医療問題

入退院の管理

 JALやANAが赤字になりました。
 不況によるビジネス客の減少、
 新型インフルエンザによる旅行の減少などで、
 搭乗率が下がり利益が低下したのが、
 原因の一つと言われています。
 特にJALの再建は大変なようです。
 病院のベッドにも… 
 搭乗率があります。
 稼働率(かどうりつ)と言われます。
      ■         ■
 500床の病院は、
 450人の患者さんが入院していると、
 90%の稼働率となります。
 実際には、
 2人部屋を1人で使ったり、
 一日に入院できる人数に限度があるので、
 ベッドが100%埋まることは…
 なかなかありません。
 航空会社は搭乗率を、
 病院は稼働率を上げることが、
 健全経営への第一歩です。
      ■         ■
 入院希望の患者さんを、 
 単純に入院させれば…
 稼働率が上がるかというと…
 そう簡単ではありません。
 病院は大部分が相部屋です。
 男性と女性を、
 同じ部屋には入院させられません。
 男女同室なのは…
 ICU(あいしーゆー)など特殊な部署だけです。
      ■         ■
 外科系の科は…
 手術日程との調整もあります。
 さくらんぼさんが、
 3回も電話で入院日を変更させられたのは、
 手術部との調整もあれば、
 手術予定だった患者さんが、
 急に手術ができなくなったりしたためです。
 私が医師になった30年前の…
 北大形成外科は…
 手術待ちが3年と言われていました。
      ■         ■
 北大病院の他に、
 札幌市内に形成外科はありませんでした。
 天使病院と愛育病院のベッドをお借りして…
 北大の先生が出張して手術をしていました。
 手術がキャンセルになった場合には、
 キャンセル待ちの患者さんに…
 電話で連絡をして…
 来週、手術ができることになりました。
 ご都合はいかがでしょうか?
 と連絡する担当の係がありました。
      ■         ■
 今では信じられないことですが、
 患者さんは病院からの電話を、
 ただひたすら待っていらっしゃいました。
 昔は、形成外科の稼働率は高く、
 病院の優等生でした。
 午前中に退院して、
 午後から入院するというパターンで、
 一つのベッドを2人で使うと、
 稼働率は2倍になります。
 形成外科では稼働率が…
 100%を超えることもありました。
      ■         ■
 入退院の管理は…
 直接、病院経営に響く大問題です。
 看護部長を副院長に昇格させて、
 経営陣に加えた病院では、
 効率的な病床運営ができて、
 病院が黒字になったという話しを…
 聞いたことがあります。
 医師だけの力ではなく、
 看護師さんや事務系の力もお借りしなくては、
 病院の健全経営はできなくなっています。

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昔の記憶

入退院板(ばん)の想い出

 私が北大形成外科の
 チーフレジデントをしていた、
 約25年前の想い出です。
 レジデントと呼ばれる研修医の最後が、
 チーフレジデントでした。
 病棟チーフという役割です。
 北大形成外科病棟の責任者をしました。
 病棟の入退院管理と
 入院患者さんの担当責任者です。
      ■         ■
 病棟チーフは
 入退院(にゅうたいいんばんという…
 B4程度の大きな紙を持っていました。
 この入退院板には…
 病棟の全患者さんの…
 入院予定日や、
 退院予定日が記入されていました。
 大至急入院が必要な患者さんは、
 病棟チーフへ伝えられ…
 入他院板に記入しました。
      ■         ■
 『板(ばん)にのせる』という言葉がありました。
 病室が空いたら、
 一番先に優先的に入院させることを指しました。
 悪性黒色腫などの癌患者さんで、
 大至急入院が必要なので、
 最優先で入院させてくださいという意味です。
 現、市立札幌病院病院長の吉田哲憲先生は、
 皮膚悪性腫瘍の権威です。
 北大時代には、
 吉田先生の患者さんがたくさんいらっしゃいました。
      ■         ■
 外来から病棟へ電話があります。
 本間先生、ごめんね。
 今、いい?
 メラノーマの○○さん、
 具合が悪くていらしるんだけど…
 (ばん)にのせてもらえる
 こんな感じで、穏やかな先生でした。
 病棟チーフは病棟婦長やリーダーと相談して、
 病室をやりくりして入院を決めました。
      ■         ■
 私の時代はすべてアナログで、
 入院申し込みも紙の複写でした。
 病棟チーフは、
 ボックスと呼ばれた、
 入院予定患者さんのカルテを入れた、
 プラスチックの箱と
 この入退院板を持ち歩いていました。
 スタッフの出張予定や…
 手術予定を見ながら…
 どの患者さんをいつ入院させて、
 いつ手術を組むかを決めるのは…
 なかなか大変な仕事でした。
      ■         ■
 私たちは、
 このチーフレジデントを6ヶ月間担当しました。
 その後に…
 形成外科認定医(今は専門医)を取得し、
 地方病院の形成外科医長として赴任しました。
 病棟チーフの間はアルバイトも制限され、
 収入も少なくなり大変でしたが、
 今から思うとよい想い出です。
 電子カルテの時代になって、
 入退院板があるかどうか…?
 私は知りませんが、
 PCにはできない…
 よいものがあったと懐かしく思います。

