間だと思っていた同僚にも…
 見事に裏切られました
      ■         ■
 残念な4年間でしたが…
 医師として貴重な経験もできた4年間でした。
 一番の想い出は、
 耳鼻科の先生とたくさんの再建手術ができたことです。
 英文論文にした…
 チンの皮で気管を作る
 …という手術もあります。
      ■         ■
 耳鼻科というと…
 耳、鼻、のどを診るお医者さんのイメージがあります。
 優しい先生が多く…
 額帯鏡(がくたいきょう)という…
 大きな丸い鏡をつけて、
 その真ん中から…
 耳や鼻やのどを診てくれるイメージです。
 今は高性能のカメラで見てくださるクリニックもあります。
      ■         ■
 耳は、
 頭蓋骨とつながっています。
 耳鼻科医は脳の一部も診たり、
 頭蓋骨の中も手術をします。
 私が頼まれたのは…
 頭蓋内の顔面神経が…
 腫瘍に巻き込まれていて…
 切除しなければならないので…
 そこに神経移植をしてほしいという内容でした。
      ■         ■
 患者さんは…
 まだ若い女性でした。
 顔面神経の根っこを…
 数センチ切断してしまう手術です。
 手術前には正常だった顔が、
 手術後には片側がまったく動かなくなります。
 神経を切断しなければ…
 腫瘍は切除できません。
 待ったなしです。
      ■         ■
 神経移植はそれまでにも経験がありましたが、
 頭蓋内の移植ははじめてでした。
 神経をつなぐ技術には自信がありましたが…
 果たして正常に機能するか?わかりません。
 患者さんへの説明は、
 切断された神経の断端に、
 他の神経を移植します。
 数ヶ月~1年で回復する見込みです。
 …という内容でした。
      ■         ■
 手術は無事に終わりました。
 頭蓋内への移植ははじめてでしたが…
 神経そのものは正確につなげました。
 他の神経を橋渡ししました。
 問題は、
 その神経を移植した場所です。
 骨の真上でした。
 血流の悪い場所でした。
 皮膚や粘膜だったら移植しても着きません。
      ■         ■
 術後2ヵ月しても…
 麻痺した側の顔の表情は…
 まったく動きませんでした。
 先生、ほんとうに動くようになるのですか…?
 もし動かないなら…
 早めに他の方法で治した方がいい…
 …と言う先生もいらっしゃるようです
      ■         ■
 患者さんの不安はもっともです。
 当時、東大病院形成外科では…
 顔面神経麻痺の再建を盛んになさっていました。
 患者さんのご希望で…
 当時、東大形成外科で助教授をなさっていらした、
 朝戸裕貴先生(現、獨協医科大学形成外科教授)にお願いして、
 セカンドオピニオンをいただきました。
      ■         ■
 私が紹介状を書いて…
 患者さんは東大病院まで行かれました。
 朝戸先生のセカンドオピニオンは、
 今すぐに再手術をしないで、
 もう少し神経の回復を待ってみましょうでした。
 私も患者さんも安心して待つことにしました。
      ■         ■
 東大から帰って数ヶ月後でした…
 ♡先生うごいてきました♡
 患者さんの麻痺した顔面が…
 わずかに動き出しました。
 少しずつですが…
 麻痺していた顔面が動くようになりました。
 手術後一年もすると、
 日常生活で不自由することはなくなりました。
 神経移植は回復まで時間がかかります。
 患者さんも医師も…
 じっと待つ長い時間が必要です。

