医学講座

重い食物アレルギーの治療法

 平成28年1月28日、北海道新聞朝刊の記事です。
 <子どもの食卓>重い食物アレルギーの治療法
 入院して安全に食べる量増やす
 卵や牛乳など特定の食べ物を口にすると、じんましんや腹痛などを起こす「 食物アレルギー 」。成長とともに改善していく場合が多いが、就学する頃になっても治らず、症状が重い子どもに対し、入院して原因食品を食べられる量を増やしていく治療法がある。「急速経口(けいこう)免疫療法」だ。治療実績がある道内医療機関の一つ、KKR札幌医療センター(札幌市豊平区)を訪ねた。
 食物アレルギーに対して以前は、原因の食品を全く食べない(完全除去)という対応が多く取られていた。近年は安全に食べられる量を「食物経口負荷試験」という方法で確かめ、摂取できる量は積極的に食べるように変わってきている。完全除去ではなく、必要最小限の除去を目指すという考え方だ。
 ただ、中には小学校入学が近くなっても、家庭で食べられる量を設定できないような重いアレルギーの子がいる。KKR札幌医療センターは2010年から、こうした5歳以上の子を主な対象に、2週間ほどの入院治療を行っている。
 治療はまず、負荷試験で原因食物をどのぐらい食べると、アレルギー症状が出るのかという「限界量」を調べる。入院中は1日5回ほど、最初は限界量の10分の1程度を食べる。症状を見ながら計画的に食べる量を増やしていき、原因食物へ耐性がつくよう目指していく。急速経口免疫療法の急速とは、2週間ほどの比較的短い期間で行われるという意味を含んでいる。
 1月中旬、KKRのセンターに北見市から兄弟2人が入院した。長男(小学6年)のアレルギーの原因食物は「乳」、次男(小学1年)は同じく「小麦」だ。母親は「誤って口にした時の危険が減るよう、少しでも食べることができればと考えた。入院して行うので安心感もあります」と話す。2人とも生後数カ月で卵や魚介など複数のアレルギーが分かったが、「当時は負荷試験の情報もなく、完全除去しかなかった」という。
 1年ほど前にこの治療法の存在を知り、昨年夏に同センターを受診した。本人たちの「食べられるようになりたい」という意志もあり、2人とも昨年9月にまず卵で急速経口免疫療法を受け、加熱した全卵1個が食べられるようになった。
 今回は負荷試験後、長男は牛乳1ccから、次男は食パン1グラムから摂取量を増やし始めた。治療は子どもにとって、長年触れることも禁止されていた原因食物を食べる恐怖心や戸惑いがある。摂取量を増やす段階でアレルギー症状が出ることもある。この2人も腹痛やせき、じんましんなどの症状が出たが、その都度治療して、食べる量を増やしていった。
 退院後も安全に食べられる量を取り続けることが必要だ。長男は入院中、牛乳1日170cc、次男は食パン60グラムを摂取できたが、安全を期して、自宅に戻ってからはそれぞれ牛乳50cc、食パン20グラムを継続して食べて経過をみている。
 センターではこれまで約60人がこの治療を受け、多くは食べられる量が大幅に増え、退院後も摂取し続けている。一方、症状が強く出てしまい、食べ続けられない子もいる。
 治療実績を踏まえ、小児・アレルギーセンター長の高橋豊医師は「課題はあるが、学童期になっても(原因食物を完全に)除去し続けるしかなかった重症の子には、有望な治療と考えている」と語る。費用は1割負担で約6万円。
 経口免疫療法は研究段階の治療なので、経験豊富なアレルギー専門施設でのみ行われている。道内ではKKR札幌のほかに、NTT東日本札幌病院、札幌徳洲会病院などだ。症状によっては入院せず、外来で時間をかけ食べる量を増やす方法もある。
 高橋医師は「決して自己判断で、家庭で行わないようにしてほしい」と注意を呼び掛けている。(石丸厚子)
20160128

(以上、北海道新聞より引用)

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 ためになる記事です。
 KKR札幌医療センター小児科の高橋豊先生は、
 赤ちゃんの食事とアトピーという、
 2015年10月23日の院長日記でご紹介した先生です。
 前回の記事は朝日新聞でした。
 今回は北海道新聞です。
 新聞を読むと役に立つ記事がたくさんあります
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 私は乳糖不耐症です。
 牛乳を飲むとおなかがごろごろします。
 アカディという
 雪印の飲料しか飲めませんでした。
 父親も牛乳がダメなようです。
 遺伝かもしれません。
 うちの息子はイクラが食べられません。
      ■         ■
 私は温めた牛乳は飲めますし、
 生クリームなどは大丈夫です。
 アイスクリームも大丈夫です。
 でも新聞の書いてあった子どもさんのように、
 小麦や卵などは大変です。
 入院治療は大変ですが、
 この治療法がもっと進んで、
 少しでも食べられるものが増えるといいです。

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