医学講座
眼窩ブローアウト骨折の診断
小児ブローアウト骨折は24時間以内の緊急手術です。
難しいのが、
子どもさんの診断です。
CTやMRIなどの診断機器が進歩しました。
携帯がスマホ進歩したのと同じように、
診断機器と診断技術が進歩しています。
■ ■
昔だったらわからなかった、
小さな病変でもよく見えます。
ただし条件があります。
CTやMRIを撮る時に、
動かないことです。
じっとしていないと、
鮮明な画像は得られません。
■ ■
CTやMRIを撮る部屋へ入ったことがあると思います。
子供が一人で、
おとなしくできる環境ではありません。
診断機器は進歩しましたが、
子どもを、
安全に
簡単に
おとなしくさせる
これが一番の難関です。
■ ■
学校で友だちと衝突して、
保健室に運ばれます。
救急車が学校に来て、
救急病院に搬送される。
これだけで大騒ぎになります。
学校の先生、
ご両親、
おじいちゃんおばあちゃんまで病院に来ます。
■ ■
子どもさんの顔は紫色になり、
目を開くこともできません。
たいていの子どもさんは泣き叫んでいます。
お母さんは心配しておろおろ、
泣き出すお母さんもいます。
血が出ていると、
それだけ見て倒れるお母さんもいます。
■ ■
この混乱した状況の中で、
子どもさんも動揺します。
採血ひとつするのも大変です。
目の診察のために…
上を向いて
下を向いて
…と言っても簡単に向いてくれません。
■ ■
点滴を入れるのも大変です。
せっかく点滴を入れても、
大暴れして抜けてしまうこともあります。
そうすると、
また点滴のやり直しです。
ごはんを食べたばかりだと、
全身麻酔もすぐにかけられないことがあります。
■ ■
CTやMRIを撮るために、
全身麻酔をかけることも簡単にできません。
麻酔科医もいません。
CTの部屋に麻酔装置はありません。
MRIの部屋には、
酸素ボンベなどの金属は持ち込めません。
ボンベがロケットのようにMRIを壊してしまいます。
MRIが磁石だからです。
■ ■
自分の孫が学校でけがをしたら、
まず落ち着くことです。
採血や点滴は小児科医が上手です。
意識不明だったら仕方がありませんが、
意識があれば孫をよく観察します。
ブローアウト骨折の診断は、
CTが撮れなくてもできることがあります。
■ ■
ブローアウト骨折があると、
上口唇がしびれることがあります。
孫に
腫れている方の唇だけしびれていないか?
聞いてみます。
物をかんだ時、
片方だけ変な感じがしないか?
聞いてみます。
眼窩下神経がんかかしんけいという三叉神経第二枝の麻痺症状です。
日本形成外科学会HPも見てください。