昔の記憶
母親の葬儀③
危篤状態のまま母親は息をしていました。
バアちゃん、もうがんばらなくてもいいょ
早く天国に行きたいって言ってたでしょ?
私と弟と弟の子どもが見守る中で、
母親はやすらかに眠っていました。
このまま天国に行けたらいいのに、、、
誰もがそう思って見ていました。
■ ■
今日は天国に行けるかなぁ?
…という日がありましたが、
なかなか天国行の飛行機は離陸しません。
出発準備に時間がかかっていました。
滑走路まで出ているのに、
管制官の指示を待っているのか?
到着機を待っているのか?
じいちゃんがまだ来るなと言っているのか?
■ ■
とうとう弟が帰りの飛行機を予約した、
11月6日(月)になりました。
11月6日(月)午前9:30頃に容態が急変しました。
血圧測定不能、
酸素分圧測定不能、
下顎呼吸になりました。
いよいよ天国へ行けるね、
由文が帰る前でよかったね。
弟が付き添っていて、
私と弟の子ども、うちの奥さんが病院に行きました。
■ ■
いよいよお別れの日だと思いました。
看護師さんからバアさんが好きだった服を準備するように言われました。
死装束ではなく、
自分が一番好きだった服を着せてくださるそうです。
うちの奥さんが、
バアさんが好きだった花井幸子さんの服を準備しました。
4人が見守りました。
ところが午後になって、
また離陸が中止になりました。
■ ■
うちのバアさんは、
重度の大動脈弁狭窄症を、
92歳の時に手術で治していただきました。
そのため心臓が強くなったようです。
呼吸は止まりそうになりましたが、
また持ち直しました。
弟と弟の子どもは11月6日(月)の最終便に変更して、
ぎりぎりまで病院にいましたが、
11月6日(月)には旅立ちませんでした。

昔の記憶
母親の葬儀②
危篤になった母親に会えてよかったと思ったのもつかの間、
弟とお葬式はいつにする?
…という相談になりました。
札幌市の火葬場は友引がお休みです。
11月1日(水)11月7日(火)11月17日(金)が友引です。
帰国したのが10月31日(火)でした。
■ ■
もともと11月2日(木)11月3日(金)を休診日にしていました。
弟も一週間は仕事の調整をして札幌に来ました。
米国からLINEのTV電話で見た時は、
下顎呼吸で今にも呼吸が止まりそうでした。
父親の時は、
弟が病院に泊まって、
3日目の昼に、
親父は天国に旅立ちました。
火曜日のお昼でした。
なんというタイミングのよさ!
私の休診日に合わせて、
弟の仕事のスケジュールに合わせて、
親父が決めたかのように葬儀ができました。
■ ■
母親も親父のように、
弟の仕事と私の休診日に合わせて、
天国へ旅立つのかなぁ~?と思っていました。
最初の葬儀日程は、
11月2日(木)お通夜、
11月3日(金)告別式
…を考えていました。
ところが息子たちの思うようにはなりませんでした。
■ ■
上手に痰を吸引してくださり、
上手に痛みを取ってくださり、
身体も毎日きれいにしてくださいました。
母親は危篤状態のまま呼吸をしていました。
次の葬儀日程は、
11月5日(日)お通夜、
11月6日(月)告別式
…を考えました。
11月7日(火)が友引なので6日と7日の選択はありませんでした。
■ ■
弟は11月6日(月)の夜の飛行機を予約していました。
7日と8日は弟の外せない仕事がありました。
私も3日間も臨時休診日をつくり、
患者さんに多大なご迷惑をおかけしました。
私の子どもたちや親戚も、
2回も葬儀日程を変更して大変でした。
その度に忌引届を書き直していました。
11月6日(月)に出勤したら、
『今日は忌引じゃなかった?』と言われたそうです。
困りました。