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院長の休日

グリム会2009

 昨夜、市立札幌病院グリム会がありました。
 市立札幌病院に在籍したことがあるOB医師と
 在籍中の医師の親睦会です。
 OB22名と
 現役の3名の先生、
 合計25名が参加しました。
 市立札幌病院は、
 今年で創立140年にもなる、
 伝統のある病院です。
 私も市立札幌病院で生まれました
      ■         ■
 昨夜、参加した先生の最高齢は86歳。
 80台の先生が何人かいらっしゃいました。
 最初に亡くなられた先生への黙祷がありました。
 その後に各先生の挨拶がありました。
 冗談とも取れないお言葉で、
 『私は昨年、大病をしまして…』
 『危うく…』
 『冒頭で黙祷される側になりそうでした…』と、
 現役時代には、元気いっぱいで、
 バリバリだった先生が気弱に話されました。
      ■         ■
 私がお世話になり、
 大変尊敬していた先生も、
 60台でお亡くなりになりました。
 医師は短命なのかも…?と思いました。
 病気になれば…
 医者も患者さんです
 病気のことをよく知っているだけ…
 自分に残された時間のこともわかります。
 胃癌と食道癌になり、
 お酒が飲めなくなったと…
 話された先生もいらっしゃいました。
      ■         ■
 全員に共通しているのは…
 市立札幌病院に勤務した時代の、
 医師として充実した
 楽しい想い出です。
 私に手術用顕微鏡を買ってくださった
 片岡元副院長にもお会いできました。
 片岡先生は腎臓内科がご専門です。
 まだお元気で、
 宮の森記念病院の会長をなさっていらっしゃいます。
      ■         ■
 現在、市立札幌病院の院長は、
 私の先輩である吉田哲憲(よしだてつのり)先生です。
 自治体病院の経営はどこも大変です。
 札幌市も例外ではありません。
 吉田先生は、
 北大時代にはヨーさんと呼ばれていました。
 とても気さくで優しい先生です。
 山形大学整形外科の荻野利彦先生と同期です。
 下の写真が昨夜の参加者です。
 55歳の私(後列左から2人目)ですら、
 若い方でした。
 全員がまた来年も元気で参加できるように…
 と語り合って会が終わりました。