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医学講座

フェイスリフト手術と顔面神経麻痺⑤

 昨日の院長日記へ、
 ゆきだるまさんからコメントをいただきました。
 神経を焼いてしまうと… 
 顕微鏡でつないでも戻りません。
 …という事は、
 形成外科医の先生は神経再建や神経移植が出来るので
 他から神経を移植して再建出来ると言うことなんですよね。
 すみません、文章の読解力がなくて・・(>_<)
 それとも電気メスの強いパワーで神経を焼いてしまった場合は、
 神経移植も何も出来ないと言うことなのでしょうか?
      ■         ■
 表現が不正確で…
 申し訳ございません。
 神経を焼いてしまっても…
 理論的には…
 神経移植は可能です。
      ■         ■
 焼かれてしまった断端を…
 健康な神経のところまで切除して、
 他から神経を移植すれば…
 理論的には
 顔面神経が再建できます。
      ■         ■
 理論的にはと書いたのは、
 実際にフェイスリフト手術で顔面神経麻痺になり、
 その後に神経移植をして、
 麻痺が治った例は…
 私は見たことがありません。
 論文を検索してみましたが…
 それらしき報告はありません。
 (ひょっとすると検索不十分なだけかも知れませんが…)
      ■         ■
 なぜ理論的に可能なのに…
 報告例がないか?
 それは…
 100%神経が回復しますと…
 保証するのが…
 難しいからです。
      ■         ■
 神経移植をするためには、
 焼かれた神経の断端を…
 見つけなければなりません。
 眉の横から、
 目尻~頬にかけて…
 新たに傷をつくならければ…
 神経を見つけるのは困難です。
      ■         ■
 美容目的の手術を受けたのに…
 新しい傷を作るのに抵抗があります。
 その傷から…
 フェイスリフト手術後の…
 血だらけの術野から…
 神経の断端を見つけるのが難しいです。
 かなり根性が要ります。
      ■         ■
 顔面神経本幹と呼ばれる… 
 太い神経を見つけることはできますが…
 その枝で…
 眉の方へ向かっている細い神経を見つるだけで…
 かなりの時間がかかります。
 見つけられないことも考えられます。
      ■         ■
 幸いに、
 焼かれた神経を見つけることができて…
 眉側の神経断端も見つかったとして…
 神経移植をします。
 神経移植の長さにもよりますが、
 神経が回復するまで数ヶ月~1年はかかります。
      ■         ■
 よほど再建手術の腕がよくて…
 若くて元気な先生でも、
 他人の失敗の…
 尻拭いが好きな医師はいません。
 安請け合いをして…
 神経は100%回復します
 …なんて言って回復しなかったら、
 自分が訴えられる可能性もあります。
 これが現実だと思います。
 私なら尻ごみします。

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医学講座

フェイスリフト手術と顔面神経麻痺④

 昨日の院長日記で登場した、
 架空の有名美容外科のように…
 先輩がついて…
 指導するのは…
 まだましな美容外科です。
 ビデオを見ただけで…
 一人ではじめて手術をする先生もいます。
      ■         ■
 顔面神経麻痺になった原因は、
 電気メス止血をする時に、
 神経を焼いてしまったためです。
 強いパワーで…
 神経を焼いてしまうと…
 顕微鏡でつないでも戻りません。
      ■         ■
 私たち形成外科医は、
 神経再建もします。
 神経移植もします。
 聴神経腫瘍や、 
 耳下腺腫瘍で…
 顔面神経を切断しなくてはならない時には…
 他から神経を移植して再建します。
      ■         ■
 最近のフェイスリフト手術は、
 より効果を出すために…
 目や…
 口の近くまで…
 広範囲に剥離して…
 しっかり引き上げる傾向にあります。
 それでも法令線と呼ばれる…
 鼻唇溝のしわは残ります。
      ■         ■
 耳のすぐ前では…
 耳珠の奥深くにあった顔面神経は、
 耳下腺の前縁(まえの方)から…
 浅い層に出てきます。
 (位置的には頬骨の下のあたりです)
 耳の前を切る…
 フェイスリフト手術では…
 一番奥の見えにくい場所に神経が出てきます。
      ■         ■
 神経には…
 栄養血管があります。
 不用意に神経の近くを剥離すると…
 神経にくっついている血管から出血します。
 慎重に見て止血しないと、
 電気メスで止血する時に…
 神経もいっしょに焼いてしまいます。
 これが英国の神経麻痺の原因だと思います。
      ■         ■
 慣れた先生でも、
 顔面神経の近くは慎重に操作します。
 私たちが見ると…
 神経と他の組織は区別できますが、
 経験の浅い医師が見ても…
 神経だか、
 靭帯だか、
 何だかわからないことはよくあります。
      ■         ■
 大手美容外科の中には…
 顔面神経麻痺や…
 術後血腫を避けるために…
 耳の前をまっすぐに切るだけで…
 それ以上の処置はしてはいけないという、
 社内規定を設けているところがありました。
 業界では…
 まっすぐ縫いと呼ばれていました。
      ■         ■
 耳の前に、
 直線の傷が残っている人は、
 このまっすぐ縫いです。
 せっかく手術を受けたのに…
 効果が出ていません。
 当院でやり直しをした方もいらっしゃいます。
 フェイスリフト手術のように…
 高度の技術を要する手術は、
 慎重に先生とクリニックを選んでください。
 世界中どこにでもびっくり仰天先生はいます。 