遺影写真 93歳(2021年)
昔の記憶
母親の葬儀①
私の母親本間瑞子が95歳で亡くなりました。
急な葬儀のため手術や診察日で大変ご迷惑をおかけしました。
ほんとうに申し訳ございませんでした。
東札幌病院でお世話になっていました。
世界一いい病院です。
バアさんはしあわせな最期でした。
■ ■
私が米国形成外科学会に参加した、
最終日の午前中のことでした。
現地時間2023年10月29日午前10:33にLINEが入りました。
日本時間2023年10月30日午前0:33です。
バアさんが急変し弟に連絡しましたが、
連絡がつかないとのことでした。
弟は寝てしまったようでした。
■ ■
日本にいる親戚にLINEで連絡し、
もしもの時には病院に行ってくださいとお願いしました。
その後にLINEのテレビ電話でばあさんの顔を見ました。
確かにいつ天国に行ってもおかしくない状態でした。
米国発の飛行機に搭乗するのは24時間後でした。
帰国するまでなんとかもってほしいと祈るような気持ちでした。
米国でもLINEやLINEのTV電話は実に鮮明に見えて聞こえました。
ここからLINEにお世話になりっぱなしでした。
■ ■
日本への飛行機はこれ以上早くすることはできませんでした。
日本時間で10月30日午前6時過ぎに弟に連絡ができました。
新幹線と飛行機を乗り継いで弟が札幌に向かってくれました。
10月30日午後1時過ぎに弟が病院に到着しました。
容体急変から12時間後です。
万一の時には葬儀屋さんに連絡する準備をしていました。
バアさんはよくがんばっていました。
■ ■
私が羽田空港に着陸しのが、
10月31日午後3時過ぎでした。
それから入国手続きをして、
予定よりも早い便で札幌に向かいました。
札幌に到着するまでは息をしていてほしい……
…という祈るような気持ちでした。
新千歳空港に着陸したのが10月31日18:52でした。
タクシーで病院に向かいました。
■ ■
幸運にも私が病院に到着した時にはまだ息をしていました。
間に合ってよかったという思いでした。
私が日本に到着した日は弟が病院で付き添ってくれました。
私は家に帰って荷物の整理をしました。
困ったのが葬儀日程です。
手術予約が入っていて、
抜糸の患者さんもいらっしゃいます。
診察予約も入っています。
■ ■
帰国した日に見た顔では、
もって数日という感じでした。
そこから葬儀日程の調整がはじまりました。
私の家族も、
弟一家も北海道にはいません。
北海道にいる親戚の数が、
東京や関東にいる数より少ないのです。
11月3日(金)から3連休で飛行機が混んでいました。
ばあさんが天国へいつ行くのか?
神のみぞ知るという状態でした。

2023年11月10日の北海道新聞
昔の記憶
本間瑞子95歳_死去
突然のお知らせで申し訳ございません。
私の母、本間瑞子ほんまみずこが、
2023年11月7日(火)午後8:56に亡くなりました。
謹んでご報告申し上げます。
葬儀は、
家族葬で行いました。
急な葬儀で手術や診察の変更をお願いいたしました。
ご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。
■ ■
私が希望するわがままな葬儀ができました。
容態が急変してから約一週間でした。
無理なお願いを聞いていただいた
やわらぎ斎場センティア28のみなさまに心から感謝いたします。
やすらかな最期を迎えることができたのは、
主治医の長岡康裕先生
東札幌病院緩和ケア病棟のおかげです。
ほんとうにありがとうございました。


医学講座
日本のものづくり⑤
日本のものづくりがすぐれているのは、
日本の教育水準が高く、
手先が器用で、
ものごとをしっかりとするからです。
職人芸があり、
人間国宝もいます。
伝統工芸もあります。
■ ■
でもそれだけではないと(私は)思います。
つくる楽しみです。
さくらんぼさんの果樹園は大変です。
特に収穫の秋はとてもお忙しいです。
それでもつくる楽しみがあると思います。
90歳を超えたお母様がお元気なのは、
毎日働いていらして、
生きる目標があるからです。
■ ■
形成外科には他の科にない楽しみがあります。
恩師、大浦武彦先生のご講演に、
美しさを求めて創る楽しみというタイトルがありました。
美容形成外科ではなく、
形成外科にもキズをきれいに治す楽しみがあります。
大浦武彦先生は、
一人一人の患者さんが一つ一つの作品で、
サインをしたくなるほど美しく仕上げる
創造の楽しみが他科にはない喜びである。
…というお言葉が印象的です。
日本のものづくりの原点は、
つくる楽しみだと思います。
わきが
日本のものづくり④
米国形成外科学会。
私が期待して行ったのは?
最新のわきが治療機器、
わきが手術器械がないか?
…でした。
米国はミラドライの製造国です。
新しい機器を楽しみにして行きました。
■ ■
残念なことに、
新しいワキガ治療機器も、
miraDryもありませんでした。
そもそも欧米人は、
ほぼ100%耳垢が湿っていて、
日本でいうわきが体質です。
どんなきれいな女性も、
どんなイケメンの男性も耳垢が湿っています。
■ ■
すごいにおいがする人はいませんでしたが、
わきがのにおいを気にしないのだと思います。
日本で行うようなわきが手術は、
アメリカでは美容外科のメニューにありませんでした。
稲葉法は、
1977年に米国形成外科学会誌PRSに論文が掲載されました。
今でもすぐれたわきが手術だと思います。
■ ■
稲葉法は、
東京の稲葉益巳いなばますみ先生が開発した、
皮下組織削除器ひかそしきさくじょきによる方法です。
私は今でも有用な方法だと思います。
稲葉先生は、もともと婦人科の先生だったそうです。
わきがで困っている女の人のために考えられたそうです。
日本人が発明した、
わきが手術器として最高です。
丁寧な日本のものづくりの成果です。
私が今行っているわきが手術も、
稲葉法を改良した手術器具です。
日本が世界に誇れるわきが手術です。
PRSに掲載された論文です
医学講座
日本のものづくり③
アメリカに行って感じたことです。
日本人には、
アメリカには真似ができない、
丁寧で繊細な文化があります。
日本の伝統工芸の流れだと思います。
日本人の気質にもよると思います。
米国にはできない日本の良さを見つけられたのが、
今年の米国形成外科学会の成果です。
■ ■
米国形成外科学会の器械展示を見ました。
豊胸材料や注入材料など、
日本で製造認可がない製品は、
圧倒的に米国製です。
マイクロサージャリーに使う、
繊細な糸や器具は、
日本製が優秀です。
三鷹光器みたかこうきMITAKAという日本のメーカーがあります。
もともと宇宙観測機器や高精度天体望遠鏡の会社でした。
■ ■
私たちが手術に使う、
MITAKAの手術用顕微鏡が展示してありました。
販売員は米国人でしたが、
その手術用顕微鏡を自信を持って販売していました。
手術に使う糸や、
血管吻合の練習素材も日本製でした。
こまやかな医療機器は、
やっぱりmade in JAPANです。
私もmade in JAPANの丁寧な手術を提供します。
日本はすばらしい国です。