2009年10月31日
札幌第一ホテルにて

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医療問題

医療とパソコン

 半年前から…
 札幌美容形成外科でも、
 電子カルテを導入しました。
 導入のきっかけとなったのは…
 カルテの保管場所です。
 法律でカルテには、
 5年間の保存が義務づけられています。
 カルテなどの診療記録は、
 医師としての貴重な財産です。
      ■         ■
 開院して5年が経過して、
 カルテの保管場所が少なくなってきました。
 嬉しいことですが、
 カルテは個人情報のかたまりです。
 24時間SECOMの監視カメラで、
 セキュリティーをチェックしています。
 個人情報保護保険にも入っています。
 それでも…
 カルテの管理と保管は大変です。
 信用にかかわる大問題です。
      ■         ■
 電子カルテの導入に当たっては…
 何社かの電子カルテを比較し、
 東京のショールームまで行って、
 現物を確認して慎重に選びました。
 最終的に選んだのは、
 札幌のアイレックスという会社の製品でした。
 私が選んだのは、
 製品自体の使い勝手もそうですが、
 サポート体制でした。
      ■         ■
 どんな大病院で導入している電子カルテでも、
 完璧な製品はありません。
 紙カルテの方が優れている点は、
 たくさんあります。
 電子カルテにして、
 よかった点も
 不便になった点もあります。
 幸いなことに、
 私が選んだ会社は、
 困ったことがあっても、
 すぐにサポートしてくださいます。
      ■         ■
 私が若い頃の大学病院では、
 処方箋や検査伝票の記載は、
 すべて(新人)医師がしていました。
 こうして先輩の仕事を見て覚えました。
 地方病院へ行くと、
 医師は指示簿に記入するだけで、
 検査伝票へは看護婦さんがしてくれました。
 名前を記入することや、
 項目をチェックするのも、
 看護婦さんがしてくれました。
      ■         ■
 昔は…
 指示簿や検査伝票を通じて、
 医師⇔看護師の、
 コミュニケーションがありました。
 汚い字で書いても、
 何とか判読してくれました。
 看護記録も手書きだと、
 誰の字か?
 すぐにわかりました。
 キレイな字で丁寧に書かれていると…
 その人の性格までわかるようでした。
 疲れているのに…
 一生懸命書いたのもわかりました。
      ■         ■
 私は医療分野にPCが導入されるのは、
 時代の流れとして当然で、
 避けては通れないものだと思います。
 電子カルテへの入力が、
 PC画面ではなく、
 携帯端末のようなものから、
 簡単に入力ができて、
 同時に医師⇔看護師が、
 チャットのようにできる電子カルテがあれば、
 ずいぶん使いやすくなると思います。

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医療問題

看護師さんの仕事と記録

 医療というのはチームプレーです。
 医師だけではできません。
 看護師さんは、
 よりよい医療を提供するために、
 なくてはならない大切なパートナーです。
 私は細かくて厳しい医師なので、
 形成外科部長をしていた頃には、
 看護婦さんから嫌われていたかも…?です。
      ■         ■
 最近の看護師さんは疲れています。
 函館の看護師さんが書かれていたように…
 大きな病院ほど、
 記録が多く、
 病室へ行って…
 患者さんのお話しを聞き…
 患者さんのお世話をする時間よりも…
 PCに入力したり、
 書き物をする時間が長いように…
 思うことがありました。
      ■         ■
 病院にPCが導入されて、
 オーダリングシステムや
 (処方や検査の指示を直接PCへ入力)
 電子カルテになってから…
 医師も患者の方を向かないで、
 パソコンの画面ばかり見ていると言われます。
 指示を間違えたり、
 入力ミスがあると大変なので、
 ついつい画面に目が行きます。
 2009年1月2日の日記、
 セカンドオピニオンにも書いてありますが、
 手術を決めるのも、
 PCに入力しなければできません。
      ■         ■
 私が医師になった30年前は、
 検査の指示も、
 お薬の処方も、
 すべて手書きでした。
 医療事務のプロは、
 先生がカルテに書いた
 ミミズが這ったような
 瞬時に判断しなければなりませんでした。
 大学病院で新人医師の仕事は、
 上の先生について、
 先生が言われたことをカルテに記載する、
 ベシュライバーbeschreiberという係りでした。
      ■         ■
 30年前から、
 大学病院の病棟勤務の看護婦さんは、
 記録が大変そうでした。
 医師のカルテより、
 よほど詳しく書かれていました。
 新人ナースが、
 夜10時頃まで、
 サービス残業で看護記録を書いていました。
 残念なことに…
 医師のカルテと看護記録が別だったために、
 私たちが看護記録を見ることは、
 めったにありませんでした。
      ■         ■
 看護師さんの仕事は3交代で、
 複数の人が担当します。
 記録を正確に残さないと、
 一貫した看護ができないことはわかります。
 医師の立場から見ると…
 この記録が重荷になって、
 本来、患者さんの傍に行って…
 お話しを聞いたり、
 お世話をしたりする時間が、
 少なくなっているように思ったことがありました。
      ■         ■
 アナログ時代の地方病院では、
 検査データーは看護婦さんが
 カルテに、
 紙を貼ってくれていました。
 私よりも検査結果をよく覚えている…
 優秀な看護婦さんもいらっしゃいました。
 先生、はい、今日の検査結果です。
 まだデーターが悪いですね。
 こんな会話が成立したのも、
 紙の時代の良さなのかも…?です。
      ■         ■
 今、大病院では、
 PC画面でリアルタイムに検査結果がわかります。
 プリントして患者さんに差し上げることもできます。
 看護師さんが入力した看護記録も、
 医師が外来や医局で見れると思います。
 私は、
 偉そうなことを言える立場ではありません。
 医療というのは、
 患者さんの傍へ行くことが大切で、
 記録がもっと簡単に入力できるようになると、
 患者さんの満足度も高くなると思います。

