医学講座
フィブラストスプレーの注射2017
私の院長日記を読んで、
全国から相談メールが届きます。
困るのが、
成長因子
プレミアムPRP
PRPF
などの名前で呼ばれている、
フィブラストスプレーの注射です。
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美容外科のPRP療法2013
2013年11月6日の院長日記です。
将来有望なPRP療法、
さっそくネットで【PRP】を検索すると…
たくさんのクリニックがヒットします。
日本美容外科学会でも話題になります。
残念ですが…
札幌美容形成外科では導入していません。
理由は…
未知の部分が多いからです。
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日本の美容外科ではじめてPRPを発表したのは、
2006年4月9日(日)に、
六本木ヒルズで開催された、
第90回日本美容外科学会JSAS(ルネ・デュ・クロー会長)で
久保田潤一郎先生と
松田秀則先生でした。
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札幌美容形成外科でもすぐに導入しようと思いました。
学会から帰ってきて、
奥さんに報告…
自分の血を採って
目の下に注射すると…
しわが取れるって!
奥さんはすぐにでもやりたい雰囲気でした。
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東京で研究会があるというので申し込んだところ、
直前になってキャンセルになりました。
血液から血小板を取り出すキットが高価でした。
高いキットを買って…
PRP注射をはじめた先生がたくさんいました。
施術料金も高価でした。
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残念なことですが…
費用対効果を見ると…
PRPによる若返りはあまり効果がありませんでした。
PRPでお客さんを失ったという先生がいました。
札幌美容形成外科でやらなくてよかったと思いました。
自分の血だけでは効果がなかったので、
フィブラストスプレーという液を混ぜた先生がいました。
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最初は適切な濃度がわからなかったので…
試行錯誤ではじめたと思います。
薄い濃度のフィブラストスプレーを混ぜると…
劇的な効果が出ます。
今、PRPで検索してヒットする美容外科で、
満足度98%なんて広告を出しているのは、
このフィブラストスプレー入りです。
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細胞成長因子添加
プレミアム…
…とうのがフィブラストスプレー入りの可能性があります。
何度も院長日記でご紹介しているように、
フィブラストスプレーを注射で使うことは、
メーカーが禁止しています。
国の承認も得られていません。
添付文書には発癌の危険性が書かれています。
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私は癌になることはないと思いますが、
現実にフィブラストスプレー入PRPで健康被害が出ています。
【金】売上第一【儲】のチェーン店ではなく、
しっかりとした個人のクリニックで受けてください。
私は勉強は続けますが、
学会としての指針が出るまでは実施しません。
美容整形で不幸にしてしまっては困るからです。
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2017年3月23日現在では、
カメイクリニックの亀井康二先生を中心として、
一般の美容外科医の間でも治療が広まっています。
第122回日本美容外科学会(東京)④
2015年1月14日の院長日記です。
カメイクリニックの亀井康二先生は、
第33回日本美容外科学会(京都)の会長です。
形成外科出身の立派な先生です。
私より5歳年上です。
2013年7月の、
第117回日本美容外科学会(大阪)⑤でも、
b-FGFを入れたPRPの注射で、
下まぶたの『たるみ取り手術』が不要になったと教えていただきました。
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b-FGF(べーしっく・えふじーえふ)というのは、
大手美容外科で定番のプレミアムPRPと宣伝している注射です。
フィブラストスプレーの注射です。
顔にしこりができたという人を診た。
しこりを取るのは難しい
…というのが、
私のようにこの治療に超慎重になる医師の共通した意見です。
もう一つの理由が、
もし副作用が出ても、
メーカーからも国からも補償は受けられないことです。
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私はこの薬で動物実験をしたことがあります。
もちろん倫理委員会を通った正式な実験です。
札幌医大を追い出されてしまったので、
論文にはできませんでしたが、
強力な血管新生作用があります。
濃度設定が難しい薬です。
正しく使うと素晴らしい薬です。
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おそらく、
亀井先生がなさっていらっしゃるのだからと、
この注射が広まると思います。
正しい使い方をすると、
切らなくても下まぶたの『たるみ』が取れる
夢の薬なのです。
超慎重派の私は、
日本美容外科学会としての指針が出るまではしないつもりです。
早くメーカーや国が、
正しい使い方を広めることを希望します。
製薬メーカーの株価を上げることができる、
画期的な治療法なのです。
2017年には国として、
厚生労働省から何らかの指針が出ることを期待します。