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医学講座

フェイスリフト手術と顔面神経麻痺③

 なんちゃって美容外科医の…
 若い先生が勤務する、
 ○○美容外科
 全国チェーンの有名美容外科です。
 TVでCMもしています。
 女優さんも施術していると…
 宣伝しています。
      ■         ■
 経験豊富な医師が手術すると書いてあります。
 料金も…
 そんなに高くありません。
 チェーン店のフェイスリフト手術、
 腫れが少ないので…
 翌日から仕事可能と書いてあります。
 魅力的な言葉が満載です。
      ■         ■
 料金から逆算した、
 手術の制限時間。
 私は多くて2時間半と積算しました。
 チェーン店では、
 一日の売上目標があります。
 TVのCMは高価です。
 高いCM代…
 スタッフの人件費、
 医師の報酬、
 赤字で手術はできません。
      ■         ■
 若いなんちゃって美容外科医は、
 美容外科3年目の…
 経験豊富な医師といっしょに…
 はじめてのフェイスリフト手術です。
 前の晩に…
 先輩にメールで送ってもらった、
 画質の悪いビデオを予習しました。
      ■         ■
 患者さんは60代の女性、
 心房細動と高血圧があります。
 血液をさらさらにする薬も飲んでいます。
 手術日の朝は…
 血圧の薬を飲まなかったので…
 血圧は上が210、下が120でした…
 血圧を測定した看護師さんも…
 ちょっと高い位にしか思っていません。
      ■         ■
 卒後5年目で美容外科3年目の…
 経験豊富な医師が…
 手術を開始しました。
 なんちゃって美容外科医は…
 おそるおそる見ています。
 ビデオで見たのとは違い…
 血がたくさん出ています
 2人の医師はまだ異常だとは思っていません。
      ■         ■
 耳の前を切って…
 頬の方へ剥離(はくり)をしていきます。
 が出ているので…
 電気メスで止血です。
 なかなか止まらないので…
 先生はいらいらしてきます。
 電メスのパワー上げて!
 電気メスの出力を上げて止血です。
      ■         ■
 血が出ていると…
 ビデオで見たのとは違って…
 神経も血管もよくわかりません。
 学会で偉い先生が言っていた…
 なんちゃらリガメントなんて…
 まったくわかりません。
 そのうち制限時間迫ってきます。
 フェイスリフト手術の次には…
 脂肪吸引が待ってます。
      ■         ■
 こうして…
 血だらけの術野で…
 手術が行われました。
 制限時間になったので、
 美容外科3年目の経験豊富な医師は、
 脂肪吸引の手術をはじめました。
 残された…
 なんちゃって美容外科医は…
 一人で手術を続けます。
      ■         ■
 あとは…
 ここここを縫っておいて…
 …と経験豊富な医師に言われて…
 なんちゃって美容外科医が…
 一人で傷の縫合をします。
 その時…
 傷の奥から…
 また出血してきました。
      ■         ■
 経験豊富な医師は、
 別の脂肪吸引の手術をしています。
 電メス(でんめす)で止(と)めて
 先輩は他の手術をしているので、
 ちょっと見て指示だけくれました。
 奥からの出血を…
 電気メスで止血した時に…
 患者さんの眉がぴくぴく動きました。
      ■         ■
 なんちゃって美容外科医も、
 介助の看護師も…
 異常に気付きません。
 手術後に…
 患者さんの右眉が動きません。
 誰も異常だとは思いません。
 包帯でぐるぐる巻きになっているので…
 患者さん自身も気づいていません。
 続きはまた明日です。
 今日の有名美容外科のお話しは架空の設定です