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医学講座

看護の極意

 昨日らずべりーさんからいただいたコメントです。
私が注意している事、心がけている事、対処の方法の例です。その中でいくつか書かせて頂きます。
五感を使い、非言語的なサインに気づく
病室を退出する時、特に転倒しそうな方はスリッパや靴を次回降りやすいよう向き変えて揃えておく、障害物がないかも見ておく(夜急いでトイレに行く時に転倒される時がある)
 スリッパで足元が危ない場合は、滑らないシューズに変更出来ないかご本人やご家族に相談をしてみる。
頻尿の場合で転倒の危険がある場合は、トイレの近くの病室やトイレ付きの部屋を検討してみる。トイレまで間に合わないや歩行はいまいち厳しい時は、ポータブルトイレや尿器をどうかとお聞きしてみる。
 点滴が500ml×3本(24時間継続の指示ではない場合)の指示の場合、いつもより3時間早く(朝6時、7時~)スタートする事で消灯前に終わらせる事ができ、夜トイレに行く回数が減り、眠れるようになる事もあるので患者さんと相談してみる。
眠れないと訴えがあった時、原因をアセスメントしてその方にあった解決策を一緒に考えて対応を心がけています。第一選択は薬ではなくちょっとした配慮で入眠できる事があります。
 眠れない理由の一例として:{①腰が痛くて眠れない、②寒くて眠れない、③隣の人のいびきがうるさくて眠れない、④昼間寝ていたから眠れない ⑤ずっと眠れない
①の対応としては、整形的な疾患による腰の痛みかベッドのマットが硬くて眠れないのかお聞きします。医師の指示書に湿布や鎮痛剤の指示が記載してあり、ご本人がご希望の場合はそのように対応します。マットが硬くて辛い場合は中敷き布団を敷いたり工夫をしたりします。褥瘡が出来る恐れがあったりする方はエアーマットを入れるよう検討したりします。
②の場合は、熱がないか体温値を確認、室温を少し上げてみる、加湿。足を触って冷たいようであれば湯たんぽ(袋2重に)を足元に入れてお休みになると眠れるかもしれません。いかがですか?とお聞きしてみる。
③空いている部屋があれば一時的に移動して頂き、入眠出来る環境を整える。次の日、その病室に予約が入っている場合もあるのでその事も確認して伝えておく。上に報告しベッドコントロールを検討して頂く。
いびきをかく隣の患者さんですが、起こして注意するべきか悩むところですが、無意識なので罪はないので、その日の夜は無呼吸がないか観察して見守りとし注意しなかった事があります。結果、無呼吸が何秒かあり、朝、いびきがあったうるさかったとは言わず、無呼吸があった事の方が問題であると感じ、無呼吸があったんですとご本人と医師にお伝えし、後日、検査しましょうとなり、睡眠時無呼吸症候群でしたが、軽症だったように記憶してます。
教えてくれてありがとうと言ってくれましたが、大事なくて良かったと思った事でした。
④の方は昼間なるべく起きておくと夜眠れるようになります。中庭に花が咲いていますが気分転換になりますしどうですか?とお聞きしてみたりします。
⑤ずっと眠れない方は、原因が様々であったりします。精神的なものか、眠剤に対する耐性もあって効きが悪いのかアセスメントをして、まずは薬を追加しないで済むようにしてみても追加しない辛い場合は医師の指示書又は指示がこれ以上ない時は、医師に確認して眠剤をお渡しする事があります。
この対応が正しいのか間違ってるのか、迷う事もあります。個別性によって違うにかなっと思います。
 いびきをかいてる人を起こして注意する方もいます。無呼吸の秒数が長い場合は、声かけするかもしれませんが、いびきがうるさいと患者様から言われて、夜中にその方を起こすのは躊躇(ちゅうちょ)してしまいます。トイレに起きられた際で無呼吸の事はお知らせしてもいびきの注意は出来ないです。
      ■         ■
 私はこのコメントを読んだ時に、
 自分が患者だったら…
 こんな看護師さんがいる病院に入院したい…
 と思いました。
 私は大きな病院で、
 30年近く看護師さんと仕事をしてきました。
 正直なところ、
 看護師さん(看護婦さん)と衝突したことも…
 何度もありました。
      ■         ■
 お恥ずかしい話しですが、
 病棟で指示を出す時に、
 看護師さんがここまで考えて、
 患者さんのケアーをしてくださっているとは…
 考えたことがありませんでした。
 申し訳ございませんでした。
 朝の申し送りで…
 先生、○○さんが眠れないそうです。
 眠剤(みんざい)出していただけますか…?
      ■         ■
 はい、不眠時、○○シオン0.125mg
 最初は1/2錠でいいかな…?
 指示簿に書いておくね
 いびきがうるさくて眠れないと聞いたこともありましたが、
 いつも病室は満床でした。
 部屋移動はできませんでした。
 病室を決めるのは病棟婦長(師長)で、
 医師はよほどのことがなければ、
 婦長に一任していました。
      ■         ■
 きっとらずべりーさんの病院では、
 先生も看護師さんも、
 とても穏やかに…
 仕事をなさっているように思いました。
 私の勤務医時代は…
 今よりずっと忙しく、
 あまり細かいところまで
 気配りができませんでした。
 らずべりーさんが書いていただいた
 看護の極意は、
 医学部の学生さんに、
 是非知っていただきたいと思いました。

