医学講座
金の糸とMRI検査
昨日の院長日記、
CTやMRIでわかる整形に、
次のご質問を相談フォームからいただきました。
院長日記読ませて頂きました。
MRIやレントゲンですが、私は顔に金の糸が入っていますが大丈夫でしょうか?
先生に伝えてから撮影してもらったほうがいいのでしょうか?
お忙しい中すみません。よろしくお願いします。
同じような不安をお持ちの方も多いと思いますので、
今日の院長日記で取り上げます。
■ ■
日本美容医療協会ホームページに記載があります。
1.レントゲン写真、CTやMRIといった画像診断を受けられる方は、必ず医師と放射線技師に申告をして下さい。
2.埋入部のレントゲン写真、CTやMRIの写真には、金の糸が写ってしまうことがあります(写真参照)。但し、金の糸自体が画像診断の障害になることは稀のようです。
3.MRIは核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance, NMR)現象を利用して生体内の内部情報を画像化する方法で、撮影時には強力な磁気を発生します。従って特にMRIの撮影時には必ず申告をして下さい。体内に金属が埋入されている場合は、金属が移動したり熱を発生することもあり、時には撮影を拒否される場合も考えられます。これにより、悪性腫瘍の早期発見のチャンスを逃す可能性があります。
…というのが日本美容医療協会の見解です。
■ ■
私の結論は大丈夫です。
本間説です。エビデンスはありません。
本間説の根拠です。
金は代表的な「反磁性体」(磁石にならない金属)と言われています。
金の糸は細く、
どこに何本入れたかわかりませんが、
通常のMRI検査は大丈夫です。
もし不安でしたら、
【金+MRI】で検索なさるとわかります。
CTやレントゲン検査も受けられます。
■ ■
日本美容医療協会HPに書いてあるように、
放射線科の先生に聞いても、
脳神経外科の先生に聞いても、
金の糸?
何ですかそれ?
顔に入れた?
はぁ?
…ってな感じになると思います。
■ ■
僕じゃわからないから、
形成外科に行って聞いてください。
…と言われて形成外科に行ったとしても、
○○市民病院形成外科部長の先生ですら、
金の糸?何ですか?
何ミリくらいの糸を、
何本入れたんですか?
…と聞かれるくらいだと思います。
ふつうの形成外科医は金の糸を見たことがありません。
■ ■
私自身も、
学会の展示会場で見ただけです。
自分で患者さんに入れたことはありません。
形成外科で使う金は、
顔面神経麻痺の患者さんに、
ゴールドプレートという、
金の延べ板の極小版を、
まぶたに入れる手術で使うくらいです。
私も35年で一度しか見たことがありません。
■ ■
私は金の糸をすすめているのではありません。
金の糸が不安で検査を受けずに悪性腫瘍の発見が遅れるより、
しっかりとした先生に診てもらうことをすすめます。
もし美容整形で入れた材料で不安になったら、
放射線診断を専門としているクリニックのHPを見たり、
歯科で使う材料について、
ネットで検索してみることをおすすめします。
【金の糸+MRI検査】でヒットした結果が不安だったら、
【金歯+MRI検査】なら他の情報も必ずヒットします。
MRIは磁力を使った検査なので、
心臓ペースメーカーを装着した方などは受けられません。