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医学講座

フェイスリフト手術と顔面神経麻痺②

 フェイスリフト手術は、
 美容外科手術の中では、
 難易度が高い手術です。
 なんちゃって美容外科医には、
 難しい手術です。
 俺って天才じゃん
 …と思っている先生は、
 手術ビデオを見ただけでチャレンジします。
      ■         ■
 有名な先生のフェイスリフト手術を…
 ビデオで見ることができます。
 販売している先生もいます。
 ビデオには、
 全部の手術が映っているのではありません。
 大切なポイントが抜けていることもあります。
 ビデオから…
 自分の技術が盗まれることもあります。
 わざとポイントを映さない先生もいます。
      ■         ■
 フェイスリフト手術で…
 一番大切で…
 一番大変なのが…
 止血です。
 この手術は血が出ます
 患者さんが緊張していて…
 血圧が上がっていると…
 余計に血が出ます。
      ■         ■
 ベテランの先生は…
 患者さんの緊張を取り除き…
 血圧を安定させるところからはじめます。
 止血は、
 通常、電気メスという…
 電気を使った器械で行います。
 この電気がくせものです。
      ■         ■
 フェイスリフト手術は、
 耳のすぐ前を切ります。
 通常、ここを切っても…
 よほど深く切り過ぎない限りは、
 顔面神経を切ることはありません。
 もちろん…
 切ると血が出ますので…
 電気メスで止血をします。
 ここの止血で問題になることはまずありません。
      ■         ■
 顔面神経は、
 耳の穴の前、
 耳珠(トラグス)の下あたりから出てきます。
 耳下腺の中で…
 1.側頭枝そくとうし
 通称:Temporal(テンポラール
 2.頬骨枝きょうこつし
 通称:Zygomatic(ザイゴマティック
 3.頬筋枝きょうきんし
 通称:Buccal(バッカール
 4.下顎縁枝かがくえんし
 通称:Marginal mandibular(マージナルマンディブラール
 5.頚枝けいし
 通称:R.colli (ここだけはラテン語のコーリーと呼びます)
 の5本に分かれます。
      ■         ■
 なんちゃって美容外科医でも、
 この位の知識はあります。
 看護師さんでも知っている知識です。
 英国の患者さんが麻痺を起こしたのは、
 この5本のうち…
 側頭枝そくとうしの一部だけです。
 他の枝は大丈夫でした。
 なぜ側頭枝の一部だけ麻痺したのか?
 その理由は次回以降に書きます。

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医学講座

フェイスリフト手術と顔面神経麻痺①

 2011年9月7日放送の、
 ザ!世界仰天ニュースで、
 フェイスリフト手術を受けた、
 48歳の英国女性が、
 手術後に右眉が下がってしまった。
 …という悲惨な例が紹介されていました。
 家内が見ていました。
 ゆきだるまさん
 らずべりーさんからコメントをいただきました。
      ■         ■
 私の正直な感想は、
 別に珍しいことではないょ…
 日本でもあるし…
 大きな病院でしても…
 麻痺になった人はいるょ…
 …でした。
      ■         ■
 フェイスリフト手術で、
 顔面神経麻痺なる確率はわかりませんが、
 起こりうるトラブルです。
 形成外科や美容外科の教科書には、
 必ず書いてあります。
 フェイスリフト手術以外でも、
 耳下腺腫瘍(じかせんしゅよう)の手術や、
 聴神経腫瘍(ちょうしんけいしゅよう)の手術でも起こります。
      ■         ■
 耳下腺腫瘍や聴神経腫瘍の場合は、
 腫瘍が神経を巻き込んでいることもあります。
 腫瘍を摘出するために…
 神経を切断しなくてはならないこともあります。
 耳下腺腫瘍の症状として…
 顔面神経麻痺が出ることもあります。
      ■         ■
 フェイスリフト手術は…
 耳の前を切る手術です。
 顔面神経は…
 耳下腺浅葉(じかせんせんよう)の下にあります。
 通常…
 フェイスリフト手術では…
 顔面神経麻痺にはなりません。
      ■         ■
 なんちゃって美容外科医は、
 顔面神経なんて見たこともありません。
 学生時代は解剖実習をさぼっていました。
 …そんな人が…
 先輩から教わったり…
 ひどい人は…
 一回ビデオで見ただけなのに…
 ぼくはフェイスリフト手術を数百例もしています…
 …なんちゃって…
 嘘をついて手術をします
      ■         ■
 形成外科専門医でも…
 顔面神経が得意な人は少ないです。
 一番よく顔面神経を見るのは、
 耳下腺腫瘍をたくさんしている耳鼻科医?
 聴神経腫瘍もしている、
 頭頚部外科(とうけいぶげか)を得意とする耳鼻科医?…
 …ではないかと思います。
      ■         ■
 私は幸いなことに
 耳鼻科医とたくさん手術をしました。
 顔面神経再建もしましたし、
 交通事故で神経が切れた人も治しました。
 事故で、
 眉の外側(眉毛外側びもうがいそく)が、
 深く切れた人は要注意です。
 そこに眉を動かす神経があります。
      ■         ■
 形成外科の教授でも、
 慣れた人でなければ、
 眉の横から神経を見つけるのは大変です。
 一度見つけると…
 場所とコツがわかりますが…
 見たことがないと難しいです。
 事故で神経が切れた人は…
 顕微鏡でちょいとつなぐと回復します。
 ところが…
 フェイスリフト手術の後は難しいです。
 その理由は次回以降に書きます。

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