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医学講座

プロからのコメント

 昨日の院長日記、
 頑張っている人からのエール
 らずべりーさんからコメントをいただきました。
 プロレスの番組があると言われた時、『何時頃あるんですか?何チャンネルであるんですか?』という会話があればなって思いました。
 首から下が動かない方は、テレビのチャンネルを押せないのだからその時間にチャンネルを変えに行くのは自分だと思わないといけなかったと思いますね。ナースコールも恐らく手で押すタイプの物ではなく何らか工夫されて顔の一部を使って押されていたのかなっと推測しました。
 忙しい看護師さんを見てなるべく迷惑をかけたくないとの思いの方もいらっしゃるかもしれません。
 『気を研ぎ澄ます、気を配る』というのは、簡単なようで難しい事なのかもしれません。 特に身体が不自由な方、病状や意識がいまいちで巡視を増やして患者様のサインを見て、聞いたりしながら、組みとらないといけない。
 首から下が動かない方の場合、褥瘡に注意が必要です。新たに作らないようにしないといけないです。
 体の向きの変更や除圧、浴衣などシワ大丈夫かなとか水分摂取や位置、排泄の有無、ナースコールの位置など他に不自由は無いか確認して退出したいところですね。
 新聞に掲載された看護師さんは最後に気づいてらっしゃっています。忙しいと心のゆとりが無くなる事は誰にでもあります。
 忙しいのはあっても、ほんの少しのスペースと気配りと心がけで違うように感じました。
      ■         ■
 私は看護学の専門家ではありません。
 頚部損傷患者さんの看護学で、
 テレビのチャンネルについて、
 看護学校や看護学部の講義で教えるかどうか…?
 正直なところわかりません。
 医学部では、
 このようなとても大切なことは、
 残念ながら教えません。
      ■         ■
 医師国家試験にも出ませんし、
 看護師国家試験の問題にもないと思います。
 実際の現場で、
 先輩に教えられたり、
 患者さんに言われたりして、
 気付くのだと思います。
 私たち医療にたずさわる者は、
 常に患者さんの目線で
 ものを見る必要があります。
      ■         ■
 私が釧路労災病院形成外科で
 医長をしていた時のことです。
 新田一雄先生という大院長先生の
 足の手術を担当させていただきました。
 院長先生でも
 手術後には、
 ベッド上で…
 安静にしていただかなくてはなりませんでした。
      ■         ■
 朝、回診に伺うと…
 『いやぁ~』
 『ベッド上で安静というのが…』
 『こんなに大変だとは思わなかったよ』
 『部屋の電気を消そうと思っても…』
 『ドアのところにしかスイッチがない』
 『こんなことで看護婦さんも呼べないし…』
 『自分が入院するまで気付かなかった』
 と私に話してくださいました。
      ■         ■
 新田先生は私が尊敬する、
 大先生です。
 もう故人となられてしまいましたが、
 元北大第一外科助教授で、
 釧路労災病院を築かれた方です。
 そんな大先生でも、
 部屋の電気のスイッチに気付かなかったことを
 院長として恥ずかしいと話されていました。
      ■         ■
 医学生や看護学生さんには、
 教科書に書いていない…
 ちょっとした大切なことを、
 先輩や患者さんから、
 真摯(しんし)に学ぶ姿勢を、
 しっかりと身につけて欲しいと思います。
 残念なことですが、
 医師も看護師も
 国家試験をパスしただけでは、
 何もできないのです。
 毎日が勉強です。
 私も同じです。
 らずべりーさん、
 ありがとうございました♪

