医学講座

脂肪吸引後の乳房再建

 第8回北海道形成外科フォーラムを聞いて、
 これだけは、
 院長日記でお伝えしなければ!
 …と強く感じたことがあります。
 筑波大学形成外科の関堂充教授のご講演です。
 関堂せきどう教授は、
 乳房再建のスペシャリストです。
 筑波大学形成外科教授に就任されてから10年です
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 関堂せきどう教授は、 
 特にマイクロサージェーリーという、
 微小血管吻合を用いた皮弁移植がお上手です。
 2017年10月14日のご講演は、
 形成外科領域のマイクロサージャリーにおけるトラブルシューティングと工夫
 難しい題名ですが、
 要は、
 マイクロサージェリー後にトラブルになった時、
 どうやって切り抜けたか?
 …というとても参考になるご講演でした。
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 患者さんは、
 乳癌で手術後に乳房再建をされた女性です。
 スペシャリストの関堂教授の手術なのに、
 手術中に皮弁がうっ血しました。
 静脈の流れが悪い時に起こる症状です。
 最悪の場合は、
 皮弁壊死という状態になり、
 再建した乳房が失われます。
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 原因として考えられたことは、
 患者さんが受けた腹部の脂肪吸引でした。
 病院に入院すると、
 お医者さんや看護師さんが、
 今までに受けた手術についてお聞きします。
 言いにくいのが、
 美容外科の手術です。
 私、35歳の時に、
 ○○美容外科で脂肪吸引をしました
 100万円もしたのに、
 さっぱり細くなりませんでした

 …なんてことは言いたくありません。
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 美容外科にいらした患者さんですら、
 過去に受けた手術について言わない人がいます
 お気持ちは理解できます
 大きな病院で、
 家族もそばにいるのに、
 ○○美容外科で脂肪吸引をしました
 …は言いたくありません。
 腹部脂肪吸引のキズは、
 へその中にあったり、
 下着の中にあったりします。
 外からはわからないこともあります。
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 脂肪吸引の吸引管が、
 腹部脂肪の中を傷つけます
 そうすると、
 細い静脈が切れてしまいます
 乳房再建で使う皮弁の血流が、
 悪くなることが考えられます。
 そんな時には、
 背中の筋肉と脂肪を使うと安全です。
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 乳房再建をする先生で、
 特にDIEPでぃーぷ皮弁を、
 マイクロで移植する先生は、
 脂肪吸引の既往歴に注意してください。
 外からわからないきずでも、
 皮弁挙上後の血流が悪くなることがあります。
 関堂教授の教えです。
 患者さんも、
 こっそりでいいので、
 小さな声で、
 私、脂肪吸引をしました
 …と伝えてください。

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