医学講座

熱傷専門医

 京都アニメーション放火事件
 京都アニメ死者34人に
 重症熱傷の救命とスキンバンク
 …の続きです。
 京都アニメの負傷者の方たちは、
 懸命な治療を受けています。
      ■         ■
 私の院長日記には、
 よく熱傷ねっしょうが登場します。
 熱傷学会①
 熱傷学会①
 熱傷学会③
 2007年6月の院長日記です。
      ■         ■
 私が中学生だった半世紀前、
 北海道の夕張市に住んでいました。
 当時の夕張市は炭鉱都市として栄えていました。
 私は中学校3年間を大夕張おおゆうばりという、
 炭鉱の街で過ごしました。
 残念なことに炭鉱は閉山し、
 私が通っていた中学校はダムの底に沈みました。
      ■         ■
 その当時に、
 炭鉱で爆発事故があり、
 大勢の負傷者が出ました。
 炭鉱は燃料になる石炭を掘り出す鉱山なので、事故が起こると石炭に火がついて火災になります。
 狭い坑道に炭塵タンジンという石炭の粉が充満しています。事故で坑内火災が起きるとそれに火がつきます。一度にたくさんの人がヤケドをします。特に、気道熱傷という、高温の煙を吸い込むことによる、のどから肺にかけてのヤケドで命を奪われます。もちろん、顔も手も体も重症のヤケドになります。
 私が中学生の頃の事故でも重傷者がたくさん出ました。父親は薬剤師でしたが、受傷者の血液を検査して一酸化炭素の濃度を測定する仕事をしていました。ヤケドの治療に使う薬を大量に札幌から取り寄せていました。何日か病院に泊り込んで家に帰られず、母親が下着を届けていたのを記憶しています。
 私は北大形成外科の先生が大夕張の炭鉱事故の治療をしたのを知りませんでした。北大に入ってから、本間君は大夕張にいたんだね。昔、大夕張の炭鉱事故で大変だったんだよ。とはじめて助教授だった濱本淳二先生から聞かされました。何かの縁を感じました。
 私の札幌医大の先輩である阿部清秀先生は、ロシアから来た重症のヤケドの子供を治療しました。TVに出て有名になったコンスタンチン君です。もう立派な青年になったそうです。私も札幌医大に勤務していた時にジェーニャ君という子供の治療をしました。

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 今回の京都アニメの放火事件のように、
 ある日、
 突然、
 大勢の人が大やけどになることがあります。
 救命救急センターでなければ救命できません。
 救命された後も、
 何回も手術が必要になります。
 熱傷専門医が必要になります。
 一人でも多くの若い先生が、
 熱傷専門医になってくれることを願っています。

“熱傷専門医”へのコメント

  1. えりー より:

    炭鉱の爆発事故、怖いです。
    カナリアを連れて炭鉱に入る
    映像を見たことがあります。

    病気もある日、突然という事も
    ありますが、やけどの治療は
    事件事故が起きるとさらに大勢の人の
    治療をする可能性がでてきますね。
    助けてくださる
    熱傷専門医の先生が増えて
    欲しいです。

    今もつらい治療をなさって
    いる患者さんが快方にむかいます
    ようにお祈りいたします。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。カナリアのことは忘れていました。オウムの毒ガス事件でも警察がカナリアを連れて行った記憶があります。私が中学生の頃と比べると重症熱傷の救命率は格段に上がりました。残念なことに焼けてしまった自分の皮膚に代わる皮膚はまだ開発されていません。熱傷治療の大変さは昔も今も同じです。一人でも多くの患者さんが救命されることを祈っています。

  2. さくらんぼ より:

    気道やけどでも命が奪われるんですね。気道やけどは粘膜を移植するのでしょうか?何としても助けて下さい。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。気道熱傷の治療はレスピレーターによる人工呼吸器管理です。昔は私たち形成外科医がやっていた施設もありました。麻酔科出身の救命医の先生やICUの看護師さんが抜群に上手です。私が医師国家試験を受けた時に気道熱傷が国家試験問題に出ました。

  3. なっちゅん より:

    京都アニメの放火事件に
    今夜放送予定だった監察医 朝顔第3話が
    類似してた為、見送りになりました。

    Yahooニュースで知ってましたが
    やはり今回は悲惨すぎる事件だと
    思いました。

    亡くなられた方のご冥福をお祈り致します。
    治療中の方、早く快方に向かいますように
    お祈り致します。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。救命救急センターで治療を受けている重症熱傷の患者さんたちは今が一番大変な時期です。重症熱傷はいつだれが受傷するかわかりません。熱傷治療に国民の目が向けられるようになることを願っています。私のように自分の死後に皮膚を提供するという人が増えてほしいです。

  4. ラズベリー より:

    熱傷専門医が是非増えることを願いたいです。
    顔や見える腕などの部位(衣服で隠れない部位)は社会復帰にかなり影響を及ぼし生きたいと思えるよう植皮手術や医療従事者や家族からの精神的なサポートも本当に大切だと思いました。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。熱傷治療は大変です。救急医学の中でも特に大変です。若い先生や看護師さんから嫌われることもあります。一人でも多くの若い先生や看護師さん、医療従事者が熱傷治療に興味を持っていただきたいです。

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