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院長の休日

頑張っている人からのエール

 平成21年10月26日(月)朝日新聞朝刊、
 ひとときへの投稿です。
 頑張っている人からのエール
 出産して約3年。子どもの世話の繰り返しに耐えられず、約2ヵ月前に、看護師の仕事に復帰した。
 久しぶりの仕事は、かなり疲れた。さらに、帰宅後には、家事や育児もある。ついつい「やはり無理か」と弱気にもなった。
 そんな時、職腸で、ある病室へ入ると、「いつも頑張っているね」と患者さんに声をかけられた。思うように仕事がはかどらず、慌ただしく動き回る姿がそう見えたのだろうか。
 私は「いえ、まだまだです」と答えた。
 その患者さんは、毎日、テレビを見て過ごしている。「今夜は、何か面白い番組がありますか」と尋ねてみた。すると「プロレスがあるんだよ」とうれしそうに話してくれた。「楽しみですね」と応じて部屋を出た。
 翌日、同じ病室へ行ったので、明るく「プロレスどうでしたか?」と聞いた。患者さんは「見なかったよ。だって、自分でチャンネル変えられないもの。ずっとニュース見ちやった」とごく普通に言った。
 言葉に詰まった。彼は首から下が動かない。不覚にも涙が出そうになった。これまで、どんなに我慢を強いられてきたことか。
 毎日、頑張っているのは彼の方だった。
 私も、もっともっとお役に立てるように、頑張っていきたいと思った。
 (東京都東大和市 内山清美 看護師 39歳)
      ■         ■
 私もよく患者さんから元気をいただきます。
 形成外科医をしていた頃は、
 首から下が動かない方を
 担当させていただいたこともありました。
 何もできない新米医師でも、
 毎日、私の回診を待っていてくださいました。
      ■         ■
 ある日、突然の事故で
 首から下が動かなくなることがあります。
 若い方でも年配の方でも、
 今まで自然にできていたことが…
 突然できなくなることがあります。
 本人も家族もパニックになります。
 動かない部位に、
 褥瘡(じょくそう)という
 キズができることもあります。
      ■         ■
 私たち形成外科医は、
 この褥瘡の治療を担当しました。
 何度も褥瘡の再発を繰り返すこともあります。
 排尿や排便も、
 思うようにできなくなります。
 看護師さんや、
 リハビリの先生と協力して、
 治療に当たりました。
      ■         ■
 中には自暴自棄になって、
 俺なんて生きていても仕方がない…
 なんて言っていらした方も
 いらっしゃいました。
 自分だったら…
 どうだろうか?
 おそらく自分でも、
 自暴自棄になるかも…?
 と思いました。
      ■         ■
 少しずつ、
 自分でできることを見つけて、
 毎日リハビリに励む患者さんは、
 私たちに元気をくださいます。
 小さなことでも、
 少しでも何かできるように…
 がんばっている人
 は美しく見えました。
 そんな時代を想い出しました。