医学講座
日本のものづくり②
日本のものづくりの続きです。
アメリカから日本を見ると日本の良さがわかります。
私は日本はいい国だなぁ~と思いました。
日本のりんごづくりはとても丁寧です。
人の手でていねいに育てます。
職人芸でなかなか真似ができません。
さくらんぼさんのお母様は、
90歳を超えていらっしゃる名人です。
■ ■
アメリカで行われている高価な美容外科手術を見ました。
先生にもよりますが、
この手術がそんなにするの?
…という手術もありました。
日本人だったら、
二重の幅が1ミリでも違うと大変です。
保険診療の眼瞼下垂症手術でも、
とてもていねいに手術をします。
■ ■
エビデンスはありませんが、
色白の人のキズはきれいに治ります。
白人は私たち黄色人種よりキズがきれいに治ります。
私たち黄色人種も肌が黒い人よりきれいに治ります。
日本人は、
二重の幅とか形にとてもこだわります。
西洋人はもともと二重なので、
超幅広の二重でも気にならないようです。
■ ■
日本人から見ると、
なんかなぁ~?
…と思うような手術でも高いです。
よく海外で美容整形手術を受けるという人がいますが、
私は日本語が通じる日本で、
自分と相性がよくて、
技術力のある先生に手術を受けるのが、
日本人にとっていいと思います。
日本のものづくりはすばらしいです。

医学講座
日本のものづくり①
今日は2023年11月5日(日)です。
米国形成外科学会に参加して考えることです。
アメリカは広くて広大な国です。
たくさんの民族がいます。
肌の色もさまざまです。
たくさんの国から、
多くの人が移民で大きな国になりました。
■ ■
面積も広大です。
農場の規模が違います。
アメリカの農業はよく知りませんが、
広大な農場で大規模に作られています。
アメリカにもフジりんごがありました。
確かに日本のフジりんごのような味がしました。
でもさくらんぼさんのりんごとは違います。
■ ■
アメリカのりんごは、
サイズが小さいです。
私が行ったスーパーには、
小さめのフジりんごはありましたが、
日本のフジりんごのように、
真っ赤で大きなりんごはありませんでした。
作り方が違うのだと思います。
さくらんぼさんのりんごは、
摘花→摘果→葉摘み→反射シート→玉まわしと
人の手でていねいに育てています。
■ ■
アメリカと同じことを日本でやっても負けます。
そもそも規模が違います。
日本人にしかできない、
ていねいなものづくりが日本の強さです。
日本製は信頼があります。
だから日本車が売れるのだと思います。
医療も同じです。
日本の医療はていねいで、
保険医療制度のおかげで安くて高品質です。
私は日本人にしかできない、
高品質のものづくりを続けます。


1年後
医学講座
やっぱり形成外科が好きです②
米国に行って考えることがたくさんありました。
日本はいい国です。
特に日本の医療保険制度は、
米国にくらべるとずっといいです。
私は米国の医療保険のことはよく知りません。
米国在住の日本人医師は、
手術を受けるなら日本に帰国して受けると言います。
日本の医療保険制度がいいからです。
■ ■
米国で、
授乳障害のある陥没乳頭手術
眼瞼下垂症手術
わきが手術
…を保険で受けられるかどうか知りません。
事故で大きなケガをして、
形成外科で丁寧に手術をしても、
米国では保険会社と支払いでもめることがあると聞いたことがあります。
■ ■
日本は社保と国保の健康保険ですが、
米国は違います。
米国の医療費は、
べらぼうに高いそうです。
日本では保険で使えるフィブラストスプレーが、
米国で保険でふつうに使えないと聞いたことがあります。
エビデンスはなく確認はしていません。
米国在住の日本人医師は日本がいいと言います。
■ ■
私はお金持ちしか受けられないような、
高価な自費の眼瞼下垂症手術より、
ちょっとがんばれば受けられる、
保険適応の眼瞼下垂症手術が好きです。
医療保護の方や、
ひとり親家庭の方でも受けられる、
形成外科の手術をするのが好きです。
これが米国に行った69歳の実感です。
おじいさん医師ですががんばっていい手術をします。
