二重・眼瞼下垂
眼瞼下垂症の修正手術【2016福岡】
熊本県で地震の被害が続いています。
今朝のTVでも報道されていました。
亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
行方不明の方が早く見つかってほしいですが、
余震が続いているので、
二次災害が起こらないことを祈っています。
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第59回日本形成外科学会で熱心に聞いたのは、
札幌美容形成外科で最も多い手術、
【眼瞼下垂症】です。
私が一番印象に残った発表が、
今日ご紹介する杏林大学形成外科の発表です。
はっきり言って、
とても上手な手術だと思いました。
大学病院の形成外科でここまでするのはすごいと思いました。
それでも修正手術がありました。
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O-092 眼瞼下垂症手術における修正手術のリスク因子解析
○菅 浩隆、尾崎 峰、成田圭吾、白石知大、江藤ひとみ、佐藤卓士、多久嶋亮彦、波利井清紀
杏林大学形成外科
【目的】眼瞼下垂症手術においては,術後に左右差が残る場合や皮膚切除量が不十分な場合など,修正手術が必要になることがある。しかし修正手術が必要になった症例について詳細な検討を行った報告は少ない。今回,杏林大学形成外科における過去の症例について統計学的な解析を行い,修正手術のリスク因子について検討することを目的とした。
【方法】過去5年間に当施設において両側の腱膜性眼瞼下垂症に対して挙筋前転法による手術を行った症例を対象とした。年齢,性別,margin reflex distance (以下MRD)0㎜を基準とする重症度,MRDに1㎜以上の差を認める術前の左右差を検討項目とし,修正手術に対する影響について検討を行った。
【結果】症例は274例(女性217例,男性57例),平均年齢は65.4土13.9歳であり,14名の術者によって手術が行われていた。修正手術を行った症例は89例(32.5%)であり,この割合は術者による差は認められなかった。12例(4.4%)は2回以上の修正手術を受けていた。修正手術の理由としては片側の挙上不足が32例と最も多く,統いて両側の皮膚余剰が24例,片側の皮膚余剰が15例であった。カイ2乗検定による単変量解析では,年齢,性別,重症度は修正手術への影響は認められなかった。一方,術前に左右差を認める症例では修正術が必要となる割合が有意に高かった(82例中35例,P=0.018)。ロジステイック回帰分析による多変量解析においても,術前の左右差のみが修正手術に対する有意なリスク因子であった(オッズ比1.9,P=0.019)。
【考察】眼瞼下垂症手術においては比較的高い割合で修正手術が必要になることを認識しおく必要がある。特に,術前に左右差を認める症例は術後にも左右差をきたしやすく,その可能性について十分な説明を行っておくとともに,術中の開眼の調整をより慎重に行う必要があると考えられた。
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大学病院の形成外科は、
たくさんの先生が手術をします。
過去5年間で、
14名の術者が、
274例(女性217例,男性57例)の患者さんを手術しました。
症例数が多いと思います。
修正手術を行った症例は89例(32.5%)でした。
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274例中89例(32.5%)が修正手術でした。
約3割です。
驚かないでください。
怒らないでください。
それだけ丁寧に手術をしてるのです。
私が見て上手だと思った手術です。
それだけ難しいのです。
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菅 浩隆先生のご発表によると、
再手術となる原因は、
もともとある左右差です。
眼瞼下垂症手術をして、
きれいな目になると気になるのです。
術前に左右差を認める症例では修正術が必要となる割合が有意に高かった(82例中35例,P=0.018)
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大学病院だから、
難しい患者さんが多いことも考えられます。
私も毎日苦労しています。
眉の高さと額のシワの左右差に注意
眉の形【左右差】に注意
形成外科で保険で手術をしても、
美容外科で自由診療で手術をしても、
難しいのが左右差です。
菅浩隆先生が言われた、
術中の開眼の調整をより慎重に行う必要がある
まさにその通りだと思います。
眼瞼下垂症の研究が進歩することを願っています。