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医学講座

脂肪吸引の失敗

 他院で脂肪吸引に失敗しました。
 脂肪注入はいつから受けられますか?
 というご質問をいくつかいただきました。
 日本全国の
 いろいろなところから…
 切羽詰ったメールが届きます。
 お悩みは切実で、
 助けてくださいという
 悲鳴が聞こえてきます。
      ■         ■
 脂肪吸引にはさまざまなトラブルがあります。
 2007年5月15の日記に書いた、
 脂肪吸引のトラブルという日記をご覧ください。
 この女性は、
 脂肪吸引による感染症でした。
 危うく命を落とすところでした。
 美容外科医の間では、
 脂肪吸引よって亡くなった患者さんが、
 日本でも何人もいるのは、
 周知の事実です。
      ■         ■
 簡単に細くなれる…
 と思って手術を受けると、
 とんでもない結果になることがあります。
 脂肪吸引で失敗したから、
 凹んだところへ脂肪注入をすれば…
 元に戻せると考えるのは誤りです。
 脂肪吸引を受けた部位には、
 皮膚の下や…
 脂肪層に…
 瘢痕(はんこん)という…
 線維性の組織ができています。
      ■         ■
 この瘢痕(はんこん)が、
 ガッチリとしたクモの巣のように、
 皮膚の下にできています。
 そのために…
 凹んだところへ脂肪注入をしても、
 元のようには膨らみません。
 自動車をぶつけた時に、
 凹んだところを、
 裏側からたたき出しても、
 キレイに膨らまないのと同じです。
      ■         ■
 凹んだところを治す治療法としては、
 まず、瘢痕(はんこん)を柔らかくすることです。
 瘢痕(はんこん)は、
 時間とともに少しずつ柔らかくなりますが、
 早く柔らかくする薬があります。
 硬いところを、
 指で優しくマッサージするのも、
 柔らかくするよい方法の一つです。
 私でしたら、
 最低でも6ヶ月は柔らかくする治療をします。
      ■         ■
 瘢痕(はんこん)が柔らかくなったところで、
 どのような治療をするか…?
 とても難しいところです。
 一般的なことですが…
 脂肪注入をしても…
 元通りには膨らみません。
 頭を悩ませるところです。
 2009年9月の日本美容外科学会でも、
 知り合いの先生が、
 お腹全面に凹凸ができた患者さんの治療法を、
 いろいろな先生に聞いていらっしゃいました。
      ■         ■
 他院の修正を数多く手がけた先生でも、
 う~ん…困った!
 という状況でした。
 大量に脂肪吸引を受けて、
 失敗した患者さんの治療は、
 形成外科専門医でも、
 神の手の美容外科医でも、
 大変難しいものです。
 私がおすすめする、
 脂肪吸引が上手な先生は、
 こちらの先生です。
 脂肪吸引は信頼できる、
 上手な先生に受けてください。

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院長の休日

院長日記三周年

 2006年10月22日にはじめた院長日記が、
 三周年を過ぎました。
 この3年間でいろいろなことがありました。
 クリニックを医療法人にしました。
 個人経営と医療法人で、
 診療内容そのものは変わりません。
 医療法人になると…
 もし私に万一のことがあっても、
 診療の継続がやりやすくなります。
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 ビルの改築計画がありました。
 正直なところ…
 とても困っていました。
 クリニックの移転は大事業です。
 移転補償費をいただいても、
 莫大な税金がかかることもわかりました。
 ところが…
 昨年秋からの不景気で、
 改築計画がストップしました。
 何が幸いするかわかりません。
 弁護士の高橋智先生には、
 大変お世話になりました。
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 最初の院長日記には、
 私の形成外科に対する想いが書いてあります。
 2007年12月18日までは、
 PC版と携帯版が別々でした。
 新しいフォームになってから、
 入力がしやすくなり、
 アクセス数も増えました。
 HPを作ってくださった、
 オフィスクロスロードの須崎克之様
 感謝しています。
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 現在、この院長日記は、
 美容の杜
 アメブロにもUPしています。
 アメブロは、
 まだまだヒット数が少ないのですが、
 新しい読者の方が増えています。
 正直なところ…
 毎日の更新は辛いものがあります。
 すらすら書けないこともあります。
 少しでも私の形成外科に対する考えや、
 医療についての考えを残せれば…
 と思いながら毎日書いています。
 今日もつたない日記を読んでいただき
 ありがとうございました。


2009年10月25日
院長日記はクリニックで
毎朝書いています

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