医学講座
日本美容外科学会第123回学術集会(東京)②
昨日の日本美容外科学会第123回学術集会、
わざわざ東京まで行った甲斐がありました。
私が一番勉強になったのが、
下眼瞼疾患(眼瞼内反症、睫毛内反症)治療における私の考え
日本医科大学武蔵小杉病院形成外科教授、
村上正洋先生のご発表でした。
とても勉強になりました。
■ ■
村上正洋教授は、
形成外科の先生です。
腕の良い形成外科医です。
講演の冒頭で、
『私の発表は、美容外科には合わないかもしれない』
…とお話しになりました。
確かに美容目的の手術ではありませんが、
まぶたを理解する上で、とても勉強になりました。
■ ■
村上先生は、
日本医大をご卒業された形成外科の先生です。
日本医大の先輩である眼科の先生から、
患者さんの顔にできたホクロをとって欲しいと、
依頼されたのがはじまりだそうです。
村上先生のお言葉です。
『他の先生が美容外科から眼瞼の手術に進んだのとは違い、
私は眼科診療所からまぶたの手術をはじめました』
■ ■
形成外科医は、
切ったり、
縫ったりする、
手術が得意です。
縫合も上手です。
皮弁という技術も使えます。
でも…
眼球の表面を見るのは不得意です。
■ ■
村上先生は、
眼科で使う、
細隙灯さいげきとうという機器で、
角膜の表面や、
睫毛や、
眼球を診ることができる、
形成外科医です。
■ ■
年をとると、
下まぶたが変形して、
下まぶたのまつ毛が、
眼球に当たるお年寄りがいます。
白髪なった、
細い毛が一本当たっただけで、
目がしょぼしょぼします。
眼科でまつ毛を抜いてくれます。
■ ■
この変形が重度になると、
手術で治すことになります。
この手術がなかなか大変です。
ベテランの医師が手術をしても、
再発したり、
治らなかったりします。
村上先生は正直な先生です。
ご自分の手術結果を正直に発表されていました。
■ ■
私が村上先生のご発表をお聴きして感じたことは、
下まぶたが『たるんだ』といって、
下手な手術をすると、
80歳とか
90歳になった時に、
まつ毛が刺さってしまって、
目がしょぼしょぼするようなことにならないかなぁ~?
…と感じました。
■ ■
下まぶたの手術も難しいです。
村上先生は、
超アトラス
眼瞼手術
―眼科・形成外科の考えるポイント―
の編集者です。
ISBN:978-4-86519-205-6 C3047
この本は内容が充実しているいい本です。
私も買いました。
目の手術をする形成外科医におすすめします。
9800円+税です。
“日本美容外科学会第123回学術集会(東京)②”へのコメント
コメントをどうぞ
加齢による下瞼のタルミはまつ毛が眼に刺さるんですか。
加齢は色々障害が出てきますね。
父は84歳ですが、ありがたい事にまだ大丈夫そうです。
手術した事により、年をとった時にまつ毛が刺さるかもしれないなんて怖いです。
手術をなさる先生は本間先生のオススメを是非!
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。全員が『たるみ』でまつ毛が刺さるのではありませんが、加齢によって下まぶたが変形して刺さる人がいます。手術をしてもなかなか治らない人や再発例もあります。
眼瞼下垂に役立つ学会だったのですね。私の病気仲間も90近いおばあちゃんですが、昨年まつげが刺さって抜いてもらいました。 先生のブログは新米形成外科医師に色々アドバイスしている内容ですね。 ちょっと 素人には難しいです。 生きているうちに新米形成外科医師に本間先生のもってる知識を伝授するおつもりなんですね。
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
コメントをいただきありがとうございます。研修医時代に給料が安いからと美容外科に飛びつく先生もいます。結局なんちゃってになってしまって事故を起こして後悔する人もいます。美容外科はそんなに簡単ではないし楽でもありません。