医療問題

通勤災害と交通事故

 帰宅途中に交通事故に遭った私は、
 当然、労災事故(通勤災害)になると思っていました。
 病院で事故に遭った患者さんを診察する時、
 交通事故や労災事故に、健康保険は使えません。
 健康保険は、ふつうに生活していて、病気になった時に使う保険。
 仕事中の事故は、労災保険です。
 料金体系も若干異なります。
 国が決めた決まりです。
      ■         ■
 交通事故は、大部分が車かバイクの事故で起こります。
 自動車損害賠償責任保険(通称:自賠責)という制度があります。
 健康保険は、自動車事故のように、
 第三者によって起こされたケガについては使えないことになっています。
 もし使うとしても、誰にケガをさせられて、
 相手方保険会社は○○損害保険ですと、
 通知しなければならないことになっています。
 これも、国が決めた決まりです。
      ■         ■
 社会保険は、ただでさえ大赤字です。
 自動車事故で、自賠責から支払われるべき治療費まで支払っては大変です。
 近年は特に厳しくなってきています。
 また、労災保険は仕事中や通勤途中の事故でケガをした時に使います。
 私のように、仕事を終わって、
 通勤届けに届けた通りの道や交通機関で、
 自宅に帰る途中の事故は、通勤災害になります。
      ■         ■
 ちなみに、同じ帰宅途中の事故でも、
 仕事帰りに、ちょっと一杯飲んで、帰りに転倒したような時。
 仕事帰りにデパートで買い物をして、
 その帰りにエスカレーターで転倒してケガをした時。
 は残念ながら通勤災害にはなりません。
 寄り道すると、通勤災害にならないという規定があります。
      ■         ■
 会社の業務命令で、取引先の○○社の接待があったとか、
 デパートへ買い物へ行ったのは、自分の買い物ではなく、
 上司から指示された物品を購入に行ったという場合は、
 合理的な説明ができれば、労災になる可能性があると思います。
 この辺は、医師ではなく、社会保険労務士が詳しいです。
 通勤災害か私病による事故かにこだわるのは、補償が違うからです。
 もし、労災の通勤災害でしたら、休業補償も出ます。
      ■         ■
 この程度の知識は、労災病院に勤務していたり、
 通勤災害で負傷した患者さんを治療していると、
 医師でもわかるようになります。
 私は、自分の事故は当然、労災扱いになると思っていました。
 ところが、労働基準監督署に問い合わせても、
 交通事故の場合は、まず自賠責保険を使ってください。
 という回答がきました。
      ■         ■
 つまり、帰宅途中に轢かれた場合は、
 通勤災害でも、自賠責を使って保険会社に費用を請求する。
 というのが、正しいルールだと、その時はじめて知りました。
 問題はそこからでした。
 ランクルの運転手さんは、深く反省していました。
 もし、私の事故が人身事故扱いになると、
 点数がないので免停になる可能性が高いということでした。
 私は、自分の足が轢かれてケガをして、
 警察にも届けたので、当然人身事故だと思っていました。
      ■         ■
 帯広市内は、交通の便が悪く、
 仕事をするには、車がないとできません。
 相手の運転手さんは、私に泣きついてきました。
 私は、轢かれた原因は見通しの悪い交差点にあると思っていました。
 高架事業をしている会社に、文句を言いました。
 すぐに、右折車は歩行者に注意!という大きな看板がつきました。
 相手を責める気持ちもなかったので、保険会社に任せると言いました。
      ■         ■
 ここで問題が起こりました。
 相手方の保険会社は人身事故扱いでないと、
 自賠責保険を出さないと言って来ました。
 私は好きで人身事故扱いを外したのではありません。
 相手が泣きついてきたので、そうしただけです。
 そこで、私は弁護士さんに相談しました。
 相談した弁護士さんは、適切に回答をしてくれました。
      ■         ■
 しばらくすると、相手方の損害保険会社の所長が謝りに来ました。
 私のケースは、その損害保険会社で責任を持って支払いをするという内容でした。
 私としては、治療費をしっかり払ってくれて、
 補償もしてくれるのなら了承することにしました。
 私のケースは、人身事故扱いにしたかどうかはわかりませんが、
 治療費は自賠責から払ってもらいました。
 ただ、仕事は休まなかったので、
 痛い思いをしたのに、
 私がいただいた補償金は多くはありませんでした。
 今では、ケガのことは忘れるくらい快くなりました。
 数年間は寒くなると左足が痛くなり、事故を思い出しました。

“通勤災害と交通事故”へのコメントを見る

TEL 011-231-6666ご相談ご予約このページのトップへ